自縄自縛
71 の例文
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私はそのとき初めて、心の中で勝利を叫んだのでございます。徹は私のそのことばで、まったく自縄自縛に陥ったのでございますもの。ふたたび徹の姿にかえらないかぎり、徹は二度と私に求愛することはできないのです。
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裏があると思ってしまっては、またさっきのように自縄自縛に陥ってしまう。
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どちらであれ、アイレインが現れなければ、ニルフィリアはなにもできなくなっていた。これもまた、イグナシスの時のように自縄自縛に陥っているのかもしれない。しかし、たとえそうであろうと、そこから解き放たれたいとは思えない。
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そこで磁場という目に見えない縄を用いて容器を作る。幸いにもプラズマは自身でも磁場を作り、自縄自縛をする性質をもっている。これをピンチという。
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窓のところの証拠固めは彼がしたのであったから、今彼は自縄自縛の形になってしまったわけだ。検事は、それごらんといいたげな顔。
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斯ういふ現実放れのした歌は、その後我々の方でも余り作られなくなつてしまつたが惜しいわけである。自縄自縛といふことがあるが、現在の歌作りがそれである。
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要するに、平和を保つ思想に発した武士道で、実戦に即応したものではない。否、戦略の立場からは自縄自縛の障りとなり、戦勝には縁の遠い保守的なものだ。実戦の奇略狡智は葬り去られ、一騎打や蛮勇が謳歌される。
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私立校である博徳学園の崩壊すら招きかねなかった。校長はおのれの保身策のため、自縄自縛の羽目におちいっていたのだった。有能な教師たちは、見切りをつけて次つぎに辞職していき、転校する生徒も増加の一途をたどった。
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ここに軍務尚書オーベルシュタイン元帥がいたらどうするだろう、とすら、ふと思ったのは、ミッターマイヤーの心境の深刻さを証明するものであった。ここで帝国軍は深刻な自縄自縛におちいってしまっていた。
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あいつは、あのバナージとかいう民間人の少年は、彼女を救うために<<ガンダム>>に乗った。場当たり的に人質を取り、自縄自縛に陥った大人たちをよそに、彼だけが行動を起こしたのだ。彼女がミネバ・ザビであろうとなかろうと、気に留めもせずに。
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むしろ一々の文章にかういふひねこびた真実を強ひられると、飛躍した高処に何物の姿をもとらへることができなくなつてしまふばかりだ。そのうへ、それ自らとして独立した実感を持つにしても、部分と部分との連絡の際に、曲芸を行はない限り自由に進行もできないやうな自縄自縛におちいる危険はありはしまいか。私の経験によると、内容的な真実を先に立てると、概ね予定通りの展開もできないやうな卑屈な渋滞状態をひきおこし、却つて真実を逸しがちであるばかりか、渋滞状態の悪あがきの中では、真実を強調するための一種自己催眠的な虚偽すら犯してしまふのである。
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キカハはうめきをもらした。ときおり、かれは策に溺れて自縄自縛におちいることがあるが、こんどもそうなりそうな気配だった。なんの懐疑もなく、かれは選択をすませた。
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スパークドールズやファントン星人グルマンなどの登場は田口の参加前に決定していたが、これらも設定の理由付けや造形のリアリティなどが追求されている。その一方、田口は設定による自縄自縛にならないよう各話監督へ無理強いしないことも掲げていた。近年の作品では怪獣が同時に複数登場することが多く、田口は1匹ごとの印象が薄くなっているのではないかという考えにより、本作品では各話のメインとなる怪獣の魅力を引き出すことを目指している。
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むしろ一々の文章にこういうひねこびた真実を強いられると、飛躍した高処に何物の姿をもとらえることができなくなってしまうばかりだ。そのうえ、それ自らとして独立した実感を持つにしても、部分と部分との連絡の際に、曲芸を行わない限り自由に進行もできないような自縄自縛におちいる危険はありはしまいか。私の経験によると、内容的な真実を先に立てると、概ね予定通りの展開もできないような卑屈な渋滞状態をひきおこし、却って真実を逸しがちであるばかりか、渋滞状態の悪あがきの中では、真実を強調するための一種自己催眠的な虚偽すら犯してしまうのである。
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強ひて澄み入らうとした傾きもあつた。ただ畏れ入つて了つて固くなり、肩ばかり張つて息もつけない苦しさに自縄自縛して了つた。かうなつたら手も足も出せる筈はないのである。
