真摯
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もし至誠という語を真に精神全体の最深なる要求という意味に用いたならば、これらの人のいう所は殆ど事実でないと考える。我々の真摯なる要求は我々の作為したものではない、自然の事実である。真および美において人心の根本に一般的要素を含むように、善においても一般的要素を含んでおる。
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彼の真摯な瞳はあの頃よりさらに深みを増しているように感じられる。「今のロードスの状態には、オレも満足してはいない」 カシューはソファーから立ちあがってパーンに背を向けた。
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ブライアンは南北戦争を連想させる言葉で続け、「この大会では兄は弟に対して、父は子に対して配列されている」と聴衆に伝えた。彼が真摯な口調で話すと、彼の声ははっきりと大きな声で会場に響き渡った。彼は、大会が個人的なものであることを否定し、彼は金本位制を支持する人々に悪意を持っていないと主張した。
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ただ、彼にとってその女が自分の娘でなく或は妹でなかったこと、または「ソーニャ」であったことは、彼の幸か不幸か私の知る所でない。精神的な第二の故郷を求める旅に出ることが、真摯な人には往々ある。その旅は苦難の道だ。
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一種の詐欺に近い。夫婦はセックスも含めて、もっと真摯に向き合うべきではないだろうか。前章にも登場したが、四十三歳のパオロは甘いマスクのやり手実業家だ。
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日曜の度に、牧師が、キリスト教普及の運動を、それが現代に於ける信者達の早急の任務であることを、熱涙をもって愬えるからであった。この牧師の異状な迄に真摯な態度がひどく信者達を動かしたのであった。「牧師様は普及運動に御熱心でいられますな」 「ほんに結構なことでございますよ」 信者の物問い度げな口吻に対して、お松は何時もきまってこう返答していた。
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冗談ではないと思い、キースはぴくりと動いたグエンの瞳を凝視したが、そこに怒りや惨めさを読み取ることはできなかった。ただ現実を受け入れ、立ち直ろうとしている真摯な瞳がそこにあった。気圧されるものを感じ、キースは無意識に半歩退いていた。
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純一郎がそこにいなくても、貧しい画学生や大道画家たちの姿をひとめ見てもらいたかった。彼らの真摯さを父が理解してくれたら、何かが変わるかもしれないと思ったのだ。いつもイーゼルを立てているマロニエの大樹の下に、純一郎の姿はなかった。
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一方大津市教育委員会の教育長は、和解の意向は市長の独自判断であり、教育委員会としては従来通り「いじめと自殺との関連性は判断できない」とし、市の判断は受け入れ難いとした。その一方で外部の調査機関の判断があれば結果は真摯に受け止めるとも述べた。加害者側とされた保護者は、事実誤認があるとして同校の校門でビラ配りを行うとともに、自殺は被害者宅の家庭環境が原因であるとした。
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源氏はすでに四十六である。紫の上は微笑んでいるが、真摯な願いだということは源氏にもわかった。それだけに源氏は恨みがましい辛い気持を抑えられなかった。
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私はまず、テーブルの向かい側の女の顔を見た。彼女は下を向き、さきほどまでの真摯な眼差しはもうすっかりと消えていた。だが、女将の質問は料理に関してだろう、と急に思い至り、私は何を食べたかを必死に思い出そうとした。
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私は、ボルツマンやドルーデの自殺の原因が何であるかを知らない。しかし彼らの死を思うたびに真摯な学者の煩悶という事を考えない事はない。学説を学ぶものにとってもそれの完全の程度を批判し不完全な点を認識するは、その学説を理解するためにまさに努むべき必要条件の一つである。
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あるいは、知ってて黙っているのか。どちらにしても、彼女の萌恵に対する真摯な友情は十分に伝わってくる。
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しばしば繰りかえしているうちに、べつにイヤな人物を前にしなくても、思いぞ屈してくると、あれこれの著名人を思い浮べて弔辞をつくってみることにもなった。ごく稀れにだが、満腔の敬意をこめて真摯そのもので考えることもあった。ごく、ごく稀れに。
