築山や池
10 の例文
(0.00 秒)
-
しかし築山や池や四阿は、それだけに又以前よりは、一層影が薄れ出した。云はば自然の荒廃の外に、人工の荒廃も加はつたのだつた。
...
-
家屋の前庭として、縁側に面して設けられ、門から縁側までの前栽の中に飛石、沓脱石を据える事が多い。旧家においては、日本庭園と同じように、前栽内に築山や池を設けている事もある。江戸時代までは社寺や武家に設けられたが、民家での庭園は本陣宿や、大庄屋のみに限られ、庭園を造ること自体が贅沢とされた。
...
-
案内された如水は、広い境内の中の渡り廊下を歩かされた。廊下の角を曲がるたびに、違った趣向の築山や池があらわれた。丁度、季節柄、花菖蒲と藤の藍色が際立った模様を見せて、植えられた樹木と造園には高台院の洗練された嗜好がいたる所に満ちあふれていた。
...
-
しかし築山や池や四阿は、それだけにまた以前よりは、いっそう影が薄れ出した。いわば自然の荒廃のほかに、人工の荒廃も加わったのだった。
...
-
サンダルを突っかけて庭に出た。広い庭で築山や池もある。十年前この家に遊びに来た。
...
-
-
高級住宅ばかりの、その辺りでも敷地の広さは群を抜いていた。江戸時代からの大名家の庭をそのまま残したという築山や池を取り巻く小道には石燈籠や植木が庭造りの作法通りに配置され、小暗い岩組みの間からは滝が落ちている。住いのほうは、一部を除いて近代建築であった。
...
-
やっと起きて喪服のやや濃い鼠の服の着古して柔らかになったのを着た姫君の顔に笑みが浮かぶようになると、源氏の顔にも自然笑みが上った。源氏が東の対へ行ったあとで姫君は寝室を出て、木立ちの美しい築山や池のほうなどを御簾の中からのぞくと、ちょうど霜枯れ時の庭の植え込みが描いた絵のようによくて、平生見ることの少ない黒の正装をした四位や、赤を着た五位の官人がまじりまじりに出はいりしていた。源氏が言っていたようにほんとうにここはよい家であると女王は思った。
...
-
一草に心かたむけてあるを見るときに、あるじの愛の深いことを感じる。大した築山や池をほめるのではない。あるじの愛さえ庭に行き亘って居ればわたくしの望は足りるのである。
...
-
襖を閉め切ると、座敷を歩み過し椽側のところまで来て硝子障子を明け放した。闇の庭は電燭の光りに、小さな築山や池のおも影を薄肉彫刻のように浮出させ、その表を僅な霰が縦に掠めて落ちている。幸に風が無いので、寒いだけ室内の焜炉の火も、火鉢の火も穏かだった。
...