襟を正す
26 の例文
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バスの中の一同、粛然として声なく、中には思わず襟を正す人もいる。阿佐ヶ谷駅に着いて、一同ゾロゾロとバスを降りる。
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むくりと脇息から身を起すと、襟を正すようにして突然言った。
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長と八原ら参謀は、まるで沖縄戦に勝利したかのように錯覚するほどの喜びを覚えたが、八原が牛島を見ると、参謀らの狂喜を当惑した表情で見ており、敵将の死を悼んでいるようであった。八原はその牛島の様子を見て、牛島の人柄を再認識し自分も襟を正す気持ちになったという。アメリカ第10軍の指揮は、第3水陸両用軍団長のロイ・S・ガイガー海兵中将が司令官代理を務め、同月23日にはジョセフ・W・スティルウェル大将が後任司令官となった。
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いや、わしは、それどころぢやない、学校に対しては向ふ一年間、俸給を辞退するつもりだ、とね。そこにゐた警官たちは、いつせいに、みんなわしの顔をみて、気のせゐだかも知れんが、ちよつと襟を正すといふ風がみえた。これや本気だ、塾長さん、塾長先生、わしの本心だ。
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半世紀にわたって帝国の専制主義と戦いつづけてきた老将の、おそらくは最後の戦場となるであろう。智略と気骨の発露を、彼らは看てとって、襟を正す思いにとらえられたのだ。「老いてなお気骨のある者は賞すべきかな」 ミュラーがつぶやく。
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母様がああだから、自から襟を正すと云ったような工合でね。
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中条藤資や色部勝長などが、それをじっと見据える。だが、彼等は襟を正す気配を見せなかった。なかには、些細なことから口論をはじめる者さえいる。
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作業着姿の鹿島は、家の玄関の前で足を止めて一息。視線を下にして襟を正す。と、不意に目の前に動きが生まれた。
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小生にもお手伝いできることがありますれば、後ほど、エドガーに手紙をお託しください。お知らせいただいたこのたびの事件には、小生全く身の置き所を知らず、ただ慄然襟を正すのみであります。
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粛然として、襟を正すかのように、耳を傾けていたようです。
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そしてこれらの歌はもう作詩者の私をはるかに越したものですので、平凡な日常に心がゆるんでいることに気づく時、今どこかでだれかが、この歌をうたっていてくださるのだ、と思って襟を正す気持ちになり、私自身もまたこれらの歌にふさわしい人間になれますように、といつも祈っております。ライネル・マリア・リルケが手紙の中で「その詩を書いた者自身は、それらの言葉のはるか後方にひっそりととり残されているものだ」と書いていたのを思い出します。
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武蔵は恐いのである。理解ある人の好意には、襟を正すが、その衆望が浮薄化して、人気というような波に乗せられることを、恐ろしいと思った。ふとすれば、自分も凡夫だし、思い上がらないものでもない。
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その意味で、私はまた、築地小劇場が、藤森成吉氏の『何がかの女をさうさせたか』を上演した態度に敬服してゐる。ここまで来れば、私は、たゞ、だまつて、襟を正すよりほかにない。あの戯曲が、実際、どれほどの舞台効果を生むか、それは芸術的に最早、問題とする必要を認めない。
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将来ダンテの神曲の新訳に挑戦したいと言っている。襟を正すというべきか、肩をすくめた方がいいか、神曲など訳しはじめたら、天国への道は遠のくばかりだろう。それでも彼女等は股を開げ、艶かな「黒い花びら」にこちらのだらしのない男根を受け入れてくれたのだ。
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繁野天来はミルトン研究の第一人者と言われていた。背丈のひくい風采の上らない人であったが、詩文に賭ける烈々たる精神には襟を正す思いがした。
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どだいそんな、傑作意識が、ケチくさいというんだ。小説を読んで襟を正すなんて、狂人の所作である。そんなら、いっそ、羽織袴でせにゃなるまい。
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そのみにくさを、自分で所謂「恐縮」して書いているのならば、面白い読物にでもなるであろう。しかし、それを自身が殉教者みたいに、いやに気取って書いていて、その苦しさに襟を正す読者もあるとか聞いて、その馬鹿らしさには、あきれはてるばかりである。人生とは、ただ、人と争うことであって、その暇々に、私たちは、何かおいしいものを食べなければいけないのである。
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科学者が科学に立脚し、押し立てた説を崩そうとするなら、その科学者と同等か、同等以上の科学者で無ければ、企て及ばないことである。で私は然ういう場合には、きまって背広の襟を正す。
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故に探すべきは現在公開中のフィルムだった。何せ十七番目の妹が死ぬのも四度目だ、私の希望を一切排し、あくまでクレバーに考えるならば、館紐が解け、シャツの襟を正すかのような、そんなフィルムこそが相応しいだろう。十五分後、三足の靴を履いて、私は家から外に出た。
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亀岡理事は長時間確保できるリンクが他にないことや、強化合宿中は製氷回数が多く費用が掛かることなどをあげて「利益誘導ではない」と釈明したが、馳浩文部科学副大臣から「体制を含めて自ら襟を正すように」との指摘を受けた。
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翁百世の後、翁の像を仰いで襟を正す人在りや無しや。思うて此に到る時、自から胸が一パイになる。
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人種の発達と共にその国土の底に深くも根ざした思想の濫觴を鑑み、幾時代の遺伝的修養を経たる忍従棄権の悟りに、われ知らず襟を正す折しもあれ。先生は時々かかる暮れがた近く、隣の家から子供のさらう稽古の三味線が、かえって午飯過ぎの真昼よりも一層賑かに聞え出すのに、眠るともなく覚めるともなく、疲れきった淋しい心をゆすぶらせる。
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イディオムには、イディオム自身がもつ意味と構成要素の字面通りの意味とに何らかの関連性、すなわち有縁性が認められる。例えば「襟を正す」という表現は、「奮起する」を意味するイディオムとして用いられる一方で、「襟をきちんと直す」という文字通りの意味にもなり、両者の意味の間には関連性があり、有縁性は高いといえる。このように強い有縁性をもつイディオムを不完全イディオムと呼ぶ。
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そして、人の世を裏から操る、陰の王の一族だった。「さて」 髭を当たり、髪を整え、襟を正す。商売の計画は、いつだって始める前は完璧だ。
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