有体
138 の例文
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少なくとももっと淡泊でした。私は証拠のない事を云うと思われるのが厭だから、有体に事実を申します。だから兄さんも淡泊に私の質問に答えて下さい。
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なお、この商品とは有体的商品の販売額を指し、不動産などは含まれない。また、消費税も金額に含まれている。
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病気のためにも病床の慰みにも将た又死後の計の足しにもならないこういう高価の大辞典を瀕死の間際に買うというは世間に余り聞かない咄で、著述家としての尊い心持を最後の息を引取る瞬間までも忘れなかった紅葉の最後の逸事として後世に伝うるを値いしておる。有体にいうと、私は紅葉の著作には世間が騒ぐほどに感服していなかった。その生活や態度や人物にも慊らなく思う事が多かった。
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御奉行から直々の命令だ。有体にいえば、御奉行ももっと上の方から云いつけられているのではないかな?
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彼らにだけ特有な内外の曲折を経過して来た彼らは、他人より少し複雑な眼をもって、半年前に成立したこの新らしい関係を眺めなければならなかった。有体にいうと、お延と結婚する前の津田は一人の女を愛していた。そうしてその女を愛させるように仕向けたものは吉川夫人であった。
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有体に言えば今のお絹は、男が欲しくて欲しくてたまらないのであります。男でさえあれば、どんな男でも相手にするというほどに荒んでくることが、このごろでもたえず起って来るようでありました。
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どうやらお前の方が善人らしい。さう有体に白状した上はお前の罪は消えてしまつた。
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猫のほうが本体となれば、一体化というより、有体に同化かな。まったく強敵だよ。
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ですから有体にいえば、少年はわざと負けてかえるつもりで家を出てきているのです。が、さっきからのとってつけたような、左近将監の歯のうくよなおせじをきいているうちに、少年の心にはむらむらとおさえがたい不快の念がきざしてきました。
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実を云うと私は著者の実際家らしい識見に啓発される処が甚だ大きいのだが、夫と同時に右に述べたような疑点が却って鮮かに私の眼の前に浮び出して来ることを禁じ得ない。なお付録の四つの文章は有体に云ってあまり共感出来ないものだ。
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カレーは果して少しも辛くなく、有体にいって食べられるものではなかった。私は大半を残し、女房が少しそれを味見して、やはり、まずい、と言った。
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だが、これには私も二の足を踏んだね。有体に言うが、この上に寝るんだと言って出された蓆を見ると、さすがにいい気持はしなかった。だが結局、肩をすくめながらも、うんと言っちまった。
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一枚でも多く持つて、これからお婿さんと一緒に新規な生活を始めなければ成らなかつた。有体に言へば、妹のことなどは関つて居られなかつた。
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ヴェイユは、有限体上の一変数代数関数体に対するリーマン仮説を種数が2以上の場合に証明するために、任意の体上の任意次元の代数多様体に対して使える交差理論を必要としていた。この本では、生成点は各座標の値が万有体と呼ばれる非常に大きな代数的閉体の元であるような点として定義されている。また、この本では抽象多様体がアフィン代数多様体を貼り合わせることで定義されている。
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要するに、学生であれ、若い人であれ、無責任であり、自分と他人とに甘えすぎている。そして、有体にいって、現実の社会はもっときびしいのである。若い時代の身勝手な甘えは、きっとのちになってその人に悪くはね返ってくるだろう。
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彼はいざという場合、もともと熱心ではなかった医者稼業をさらりとやめて農場を経営しようという目算を立てていたのだ。もっと有体にいえば、彼はこの戦争の成行きを以前から彼なりに絶望的に感じとっていた。滅多にないほど落第を繰返し人並はずれて悠々と送ってきたその人生が、彼にこの時代には稀有となっていたもの、即ち常識を、残し保有させていたのである。
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福地桜痴、末松謙澄などという人も創業時代の開拓者であるが、これらは鍬を入れてホジクリ返しただけで、真に力作して人跡未踏の処女地を立派な沃野長田たらしめたのは坪内君である。有体にいうと、坪内君の最初の作『書生気質』は傑作でも何でもない。愚作であると公言しても坪内君は決して腹を立てまい。
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そういう噂です。まあ、有体に言えば二号さんの生活ですな。二号さんか、本妻さんか、そこは知りません。
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二日後、まず田代富士男が釈放され、次いで池田も拘置所から出て来た。有体に言えば乙は甲の親書に依って、満州での命の恩に報いたという。大阪事件の搜査段階が、急にバタバタと締めくくられ戸田先生に地検の手が伸びなかったのも乙検事が一切合財目を瞑って幕を引いてくれたからであったという。
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たが、もっと有体に言ってやろうか、そうとも、自業自得なんだ。
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忍野さんがよく言っていたあの『人は一人で勝手に助かるだけ』という言葉の真意は、ひょっとしたらその辺りにあるのかもしれませんね。そこに生じてしまう縁や、有体に言うところの責任を、ちゃんと引き受けられるかどうかを考えていないのであれば、それはどこまで行ってもその場しのぎにしかならないのですから。阿良々木くんが忍ちゃんを助けたがために忍ちゃんが阿良々木くんに縛られてしまったように、私はあなたをブラック羽川として、私に束縛してしまった。
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山奥の部落の人たちまで、毎日のように泉で水をあびる。有体にいって、彼らは欧米人よりむしろ清潔といってもよい。
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その後私はあなたに電報を打ちました。有体にいえば、あの時私はちょっとあなたに会いたかったのです。それからあなたの希望通り私の過去をあなたのために物語りたかったのです。
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大正十五年の春、養父の基一郎が歿したのち、徹吉は当然新しい院長として楡病院を引継いだ。有体に一口でいって、それは彼の柄ではなかった。災厄後の過渡期の病院、灰燼の中から無理算段に再建をはからねばならぬ、医療とはまた別の苦難を背負うにはふさわしくなかった。
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その直前まで、浅見は漁協事務所内にいた。有体にいえば軟禁状態にあったというべきだ。「わしと茂は、ひとまずあなたを準仲間として認知しますがね、島民すべてが余所者に心を許すには時間がかかるもんです」 助太郎は弁解がましくそう言ったが、浅見は直観的に何かべつの理由があるような気がした。
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言うなれば大政治家の器ですぞ。有体にいって、あんたは軍隊に行っても役に立たない。アスパラガスを作っていたほうがずっといい。
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賢い人間がこの世にどれだけいるというのか。自分の周囲、少なくとも楡病院に暮していた人々は、有体にいえばすべて愚かであった。誰も彼もが愚かであった。
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しかしながら有体に言えば、私の貧弱なる知識では、この説の前半の当否を、批判することが出来ぬのである。何となれば私はアッシリヤに関しては、毫末の知識だに有していぬからである。
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