気障な男
19 の例文
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負けました、と佐倉はバットをピンポン台の上におくと、きちんと両足をそろえて加藤に向って頭を下げた。加藤は、それに挨拶をかえしながら、なんと気障な男だろうと思った。試合を始める前には、そんなことはしなかった。
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殺された二条も気障な男だったけど、この素人探偵のポーズにも似たところがある。由木刑事はそう考えていた。
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ヒヨツトしたら誂へ向きかも知れぬぞ。あのキャプテンは面が青白い上に背がスラリと高くて、どこともなしに気障な男だ。
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健はあの映画館の裏の喫茶店をたずねた。蝶ネクタイの気障な男はいず、肥った年増女がカウンターの中にいた。
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何かぎくしゃくしたやりとりだった。だが、カウンターの奥にもう一人男がいて、それが例の気障な男だったので健はほっとした。
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気障な男が健のほうを見たのと、健がうしろから肩を叩かれたのと、ほとんど同時だった。
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おしのちゃんのすまいが麻布のどの辺になるのか、その夜タクシーに乗せられた健には、まるで見当がつかなかった。ただ、あの気障な男が、おやすみといって別な方角へ帰って行ったので、健はひどくほっとした。おしのちゃんが住んでいるのは、二階だてのアパートだった。
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白のグロリアだった。ハザードランプが点きドアが開くと、ポロシャツの襟を立てた気障な男が降りてきて、エンジンをかけたままコンビニへと入っていった。迷いはなかった。
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健は蝶ネクタイをしめ、店に出るようになった。いとこ、ということになっていたが、マスターと呼ばれるあの気障な男は、健とおしのちゃんの関係を見抜いているようだった。「あいつの弱いとこは、耳の裏っかわと背骨のここんとこだぜ」 マスターは、ひょいとそんなことをささやいて、健をからかったりした。
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どこかの建築家か、大学講師のようだった。気障な男だと小峰は思った。反発を隠し、ていねいに声をかける。
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この太郎は大きな顔して居候をきめこんでいるが、どだい丙種で兵隊に行ったこともなけりゃ働いたことすらない。ハナは普段からこの気障な男が大嫌いだったが、おとうちゃんの兄貴じゃ仕方がない。それにしても大事な時につまらないことを言う人だとハナは腹が立った。
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その店は、コーヒーを飲ませるにしては贅沢すぎるように思えた。濃紺のソファーがテーブルを間に向き合っていて、洒落た半円形のカウンターの中に、蝶ネクタイをしめた気障な男がいた。
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私は、カイロから来たテレビ局の報道記者M君と気が合い、よく二人でつるんででかけた。相手は私より多少年下だが、コール天の上下に細ネクタイ、それにチョビ髭なんかはやしたいやに気障な男である。風体は気障であるが人がらはすこぶる泰然としている。
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総監室のソファーに、見慣れぬ文官がすわっていた。時代遅れで大仰なモーニングを着こんだ、気障な男だった。この暑さに、よくモーニングを着られたものだ。
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気障な男だが、餅は餅屋である。
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そして、|処女《お と め》ごころは、茶屋がよいの幾多の男性を見るにつけ、自分の行くすえは、こんな群れにはないものときめ、それらの気障な男たちを冷蔑し、五年前の武蔵の面影を、ひそかな胸の奥において、口誦む歌にも、ひとりで末の夢を楽しんでいた。
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「よせよせ、喧嘩は」 行武の敗北をみとめたように仲裁をかってでたのは橘秋夫だ。度のうすい、ふちなしの眼鏡をきらりと光らせ、みどりの半袖シャツに空色のズボン、ひと握りの髪の毛をわざとらしく額にたれ下げた気障な男で、専門はピアノをやっているけれど、学期末の試験でバッハの『平均律』に妙なシンコペーションをつけて弾き、試験官の教授を慨嘆させたというエピソードをもっている。卒業後の希望はキャバレーでジャズピアノをやること。
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