絶佳
67 の例文
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屏風岩の右手には、一本杉も見え、金雞の一角も見え、上州の平原も見ゆ。案内者曰く、こゝより十五夜の月の出づるを望むの景が、實に絶佳なりと。數十歩にして、第二石門に達する也。
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家康は苦笑を消した。彼はいちど食べただけなのに、なお舌に残るあの絶佳の味がよみがえるのを感じたのである。もし、そういうことがあるならば、茶屋四郎次郎の料理は天下の運命にすらかかわりを持ったことになる。
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十二町潟から南方の南方一帯の園・大浦・堀田・石崎・飯久保・布施にかけての広大な低地部と、島尾の防風林の内側の窪・島尾・下田子にかけての平野部の山裾の奥までひろがっていたものと思われている。湖岸には至るところに小さな湾や岬があって、風光絶佳であったと伝わっている。
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そればかりか、「絵を描かうとする者も、変つた人情風俗に接しようとする者も、湯治のためには病人も、みな必ずコーカサスへ行かなければならない」と称されてゐる。それは第一に風景絶佳の地だからである。「コーカサス軍道の風光の雄大秀麗は、遍く日本内地を周遊した筆者も、その比を求むるに苦しむ」と、正親町季董氏は言つてゐる。
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中にも風景絶佳にして深き神秘と伝説を有するものは十和田湖の右に出づるものは無いであらう。自分は今度東北地方宣伝の旅を続け、その途中青森県下その他近県の宣信徒に案内されて、日本唯一の紫明境なる十和田の勝景に接することを得ると共に、神界の御経綸の深遠微妙にして人心凡智の窺知し得ざる神秘を覚ることを得たのである。
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江南に居住するようになった貴族たちは、政権を掌握するとともに、広大な荘園を所有して経済的にも豊かな生活ができた。佳麗な地である江南の風景は絶佳であり、書の発達にこのような風土の関係も見逃すことができない。この時代、北部中国地方は戦乱が多く、主として異民族の王朝であった。
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まるで列車が玩具のやうに思はれる。たまたま風景絶佳、草の中から蟲が啼きはじめる、巖の上に天牛蟲がゐる。
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府庁の壁が黒く塗られているのを見て、「よし」とうなずき、城外西南の瓜州渡というところに大本営を設置した。そこは長江の豊かな流れを眼下に見おろす場所で、まことに風光絶佳の土地である。
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自家の再生装置はいってみれば女房のようなもので、ひそかに他人と見比べはするが、結局落ち着いてしまう。さしずめ、すると私のタンノイなど容色絶佳の良妻かと声を立てて笑った。
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ホテルがそこに出来れば、別に広告しなくとも人は好奇心で一度は遊びにくるに違いない。そこは川口平六が云う通り、笛吹川の断崖に面した風光絶佳な所だ。初夏は新緑、秋は紅葉と、まさに観光地として申し分はない。
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七台の山輿を舁いだ山寨の手下が、七名の客を乗せて、山ぞいを蜿り、峰道を越え、やがて南山の一亭へと運んで来た。閣は水に臨み、欄は外洋の眺めまでを入れ、風光なんとも絶佳である。主客の列は、左右に椅子を並べて分れた。
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当時、佐賀領内で容色絶佳と謳われた女性が三人いたという。うち一人は神野村の庄屋八郎右衛門の娘キヌで、庄屋ともなると家格もあり、地侍の忰でも手出しはならない。
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十六年から建立に着手していた鉄舟寺の進捗状況を見るためである。清水の西方山麓、清見潟を距てて富士を望む風光絶佳の地点であった。元来この寺は、天海僧正を開山として建てられた総持院の跡で、御多分に洩れず維新の際の廃仏棄釈によって廃寺となって荒廃の極にあったものを、鉄舟が再興を企図したものであった。
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その夜、吉右衛門と天川屋を祇園に伴ない、遊興の一夜を過した進藤長保は、翌日も帰邸の気振りを見せず、相方の遊女を伴なって、嵐山に舟遊びを楽しんだ。秋、深まりて、嵐峡の錦繍一際色映え、京の絶佳ここに極まるの感があった。
