粗忽
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名詞
226 の例文
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おたがいに打ってつけのこの二人のあいだをとりもったのは少佐だった。彼はパガネルに、結婚は君がなし得る〈最後の粗忽〉だと言いさえした。パガネルはひどく狼狽し、まったく奇妙なことに運命を決する言葉を発する決意を下せなかった。
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彼女は少し粗忽なところもありますが、努力家なのは俺が保障します。
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もうこのうえは、実際に人間に牛痘をうえて、実験してみるよりほかはないと思いましたが、さてそれは容易のことではありません。人間一人の生命にかかることですから粗忽にはできません。かような実験は小児でなくてはできませんが、さて自分には子供がなし、むやみに他人の子をかりてくることもできません。
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ファブリツィオ猊下が危険な目に遭わせられたことに対して仕返しをしようなどという意図はこちらには全然ありませんでしたし。あの粗忽な侍僕には阿片のはいっている小壜しかあずけませんでした。このことは誓って申し上げます!
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男性がぎこちない手つきで皿洗いをしてつい皿を割ってしまったり、カード電話にオレンジカードを一生懸命に入れようとしたりという姿を見て、〝カワイイッ〟と思うわけです。最近は、〝こいつ、もしかしてわざと粗忽なことをしてるんじゃないか?
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紳士の床の間は尽くこれ偽物の展覧会さ。心ある者に見せたらばかえってその主人の粗忽にして不風流なるを笑われる位だ。西洋の油画にはマサカこんな事はない。
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この粗忽が原因になって、私はこれから信用を得る事が無くなるのかも知れない。ほんとうに私の粗忽でした。
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衛兵も召使も、それぞれの部署についていた。王虎が門内にはいってくるのを見ると、彼らは恐れをなして粗忽のないようにつとめた。王虎は帝王のように威風堂々とあらわれた。
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なぜかと訊くと、わしが信じられんからという意味のことをいう。わしはみなも知る通り少々粗忽なところがあるから、それも道理だと承知した。杉はまた、これであなたの顔が立つ。
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いそいで方々のポッケットを捜したが手にさわらなかった。私は心で今朝までいた宿屋の二階の一室を思い浮べて、自分の粗忽を怒った。
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考えてみると、毎回、違った運転手さんと、或る時間二人きりで密室の中で過すわけである。私の粗忽からきまりの悪い思いをしたこともあるが、心に沁みる話を聞くことも多い。この間、現職の警察官が制服姿で女子大生の部屋を訪ね、乱暴して殺してしまうという事件のすぐあとで乗った車がそうだった。
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それ所ではなく、日本の何処へ旅するとも、沖縄においてほど古い日本をよく保存している地方を見出すことは出来ません。粗忽にも沖縄を台湾の蕃地の続きの如く思ってはなりません。ですがこの島のことは既に種々なる文献があるにかかわらず、一般にはよく知られていない恨みがあります。
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そして己が励ますとき、また走って行け。この場所で粗忽があってはならないのだ。
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と、其処へ、何を慌ててか、一人の助手が肘を縮めながら、駆け込んで来た。彼れはいきなり板の間の洗面器へ、粗忽な足の先を突きあてた。血は丁度嘗て人間の体内に居た時の如く、波打った。
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胡の寝返りは、もとはと言えば彼が悪いのではない。日本の一軍人の粗忽さから発していた。ある日、「曙」で胡振玉主催による月見の酒宴が開かれた際、招待された関東軍の一将校が彼に礼状を書いて手渡した。
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さらに剃っているうちに剃刀の柄が外れてきてしまったので、柄の部分を内匠頭の頭にトントンと叩きつけて直した。かなり無礼な行為であったが、内匠頭は唯七の粗忽ぶりを知っていたので笑って許した。またあるとき唯七は芸州浅野本家に使いに行く事になった。
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子供等は、母の唇へ粗忽なキスをして、町の方へ走った。娘等は戸口を去った。
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