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ゲイブルは長年別居中の年上の妻が居た為、不倫ということでゴシップコラムニストや大衆から大きなバッシングを受けたが、二人は芸能界を引退に追い込まれても一緒になると覚悟の上で結婚を決めた。この二人の真摯な態度にメディアも感銘を受け大衆も彼らを祝福した。過去二回の結婚に失敗していたゲーブルは、頭が良くイタズラ好きでユーモアがあり天真爛漫な性格のロンバードを愛し、その短い結婚生活中にはなかなか子宝に恵まれないという辛い経験もしたが、彼の生涯の中で最も幸せなひと時であったという。
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一九一四年以降の幻影について、ここでは多くを述べないことにする。より完全な記述と記録が真摯な学究の裁量に任されているからである。時とともに奇妙な抑制が幾分弱まっていったのは間違いなく、私の幻影のスコープは大いに拡大した。
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ここよりもっと雪が降りしきる所を目指して彼女は必死に走っている。その姿はあまりにも真摯で、見ているこっちの心を停止させた。はぁはぁと息を切らしながら、何かを守るためにあんなに健気に走っている。
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その後、右拾遺となった陳子昂は、武則天朝の酷刑や密告制度を用いる非情な政治体制を批判する上書をおこなった。これが原因で投獄されたが、その真摯さを評価されて復職することになった。
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事実この都会には、時と場合に応じ、あるいは驚嘆させ、あるいは戦慄させる魔力が漂っている。それが彼を中欧への旅に駆り立て、真摯な研究の数年を必要とさせたのだ。チャールズ・ウォードはバスをタクシーに乗りかえた。
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良は、もう、滝にまともにぶつかって来ようとすらしないのだ。真剣な葛藤のないところに、真摯な和解もまたありうるはずはなかった。滝は黙って良を見た。
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相変らず彼は、へまな真似ばかりしていた。ただ彼の愛の真摯さだけが、人の同情を集めていたのである。夫に対して、彼女がどんな気持でいるか、僕にもわかっていた。
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よけいな彩色付きの伝達でも耳を傾けてくれる方々がいます。恐縮すると同時に、その真摯な姿にこちらが学ばせていただく日々です。中には汚して渡した伝言をより奇麗にして返してくださる人達もいます。
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スペンサー曰く、ミル曰く、ショーペンハウエル曰く、カント曰く、などということがたくさんにできれば私は得意であったし、またそんな断片的な知識で人を驚かすに十分であると信じていた。けれど真の哲学は他人相手の仕事ではなくして自己の魂の真摯なる労作である。私に哲学上の教養があったとするならば、それは“someone said”の哲学に関してであった。
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パリに帰ると、私はあなたの不幸な事件と出奔とを知り、ファルネイユ夫人とともに涙にくれました。夫人はあなたが考えておられるよりずっと真摯な方ですぞ。私はこのりっぱな夫人と一緒になって、フランヴァル夫人に、ユージェニーをパリに連れて来るよう勧誘しました。
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代わりに、商売相手にするように、真摯な表情になって言葉を向ける。
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岡本一平氏が東京朝日に書いた漫画を見て、それに添えた文章をいつも附き添っていた稲垣氏に訳させてはいかにも無邪気な笑いに耽られました。真摯な一面にはそういう明るい上品な笑いが常にこもっていました。また機会があると、ヴァイオリンを手にして私たちにもそれを喜んで聞かされました。
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歌詞や曲の世界観を元に毎週産みの苦しみでセットや演出を考え抜いた。作り手側の強いイメージを真摯に説明することで歌手からもアイディアをもらった。誰もが時間と知恵を惜しみなく注ぎ込んだ番組だった。
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イガクリは、小学生のような真摯な眼つきで自分の浮き点を算えている。