暖簾
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名詞
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五人ほどがかけられる長椅子に、三人の客が座っていた。暖簾のせいで顔は見えないが、いずれの後ろ姿も父のものではなかった。私は地図を見て、再び歩きだした。
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手めえらに節季振舞いをするためにこうして暖簾をかけてるンじゃねえ。
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万というからは何事でも、口入れをするのがほんとうです。それともお前さんの店では暖簾の上に、嘘を書いておいたつもりなのですか?
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万と云うからは何事でも、口入れをするのがほんとうです。それともお前さんの店では暖簾の上に、嘘を書いて置いたつもりなのですか?
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湯道具を前垂に包み、蛇の眼の傘をさした女が暖簾をくぐって出て来た。豹一は窓硝子の曇りを手で拭って、その女の後姿がぼうっと霞んで遠ざかって行くのを、見ていた。
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長さ十間半、幅一丈二尺の木橋である。蕎麦屋の暖簾を通して、源三郎はその橋にぼんやりと目を向けていた。茶代わりに蕎麦湯を口にしていた。
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彼はその子の家に黒い暖簾が下っていたのを思い出して、誰が死んだのかと訊いた。男の子は黙っていた。
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わたしがこの質屋の顧客となった来歴は家へ出入する車屋の女房に頼んで内所でその通帳を貸してもらったからで。それから唖々子と島田とがつづいて暖簾をくぐるようになったのである。もうそろそろ夜風の寒くなりかけた頃の晦日であったが、日が暮れたばかりのせいか、格子戸内の土間には客は一人もいず、鉄の棒で境をした畳の上には、いつも見馴れた三十前後の顔色のわるい病身らしい番頭が小僧に衣類をたたませていた。
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そこでこの店頭の洗い晒された暖簾の文字も何十年来の煤を払って、界隈の現代青年に何か即興的にもしろ、一つのショックを与えるようになった。彼等は店の前へ来ると、暖簾の文字を眺めて青年風の沈鬱さで言う。
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芳次郎に「どうなとしろ」といわれても、まさかにこれを町奉行所へ突き出すわけにもまいらぬ。そのようなことをしたら、われから暖簾に傷をつけることになる。お里や庄太郎から怒鳴りつけられ、奉公人たちからは侮蔑の目をそそがれた芳次郎が、夜に入ってから父の太兵衛へ、 「この家を出て行きますよ、お父さん」 と、いい出た。
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同時にお葉が暖簾を割ってあらわれ、腰をおろさずに膝だけを畳につける。
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すぐに暖簾が割られ、以前にも見たことのある三十五、六の女が顔を出す。女は敷居の前で膝を折り、目顔で倩一郎に挨拶をしてから、米造に向かって畳に手をそろえる。
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浅見は、静寂と見えない視線の重圧を撥ね除けるように、大きな声でもう一度「ごめんください」と言った。いきなり足音がしたかと思うと、暖簾をかき分けて男が顔を出した。見た感じ、浅見と似たような年恰好だが、この網元の家では、いわゆる「若い衆」なのかもしれない。
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この日の料理は、三郎の長女である容子と婿養子の富雄の手によるものだった。蕎麦屋の暖簾を継いでいるだけあって、二人とも料理の腕はたしかだ。各自一つずつの膳に載せられた和食は、生半可な仕出しではこうはいくまいと思えるほど豪華でかつ繊細なものだった。
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暖簾が戸の内側に入っていて、佐伯はふり返ってその白抜きの文字を見た。文字は裏返しだった。
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客の飲み残したビールを片付けていた中年の従業員が、二人の方を見て眼でうなずいた。連絡員は店の奥まったところに下った便所を示す暖簾を分けて入って行く。大文字もそれに習う。
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ネオンサインが瞬きはじめている。肩の力の抜けた表情で居酒屋の暖簾をくぐる、会社帰りのサラリーマン。なにやら興奮したように話している、厚化粧をしたミニスカート姿の東南アジアの女たち。
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