琴線に触れる
32 の例文
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かく言えり、音楽を作りかつ鑑賞する能力は、言語能力の入手以前より人類に備わっていた。ひょっとするとそれが、音楽が我々の琴線に触れる理由なのかもしれぬ。模糊たる記憶、我々の魂のなかに、世界の幼年期、靄の時代のものが残っている。
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私が好きな運慶の中でも最高の作である。なぜ、ここまで私の琴線に触れたかというと、像が少年だからなのだ。凛々しく若さの息吹きが伝わってきて、そこから生意気な自信までも感じられる仏像なんて、他にはない。
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作曲は委嘱を受ける以前の1903年から断続的に行われていた。夢見る芸術家を讃えた詩文がエルガーの琴線に触れたことは疑いがない。
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自分の何が琴線に触れたかは興味のあるところだった。光稀が挑みかかるように高巳を睨む。
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仕事に関する質問が済んだ後に趣味の話となり、和田は好きな花づくりについて触れ「土いじりをしていると心がやすまる」との趣旨を述べた。和田はこの際のやり取りが堤の琴線に触れ採用につながったと理解している。
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アメリカでは公開当時、戦争の暗い世相に疲れた人々の心の琴線に触れて大ヒット。現在でもミュージカル映画の枠を超えた、不朽の名作映画の一つに数えられている。
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死亡者の名は、米倉文哉といった。漢字で読んだだけではピンと来ないが、口に出してみてその名が記憶の琴線に触れた。
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その古い写真は、よほど彼女の琴線に触れるものがあったらしい。
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いったい、これはどうしたことなのだろう?美しいハーカー夫人に会ったために、何か患者の記憶の琴線に触れたものでもあったのだろうか。この新しい局面が自然に、あるいは夫人の無意識の影響のうちに起こったのだとすると、夫人はなにか稀有な天分か力を持っているにちがいない。
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おそらくたいしたちがいはないだろうが、それを確かめるためにあのなかに入ることはできないものだろうか。新しい環境や経験のすべてが、彼の心の琴線に触れた。思いきって二組の四重唱を鉱夫のために作曲したが、それはすでにあるたくさんのバラッドよりも彼らの声楽の技量にふさわしいものだった。
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スミスが母国語を聞いたのはひさしぶりだった。その声は耐えがたいほどの鋭さで、隠れていた心の琴線に触れた。その魅惑的な甘い声で話された母国語。
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夫は亡くなったのにもかかわらず、脳軟化症の姑の世話のために、嫁ぎ先にとどまる、という嫁姑の対立というよりも、まあ嫁の美談に近い。小姑や実家の親まで出てくれば、どれかは主婦の琴線に触れるに決まっている。それにつけても、嫁姑のドラマでの夫の影の薄いこと。
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物語には水晶のような明晰さと切れ味があり、それが私の心の琴線に触れたのです。
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最終文の続きを知っているようだった。二つの名前が記憶の中の琴線に触れた。どうしても思い出せず、そういえばどこかに続きがあり、確実に存在する。
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三回巻いた所で、指が止まった。何かが、心の琴線に触れたような気がした。
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このおことばは内外の研究者らの琴線に触れ、国内外で多くの反響を呼んだ。また、2011年の「国際微生物連合会議」では明仁天皇が記念式典と記念懇談会に出席し、国内外の著名人が集まった。
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あまりにも健全すぎるから。健全さからは対角に位置する俺たちの、琴線に触れるのだ。
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自分の意見を主張するのと同様に、「同じ意見」だと思う感性も大事にしてあげたいと思う。私は小説や映画の主人公の喜びや悲しみに共感するし、先人の言葉で琴線に触れるものは自分の言葉のように思っている。世の中にはいろんな才能を持った人たちがいっぱいいて、私はその人たちに敬意や憧れを抱いている。
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ただ、どことなく不安な気持ちになった。何かが私の琴線に触れている。
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「とても親切にしていただいて」 サタースウェイト氏は気をよくすると同時に、二人にたいして興味をいだいた。彼らの純真さと誠実さが、彼の心の琴線に触れたのだ。それに、彼としては、自分のよく知らない世界をちょっとのぞき見させてもらうという興味もあった。
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その瞬間、その穴居人がぱっと立ち上がった。しかし娘の声は、ウォルドーの胸中で、何世代にもわたって使われていなかったために萎縮していた何かの琴線に触れた。生まれて初めて彼は勇敢な振舞いをした。
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ウージェーヌはとても居心地悪く感じ始めていた。彼はやっと子爵夫人に話しかけられたが、それは彼の心の琴線に触れ、彼の感動を誘う響きを持っていた。
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ヤッカガラを建設した目的はなんだったのか?この王は悪逆非道ではあったかもしれないが、それでも彼の性格には、何かモーガンの心の奥の琴線に触れるものがあったのである。三十分で日の出になるだろう。
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清代の人々の書いたエッセーを読むと、文人たちが『紅楼夢』に大きな興味を示し、ときにはその内容をめぐって論争したりしている。読者、あるいは普通は醒めた目で小説を見ていた文人たちにこれほどまで冷静さを失わせたのは、この小説が人々の心の琴線に触れたからであろう。人間心理の深層に触れ、多くの人たちの共鳴を呼び起こした『紅楼夢』のなかで、もっとも大きな比重を占め、もっとも読者を感動させたのは、いとこ同士である賈宝玉と林黛玉の恋である。
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送る側も祖国と天皇陛下のために死んで来いと告げたものである。死ぬことを義務づけられた身が、初めて生きて還れと説かれて心の琴線に触れられたようにおもった。同時にこの艦長のためなら喜んで死ねると奮い立ったのである。
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自分では結婚してもよいと思っているのに、タイミングのいい時に、いい女が出てこない。いい女というのは野口にも分らぬのであるけれど、その時その時、どこか一点、こちらの心の琴線に触れてくる女である。近所のスーパーのレジによね子という女がいた。
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琴線に触れたことは明らかだ。リッチフォードがますます自信たっぷりに続けた。
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彼女は身をかがめ、全身が襲いかかる態勢を見せていた。ふと彼女の獰猛なものが、かれの野生の琴線に触れた。死に直面していた。
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