新手の船団
4 の例文
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元吉率いる二百艘の船団は、陣形を崩さず針路を変え、南方へ向けて舳先を揃えた。難波海に入るなり横腹を見せながら南下を始めた新手の船団に、 「あの五十艘は囮だったか」 と沼間任世は大声で喚いた。明石の瀬戸からやってきた以上、突然姿を現した船団は毛利家のものと見てまず間違いない。
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「ど阿呆、そないなこと言うてる場合か」 と言いながらも頬は緩ませ、これも大笑を放っていた。それでも次郎だけはおさまらず、 「お父、どないすんねん」 と、ますます顔を赤くしたが、 「決まってら」 七五三兵衛は息子に向かって片眉を上げ、新手の船団を睨んだ。敵の主力は村上海賊に違いない。
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すでに七五三兵衛は頭を切り替えている。安宅の船首に立ち、行く手に迫る新手の船団を見詰めていた。戦はこれからが本番だ。
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このときである。あわや総崩れかと見えたゴミ舟陣が、ぱっといきなり二手に分かれ、背後に潜んでいた新手の船団を、 「こなくそッ」 ぱにっくを起こした鯨の大群さながら、猛然と前面に押し出して来たのだ。「やッ、糞舟だッ、肥担桶舟を繰り出しやがったぞう」 警戒警報が発せられたときはすでに遅く、味方はざんぶざんぶ、臭気強烈なる黄金水をぶちかけられ、 「ひゃあ、たまらねえ」 右往左往、逃げまどった。
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