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すでにその宿が千四百メートル。前方に太平洋を、後方に石鎚山系を見わたす眺望が絶佳である。あくる朝八時に出発して、十月も半ばなので、もう花はだめかもしれないと案じながら、ハシドイ、チドリノキ、トチノキ、ハクウンボク、イタヤカエデ、シロモジ、ニシキギ、ヤマヤナギ、タンナサワフタギなどの紅葉、黄葉の美しい稜線を歩く。
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遠江とは、都に近い湖に対して、遠い湖をさす。浜名湖のほとりに建てられた浜松城は、東海道の要衝にあり、海と湖と背後の山に囲まれた、風光絶佳の美しい城であった。初め家康は、三河国岡崎城を本拠としていたが、岡崎は海から遠く離れ、山に近く、平野も狭く、大規模な城下町を営むには、あまりにも小さすぎた。
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岡城を眺望し得る風景絶佳の地である。なお他の藩主の墓地は東京芝青松寺、同青山共葬墓地1-ロ-20-28に営まれていた。
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そして長い廊下や、曲ってついている階段を歩いたり、娯楽室や食堂へ入ったり、それからまた、盛んに仕事をしている実験室をのぞいたり、ずっと下の方にあるエンジン室では目をぱちくりしたり、いろいろと愕いたりうれしがったりすることが多かった。中でも四人の少年たちを喜ばせたものは、塔の上から風景絶佳のコロラド大峡谷を眺めることだった。絵にかいたようだというが、それ以上にうるわしい風景だった。
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晩霞散じて暮烟紫に天地を罩むるや人家の燈影亦目を慰むるに足る。されば氷川の森の背後にかの殺風景なる三聯隊の兵舎の聳ゆるなくんば東京市内の空地の中風光絶佳の処となすも決して過賞にあらざるべし。余市中の散歩を好む。
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わずか百二十三メートルの標高差で、大きな露岩が積み重なった頂上にたつことができる。時間にしてゆっくり歩いて往復二時間足らず、眺望は広濶絶佳で、八ヶ岳から南・中央アルプスが一目で見える。何よりもその花々の多さがすばらしく、一歩足をふみ入れて驚嘆に次ぐ驚嘆である。
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白堊の城壁をつらね、城楼を天空にそびえさせていた頃は、 『日暮城』 と、称ばれていた。風光は絶佳だったのである。
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九州に行った菊池寛が、旅館の野立ち看板に、「見晴らし絶佳」と書いたのを見て、うれしそうに、いった。
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このあたりは空が見事に晴れ、濃藍色の水と、淡紫色に暮れてゆく東の空とが接するあたりに、フロリダ島や、サンタ・イサベル島の西南方にあたるセント・ジョージ島などが、おぼろに浮かんでいた。そのなかで、サボ島だけが屹然とそびえているのが、ババエアの丘からは、絶佳といえる画然とした姿に映えるのである。私はこの島に来た目的は半ば達せられたと考えていた。
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六郎太は、しばらく呆気にとられ、花やいだ綾姫の姿を見戌った。それは、江戸から駿府の賑わいにかけ、多勢の婦人を見なれてきた眼にも、絶佳と思えるほど、気高く美しい容姿であった。
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湖南省岳陽県城西門の上に位置し、洞庭湖を見下ろして風景絶佳。もとの馬致遠作の雑劇「岳陽楼」の正名に、「呂洞賓三酔岳陽楼」とある。
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少年君は背後に置いておくと、呼吸をするようにお尻を触ってきて危険すぎるので、前方に配しての連行です。当のご本人様は、両手を後頭部で組んで口笛など吹きながら、風光絶佳で知られる裾野を楽しんでおいでです。
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でも数十丈もあるらしい、鉄壁のような大岩が、湾のように開けている巨谿の一部と、この岩石層とを遮って聳え、絶佳の眺望を遮っていた。それに向かって、桂子は立った。
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山守から先は蒜山の犬挾峠を越えて姫新線の中国勝山に達する四三キロが建設予定線となっていて、開通すれば風光絶佳の山岳線となるはずだが、昭和五三年度末現在の工事進捗率は〇パーセント、全通見込みのまったくない短い盲腸線である。しかも、倉吉からわずか四・二キロ、八分走ると倉吉市の中心打吹に着き、乗客の大半が下車してしまう。
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