馬耳東風
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この間、例の犬は老少佐の足許に坐り込み、ずうっと明後日の方や一昨日の方へ眼をやって知らんぷりをしていた。こういうのをたぶん馬耳東風、いや犬だから犬耳東風というんだろうな。稔はくだらないことを考えながら学校のほうへ歩き出した。
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それは私の肉体を内側から咬んだ。そのことを私は私の娘たちに言うのだが、彼女たちは馬耳東風。また始まった、と顔をそむけるだけだ。
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駅ごとの停車中に外から詰めかけた人々が、いくらドアを押しても叩いても頑として動こうとはせぬ。あまりのことに見るに見かねて注意したが、奴さん馬耳東風で一言の返事だにせぬ。昇降客はやむを得ずことごとく窓口から出入せねばならぬ。
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しかし劉表は袁紹にせがまれ、仕方なく見せ兵するほかはまったく不動であった。劉備が新野からやって来て出兵を口説いたりもするが、馬耳東風である。何故だろう、とは劉表を知る誰もが思わなかった。
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肯定するでもなく否定するでもなく、まるで馬耳東風とでもいうふうな無表情である。
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孫は老人の愛撫に馴れて、人を人とも思はなくなる。両親の小言も馬耳東風で、しまひに大泣きに泣いて大人を強迫する。母親は主人の方針に従つて子供をあまりひどく叱らない。
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わたしの話にも馬耳東風で、今でもわたしをただの絞首台行きの悪人としか見ていないからですか?あなたに会えなかったときは、やはり、二、三日前にここへ来る決心でいたのです。
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いつものらりくらりしていて、瓢箪鯰で、つかまえどころがありません。こちらから何を言っても、すべて馬耳東風ですからね。あんなひと相手では、あなたも気骨が折れることでしょう。
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されど元来の無学者だけに、何をいつても馬耳東風、耳に入りさうな事はない。
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どうしたのと尋ねられて適当に答えたら、手首を掴んで俺を保健室へ連行してきた。こんなことしている場合じゃないんです、運命の相手を見つける等々と訴えてみたが馬耳東風だった。転校して以来、保健室への入室は二度目となる。
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いくら紙代や色分解経費や印刷費の説明をしても馬耳東風。「じゃ仕方ないな、他社に当ってみるか」 ひとつ覚えの切札を出してくるのだ。
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しかも禄はどんどん減っていくため、稼がねばならない額は増えていく。規定の禄をしっかりもらってくるよう邵可に厳命しても馬耳東風。
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高福にも参加をもとめ、兵庫商社頭取になるよう要請した。にもかかわらず高福は馬耳東風、うまく態度を保留していた。また、陸奥宗光が上洛した紀州藩主に会わせようとしても、高福は人目をはばかって伺候しない。
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妖怪研究もこの点まで窮め尽くさなければ、真のおもしろ味は知れませぬ。しかし、世間の者にこのような話をして聞かせても、いわゆる馬耳東風の類にて、サッパリ感じませぬは実に困ったものであります。もし強いて聞かすれば、ビックリ仰天して逃げ出すばかりであります。
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捜査本部員でない自分が取調官の席に座った場合、おそらく、芝山は警戒し、当方の意図を見抜こうとするはずだ。そんな状態で、あれこれ質問したところで、馬耳東風と受け流すことは目に見えている。まずは、雑談から入り、相手の警戒心を取り除き、打ち解けるまで、最低、三十分。
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然れども習慣は、富より出でざれば楽みとせず。所有権より来る困難厄介の問題、いかに神聖の教ありとも、馬耳東風。
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無論、ハルヒにとっては誰かの望みなんか馬耳東風以前に届きもしないのである。自分に不都合な他人の言葉は、ハルヒ驚異のメカニズムによって鼓膜の外で弾かれるからだ。
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それで夫の浮気のやむわけはないが、一種の意地であり、つらあてである。三谷が信書の秘密を持ち出して、何度叱ろうと、これだけは馬耳東風である。大きな鋏を手に持ったまま、黙って三谷を見すえている。
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自重を促した大湊の言葉も馬耳東風で、中村は帰京してからも単独で調査を行っている。
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どうせなにを言って はじとよノふう も馬耳東風でしょうけど、最初に断っておくわよ。
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人が立ちどまって振り向いて目をまるくして見送っていても一向に平気。連れがあとから追ってきて、とまってくれ、待ってくれ、もっとゆっくり歩いてくれ、としきりに声をかけているのに馬耳東風である。あとから追ってくるものが七人いる。
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彼の言うには、私のクラスでの成績がCの場合には平均点が2以下で、Bなら2以上、と言うきわどい所にいるらしい。アメリカの学生が、こういった理由を持ち出しても、そのほとんどが嘘であることは、その時までの経験から知っていたので、私は馬耳東風に受け流していた。ところが、この男、なかなかの強か者で、こちらの態度が硬いと見るや作戦変更をして、私がいかに偉大な教授であるかとか、日本人が世界で一番頭の良い民族であるとか、お世辞を言って、ご機嫌を取り始めた。
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「せっかく夜間外出したのだから、与えられている責務を云々」と道草の動機を語っていた。後半はエリオじゃなくて大宇宙の意志が大いに絡んでいたので馬耳東風に徹した。下が半分地面に埋まってるタイヤの遊具を椅子代わりにして、俺とエリオは並んで食事を取る。
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それを真に受けて、人事課長のところへ辞表を持って行ったのがいるらしいが、上野さんのショック療法みたいなもので、能力があるくせに出していないと思われた者は、一度や二度は辞表を出せと言われてるんじゃないか。事務部長なんか、また始まったか、ぐらいにしか思ってないから馬耳東風をきめこんで涼しい顔をしてるよ。
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寛一君は呆れて返事を出さずにいると、又会話入りの長いのが来て不足税を取られた。次の日曜に報告がてら与えた忠告は無論馬耳東風と聞き流された。
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女の顔はいつも笑っている。ひどく優雅で上品な顔なのだが、よくまアこんなにハリアイのない心なのだろう、と、私は女の笑い顔を見ていつもそればかりしか考えないが、女は又馬耳東風でただ笑っているだけのことである。
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ときには通行権すら停止して、教区の住民からの説得も抗議もはねつけたという。そうかと思うとまたある時は、他人の屋敷の門扉をみずからとり壊しておき、そこは太古から通路のあったところだからといって、その家の主人が家宅侵入だととがめるのも馬耳東風だったこともあるそうだ。
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これに限ってはどのルートでも、多分彼女は、僕の話なんて、大抵は馬耳東風だっただろう。