雲散霧消
264 の例文
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「そうだ、あの時も病魔はおそるべきスピードでボクを襲ったんだっけ」とボクは思い出して笑ってしまった。笑ってしまうと不安はもう、ほとんど雲散霧消してしまうんでした。
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ただ将軍の言いなりになり、民の不満を雲散霧消させているだけではないか。
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散歩を終って家へ帰りつく頃には、雲散霧消して跡形ないのである。
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しかしそんな考えは、建物から外に出た瞬間、すぐに雲散霧消する。
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それゆえに、市ケ谷台陸軍省、参謀本部は、過去いっさいの計画をすて、阿南、梅津の微動だにせぬ承詔 必謹の決意を確認しておかねばならなかった。昨日までの強硬論は雲散霧消し、今日は放心の境地に遊ぶのみとなった。最後の決意を確信して死にもの狂いで活動していた青年将校たちは、ほとんどが魂をぬかれたようにぼんやりとし、それぞれの席に坐して窓外を流れる真夏の白雲を眺めやった。
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思わぬところで傾城を御覧ずる羽目になった私はびっくりして、「向こうの船に弁天様がいる」と呟いた。それを聞いた赤玉先生の頭から、父の想い出はたちまち雲散霧消した。傍らにいるべき弁天が隣の船にいると知り、先生は湯呑を噛み砕いて悔しがる。
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こうして米韓軍は、十月一日、三十八度線を突破北上してから約一カ月の間、元山、平壌を落して、朝満国境に派手な進撃をつづけたのである。威風辺りを払った金日成の軍隊は、まさに雲散霧消したかのように見えた。国連軍は、中国が介入するかもしれない、という予測は持っていた。
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その上、リスクマネジメント委員会から自由裁量権を保証され、挙げ句の果てには白鳥に傍若無人な調査をする権限まで承認させてしまった。一瞬の離れ業の結果、いつの間にかすべての問題が雲散霧消していた。高階病院長の鮮やかな政治手腕をまさまさと見せつけられ、俺はしばし呆然とした。
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何か考えていたとしても、その考えは具体的な形をなす前に雲散霧消してしまったようである。
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恐怖とは、なぜ自分がそれに恐怖しているかを悟れば雲散霧消してしまうものなのだろうか。村田勘市の友人に里見という経済学者がいる。
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すると、その白紙の絵が霧のように雲散霧消していって、実写へと変わった。かなり遠方から望遠で撮っているらしくゆらゆらした映像である。
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そうした論理が説得力を持つとしても、それはあく迄もぼくたちの混在社会の論理ではなかったか?あらゆる人間が超能力者である世界では、雲散霧消してしまうものだとはいえないだろうか?
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とにかく、現状において、日本に本当の喜劇を生むためには、プログラム・ピクチュアの製作に〈参加〉することによって、その質をじょじょに変えていくより方法はないのである。それとも、私たちの夢は、結局、雲散霧消していかなければならないのであろうか。
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きっとそこには目に見えない鬼がいるに違いない。だがその鬼は、榊の枝をもって払えば雲散霧消して助かるのである。こうした体験による絶対的な科学的動作が、おそらくお祓いという宗教的な形式を作りあげたのではなかろうか。
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火曜と土曜の夜は、他に何かの障害がなければ、二人の愛の日と決めている。もう二時間もすればそんなわだかまりは、あっさり雲散霧消してしまう。何事も岩崎のミニコピーである高橋警視の、市ヶ谷と四谷の間にある公務員住宅のマンションの中でも、状況は同じだった。
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いずれにしても、このままなら長州は失脚した状態で何年かをすごすことになりそうだ。犠牲を払って積みあげてきた尊攘運動は、雲散霧消してしまうかもしれない。冒険も必要なときだと玄瑞は思うが、いきなり京に攻め込むというのは無謀に過ぎる。
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銀紙を剥いて、チョコレエトを舌にのせると、瞬間、日本の大正製菓、或は新高製菓の大鍋で煮詰めた、どこかいい匂いのし過ぎるような味のあるチョコレエトの塊の中から、争われない、熱帯地方の、Cacaoの実の香いの片鱗が、魔利の舌の上にひろがる。その瞬間、大ていの怒りは熱のある舌の上の雪の結晶のように、雲散霧消する。これは魔利の持つ、一つの幸福である。
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それが雲散霧消したいま、残るのはサッシン個人だけなのである。いま、四千二百万ドルぶんの抵当をとっておかなければ、将来、NRC=PRCの事実がつまずいたばあい、とり返しのつかないことになる。
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追々、反フアッショの色を出して行くだろうが雲散霧消せぬ様に。
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しかし、その勢いは先程までとは比ぶべくもない。あの独特の香りも、いまでは文字どおり雲散霧消してしまった。語り手の男の傍らには、黒い灰が山とつまれている。
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目の前が、怒りで真っ赤に染まった気さえする。せっかくの栄光への門出が、小さな計算違いから雲散霧消してしまったのだ。後悔はやがて恨みに変化し、ジョシュアはいつしか、シェルファが出て行った小さなドアを睨み付けていた。
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みんなが伊良部のようなら、きっと地球上の悩み事の大半は雲散霧消することだろう。
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私は喜び勇んで大工さんを呼んだ。そして、二十分も経たないうちに私の白亜の家は雲散霧消してしまったのである。私はこのときほど「お金が欲しい」と思ったことはない。
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マハールとメゾプの間には、何世代も昔から休戦協定が交されていたので、彼らはそのマハールの手先であるサゴス戦士たちとキャンプを張った。そして連盟が雲散霧消したことを聞くに及び、アノロックに引き揚げてきたのだった。ジャにわれわれの地図を見せ、その目的を説明すると、彼は大いに興味を示した。
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健のところへ現金書留がとどいたということは、すぐに同じアパートにいる悪い仲間に知れてしまった。十万円というその金子は、一週間ほどのうちに雲散霧消してしまった。さすがに健もあの奇怪な影の人の書簡に関しては仲間のものにも話さなかった。
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逮捕されると、奥宮は石川島監獄に収容された。そして刑を終って出てみると、折角、彼の組織した車会党は雲散霧消していた。明治十六、十七、十八年は、各地の民権運動が暴動化した年である。
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心のフレームに薄い雲が引っかかって、それが意識を圧迫している。薄い雲を凝視すると、たちまち雲散霧消してなにも見えない。意識に圧力をおぼえながらも、その正体を見届けられないことがいらだたしく、さらにプレッシャーが募る。
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肝腎な用件を忘れたまま。派手にぶっ飛ばされて雲散霧消するのは劉備軍団の方なのだが、それはいい。劉備と劉表、これが最後の別れとなった。
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