迷惑千万
124 の例文
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「ほら、早く行け」って原チャリに跨ったまま、私の背を追い立てる。頭を下げてから、実に迷惑千万な状況の中で吉野の家の呼び鈴を押した。昔は背伸びしたそのチャイムを、楽々と鳴らす。
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頓死かもしれないと思うが、同時に他殺でないと証明する材料もないのだ。それよりも妾には真一がここで死んでいることが迷惑千万であったのである。
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そなたは暗がりの事とて間違つて思ひ【ひがめ】てゐるのだらう。てもさても迷惑千万、いかに暗がりとはいへ、声の色でも分るであらう。
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冗談に「医者は何十人の人を殺さねば一人前になれぬ」という。その何十人の内に入った患者こそ迷惑千万だが、そういう善意の殺人は罪とならぬ。そういうものと、ハッキリした殺人罪との境界線が問題なのである。
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もともと人妻だった彼女が、良人を捨て、地位を捨てて僕の懐ろに飛び込んだのだ。それを今になって、僕が誘惑したかのように云われるのは甚だ迷惑千万である。彼女の熾きつくような恋情に僕が負かされて、遂いに結婚するようなはめになったのだが、安子の第六感、いや第七感だそうだが、最初のうちは全く重宝だった。
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たしか、彼女の訪問は、ホームズにとって迷惑千万なものだったと思う。ちょうどそのとき彼は、有名な煙 草 長 者のジョン・ヴィンセント・ハードンに対する特異な強迫事件の複雑な問題に没頭していたからだった。
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今も天王寺の境内に猴を畜い、俗衆その堂に眼病を祈るに必ず癒ゆ。しかるに猴は迷惑千万にも毎に眼を病むと十年ほど前の『大毎』紙に出た。これら前述通り、猴は人に近いもの故、人の病は猴また受くるはずと考え、英語でいわゆるスケイプ・ゴートとして病を移し去るつもりで仕始めたのであろう。
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都合によってはわしが介錯を致すもよく、あなたが眼へ入れても痛くない剣術だけより外には何一つ出来ない小吉という男も身近にいる。中風などで、長くねていられては、第一に周囲の者が迷惑千万。
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が、よくあることらしい。軍人華やかなりし頃なら光栄ともいへるが、迷惑千万なはなしである。米兵の多くはゼントルマンと思つてゐたが、中にはへんなのもゐた。
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司法省犯罪部では、まだ証拠の検討中であり、決して告訴確定発表の段階ではなかったのだ。ブランディッジにへんにまた騒ぎ立てられるのは、彼らとしても迷惑千万だった。たまりかねた関係者に泣きつかれたクラーク司法長官は、友人でもあるテネシアン紙社長シリマン・エバンズに六月三日付で手紙を送った。
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弟子連中が面白がっていたのも初めのうちだけだった。近頃では、迷惑千万とでも言いたげな視線が声の主よりもまず涼孤に集中する。給金を貰ってるわけでなし、涼孤としても道場通いはしばらくやめにしようかと思わぬでもなかったのだ。
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関根なにがしは迷惑千万な男だが久保どののお使い、粗末には出来んからの。迎えは一人だった。
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こんな事を云うとその道の人に笑われるかも知れないが、論より証拠、こうした正札一点張りの店で買ったり喰ったりしたあと、正札の付いていない店へ行くと、何となく不安心な上に、一々店の人に出してもらったり、価格を聴いたりしなければならぬので、恐ろしく面倒な気持がする。店の方では叮重なつもりかも知れぬが、忙しい人間にとっては迷惑千万である。そんな事で手間取らせられてはたまらない。
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しかも、トレーニングで作ったダイナマイトボディーを〈ファインフィットスタジオ〉のロゴ入りTシャツとショートパンツで包み、ランチタイムで人があふれ出てきたオフィス街の真ん中を歩くのは、営業活動でもある。それでなくても通行の邪魔になるキックボードでまつわりつかれては迷惑千万。斜めがけしたバッグや長く垂らした黒いストレートヘアが背中で刻むウォーキングのリズムを楽しみながら、つんと顎をあげて男を無視する。
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そこにおられるは、羽柴筑前守秀吉とお見受けする。戦うは武士の務め、勝敗は時の運とは申せ、戦わずに勝手に兵を引くとは迷惑千万。われら、城を枕に討死にする覚悟でござった。
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法案を立てる人が、我輩はかく書いた、これより以上によいものはない、世論など衆愚のいうことがなにになるか、というような調子で、学者のこれに対する公平な批評すらきらうというに至っては、いったい国家民衆のために法律を作るのか、自己のヴァニティーのためにむりに我を押し通すのかわからなくなります。かかる結構な法律のもとで租税を納めるわれわれこそ実に迷惑千万な話であります。私はこの点が一日も速やかに改良されて、もっと念入りに小智をたのまずに、真に人間味のある法律が作られるようになることを希望してやまないのです。
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とにかく、われわれ東郷湖で生活する者にとっては、迷惑千万な話だ。元来、岡山県にある動燃事業所が掘った土なのだから、相手が何と言おうと、そこに持って行って処理するのがスジとちがいますか?
