日本語で喋舌
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客が西洋人にお友達を持つてないといふ事は、幾らか浅子女史の機嫌を悪くした。女史は急に日本語で喋舌り出した。人間といふものは、すべて込み合つた事柄は自分の国の語で話した方が都合が好いものだ。
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山陽ホテルの駅前街路を見晴らす豪華な一室に、立派な緞子の支那服を着た、鬚髯と眉毛の長い巨漢が坐っていた。白々と肥満した恰好から、切れ目の長い一重瞼まで縦から見ても横から見ても支那人としか思えなかったが、その前にツカツカと近づいた今の人相の悪い紳士が恭しく一礼すると、その支那人風の巨漢は鮮やかなドッシリした日本語で喋舌り出した。
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最初の休憩所で見た旅人達のある者が我々に追いついたので、しばらく一緒に歩いた。娘たちは、笑い笑い日本語で喋舌り、時々「オー、アツイ、アツイ」と叫ぶ。私に判った言葉はこれだけ。
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そこの客は大概外国人ばかりだった。私たちが一隅の卓で殻つきの牡蠣を食っていると、兎の耳のようにケープの襟を立てた、美しい、小柄な、仏蘭西女らしいのが店先きにつと現われて、ボオイをつかまえ、大事そうに両手でかかえている風呂敷包を示しながら、何やら片言まじりの日本語で喋舌っている。私には「ネープルをもってきました」と言ったようにそれが聞えた。
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そこの客は大概外國人ばかりだつた。私たちが一隅の卓で殼つきの牡蠣を食つてゐると、兎の耳のやうにケープの襟を立てた、美しい、小柄な、佛蘭西女らしいのが店先きにつと現はれて、ボオイをつかまへ、大事さうに兩手でかかへてゐる風呂敷包を示しながら、何やら片言まじりの日本語で喋舌つてゐる。私には「ネープルをもつてきました」と言つたやうにそれが聞えた。
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