襟を正す
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名詞
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バスの中の一同、粛然として声なく、中には思わず襟を正す人もいる。阿佐ヶ谷駅に着いて、一同ゾロゾロとバスを降りる。
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いや、わしは、それどころぢやない、学校に対しては向ふ一年間、俸給を辞退するつもりだ、とね。そこにゐた警官たちは、いつせいに、みんなわしの顔をみて、気のせゐだかも知れんが、ちよつと襟を正すといふ風がみえた。これや本気だ、塾長さん、塾長先生、わしの本心だ。
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粛然として、襟を正すかのように、耳を傾けていたようです。
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むくりと脇息から身を起すと、襟を正すようにして突然言った。
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長と八原ら参謀は、まるで沖縄戦に勝利したかのように錯覚するほどの喜びを覚えたが、八原が牛島を見ると、参謀らの狂喜を当惑した表情で見ており、敵将の死を悼んでいるようであった。八原はその牛島の様子を見て、牛島の人柄を再認識し自分も襟を正す気持ちになったという。アメリカ第10軍の指揮は、急遽ロイ・ガイガー少将が司令官代理を務め、同月23日にはジョセフ・スティルウェル大将が後任司令官となった。
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半世紀にわたって帝国の専制主義と戦いつづけてきた老将の、おそらくは最後の戦場となるであろう。智略と気骨の発露を、彼らは看てとって、襟を正す思いにとらえられたのだ。「老いてなお気骨のある者は賞すべきかな」 ミュラーがつぶやく。
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忘れたる死を不用意の際に点出するから偉大なのである。ふざけたるものが急に襟を正すから偉大なのである。襟を正して道義の必要を今更のごとく感ずるから偉大なのである。
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母様がああだから、自から襟を正すと云ったような工合でね。
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中条藤資や色部勝長などが、それをじっと見据える。だが、彼等は襟を正す気配を見せなかった。なかには、些細なことから口論をはじめる者さえいる。
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武蔵は恐いのである。理解ある人の好意には、襟を正すが、その衆望が浮薄化して、人気というような波に乗せられることを、恐ろしいと思った。ふとすれば、自分も凡夫だし、思い上がらないものでもない。
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作業着姿の鹿島は、家の玄関の前で足を止めて一息。視線を下にして襟を正す。と、不意に目の前に動きが生まれた。
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小生にもお手伝いできることがありますれば、後ほど、エドガーに手紙をお託しください。お知らせいただいたこのたびの事件には、小生全く身の置き所を知らず、ただ慄然襟を正すのみであります。
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そしてこれらの歌はもう作詩者の私をはるかに越したものですので、平凡な日常に心がゆるんでいることに気づく時、今どこかでだれかが、この歌をうたっていてくださるのだ、と思って襟を正す気持ちになり、私自身もまたこれらの歌にふさわしい人間になれますように、といつも祈っております。ライネル・マリア・リルケが手紙の中で「その詩を書いた者自身は、それらの言葉のはるか後方にひっそりととり残されているものだ」と書いていたのを思い出します。
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いい気なものだと思った。自分がおならひとつしたことを書いても、それが大きい活字で組まれて、読者はそれを読み、襟を正すというナンセンスと少しも違わない。作家もどうかしているけれども、読者もどうかしている。
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その意味で、私はまた、築地小劇場が、藤森成吉氏の『何がかの女をさうさせたか』を上演した態度に敬服してゐる。ここまで来れば、私は、たゞ、だまつて、襟を正すよりほかにない。あの戯曲が、実際、どれほどの舞台効果を生むか、それは芸術的に最早、問題とする必要を認めない。
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将来ダンテの神曲の新訳に挑戦したいと言っている。襟を正すというべきか、肩をすくめた方がいいか、神曲など訳しはじめたら、天国への道は遠のくばかりだろう。それでも彼女等は股を開げ、艶かな「黒い花びら」にこちらのだらしのない男根を受け入れてくれたのだ。
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繁野天来はミルトン研究の第一人者と言われていた。背丈のひくい風采の上らない人であったが、詩文に賭ける烈々たる精神には襟を正す思いがした。
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