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「勘定奉行小栗上野介さまに、幕府への貸付金御用の減額運動をしてほしい」というのが三井の密命だった。三井にかぎらず明治革命の嵐は、どの富商たちにとっても迷惑千万であった。黒船来航以後、勤皇派対佐幕派の血で血を洗う武力抗争がエスカレートしていって、幕府浪士隊が暴徒と化し、攘夷先鋒と称しては江戸市中の富豪たちから金品を略奪。
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科学講演会の前ぶれにはふさわしくない流行歌の熱っぽい合唱がわきおこり、野次は猛烈をきわめそうな気配だった。野次られるほうは迷惑千万にちがいないが、ほかの人間にとってはなかなか楽しい晩になりそうだった。
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卿が自分の過去を話しているということはもはや明日だったが、他人の前で自分の魂をかくもあからさまにむき出して見せるのは、デリカシーに欠けている。このような話をむりに聞かされるのは迷惑千万である。ハーバート卿と彼とはおよそ無縁の間柄なのだ。
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迷惑千万と、二人は多報新聞社へ向かったのだ。そこで投書の件を知ることとなった。
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「ちょっといいかなって思ったけど、よく見るとそんなによくなかったわ」 と負け惜しみをいったりもした。今から思えば、自分で勝手に頭のなかで二人の仲を作り上げていただけなのだから、その男の子にしてみれば、迷惑千万な話なのだが、彼に知られなければ、実害はない。しかしこの時期に、私に勝手に好きになられて、勝手にののしられていた男の子が、五人いたことも事実なのである。
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彼らの誰もが、当惑げに顔を歪めるだけで、インタビューに答える言葉が出なかった。地元にとっては、学者先生たちが騒ぎ立てたことだって、いまとなってみると迷惑千万だったにちがいない。騒ぐだけ騒いで、結局、何の適切な解決方法もないなどということにでもなれば、救われないのは地元の農家や観光業者ということになる。
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そうなったら、迷惑千万で、しかも不幸なことだろう。
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私の交響曲がコンセール・スピリチュエールで格別な成功をしたことは前にお知らせしました。歌劇を作曲するように依頼されるなら、迷惑千万です。しかしそれにもだいぶ慣れたから、平気でしょう。
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と、そのとき、広間のすみのドアがあいて、洗濯をすませたらしいさっきの若い女が入ってきた。忍び足で入ってきたらしいのだが、たちまち周囲の視線をあつめてしまい、Kには迷惑千万だった。ただ予審判事だけはKの言葉にすぐさま衝撃をうけたらしく、Kをてきめんに喜ばせた。
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そして、頸飾を掛けてをれば頸をしめる、指輪をはめてをれば指に喰ひつく、リボンを結んでをれば編髪をひつぱるといふ始末でな。さうなつた暁には、それこそ、かうした贈物は誠にもつて迷惑千万なのぢや!
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朝、車に迎えに来られれば、電車通勤より一時間は早く起きなければならない。他人に朝早く迎えに来られるのは迷惑千万。
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