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それは狭い意味での学習より以前でありますけれども、学習以前がまた非常に大事なのです。私は自己制御なんて、非常にむつかしい、自縄自縛みたいな題をつけて困っているんです。これも自己制御しすぎたんですけれども、英語ならセルフ・コントロールですね。
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しかし攻撃側も、自分で仕掛けたトリックに自分ではまってしまうことだってあるから、うっかりできない。そんなことを考え始めたら自縄自縛の状態におちいり、いつまで経っても野球はできないと思われるが、そこはさすがにプロで、観客が待ちくたびれてうんざりしない程度の間で、むしろ適当な間を作ったために観客の緊張と興奮が充分に昂まったと見えるあたりの呼吸で、ピッチャーの第一球の出番を用意した。
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こうすれば危ない、ああすれば不利を招くと、余分な配慮で自らの行動が、がんじがらめになる。数右衛門は自縄自縛の態で身動きが出来なくなっていた。その窮地を打開したのは、思いもかけぬ名刀の威力であった。
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この皮膚を剥いで赤いむき出しの肉をさらけださずにはおられないといった飽くなき問いの願望はどこからやってくるのか?制度として個の存在を緩衝剤のように包む市民社会が稀薄なところで、根源的であろうとするかれの衝迫力が自縄自縛の地獄を出現させていった。真理をくるむにはそれ相当な堅牢な箱が必要なのに、薄い膜のようなひ弱いものにくるんでしか真理は提出されなかった。
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文化は民族の理想を目指して、生々育成された一切の生活表現でありますし、また文明は、一面において人類の欲望から生れた智的所産とも云へるので、この混同が今日まで往々にして、文化運動乃至は文化といふものについて誤解を生んでゐるやうに、私は思ふのであります。健全なる文化の基礎がなければ、文明も常に民族発展の方向を誤り自縄自縛、遂に神の怒りにふれるのだと思ふのであります。欧洲文化の没落がこれを証明してゐます。
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にもかかわらず、人間はさまざまな条件を自ら作り出して、阿弥陀仏の慈悲を勝ちとろうとする。そして、自ら作り出した条件に自縄自縛となって阿弥陀仏の慈悲を矮小化してしまったり、手の届かないものにしてしまう。たとえば、念仏に回数の制限を設けて、一日に何万回となく唱えないとダメだとか、反対に一度だけ唱えれば十分だとか、いずれにしても人間の側で条件を作って広大な慈悲を見えなくしてしまっている。
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書こうと思い立ったエッセイのテーマが「道草」だからだ。これこそ自縄自縛というべし。そんなもの書かなければいいではないかと言われそうだが、やっぱりこのテーマで書いておきたいのだ。
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かえって緊張して、よけいに口を閉ざしてしまう。まさに自縄自縛なのである。いい足りなかったための災いと、いわでものことをいいすぎたことによる災いと、どちらが大きいかといえば、間違いなく後者であろう。
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それが、自分の行動を自覚した途端、鼓動の加速と頬の加熱を自覚した。実のところこれは、単に自分の思考に引きずられただけの「勘違い」なのだが、ある種の自縄自縛に陥っているリーナに、そのような自分を客観化した冷静な分析ができるはずもなかった。今の彼女は、吊り橋効果と類似した心理状態に囚われているのだった。
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僕も弱つて、こゝに一策を案出した。これは至極の名案であつたが、後には、自縄自縛、自らを墓穴へうづめる大悪計ともなつたのである。親爺にすゝめて、碁会所を開かせることにしたのであつた。
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自縄自縛にも似ている。
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主人公の性格や状況の設定には現代の状況と通ずるところがあって、パロディとしての面白さをもっていた。しかし狂四郎の登場しない場面の索漠さは否定することができず、作者の筋立てが自縄自縛となったという趣はある。
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しかし以前のような葉子はそこにはいなかった。もしそれが以前であったら、自分の才気と力量と美貌とに充分の自信を持つ葉子であったら、毛の末ほども自分を失う事なく、優婉に円滑に男を自分のかけた陥穽の中におとしいれて、自縄自縛の苦い目にあわせているに違いない。しかし現在の葉子はたわいもなく敵を手もとまでもぐりこませてしまってただいらいらとあせるだけだった。
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