我田引水
全て
名詞
78 の例文
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私はその箇所に鉛筆で線を引いた。我田引水の姿勢で読めば、この部分は大変納得のいくものであったから。私が物を書くようになったのは、病みあがりの時期に友人が出していた小冊子に〝現代経営者の孤独について〟という短文を発表したのが契機になっていた。
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この書物では『倭人伝』の文章が都合のいいような訳し方になったり、地名も無理した語呂合せに終っている。しかし、誰がこの四国の医師の我田引水を咎めることができるだろうか。大なり小なり昔からどの学者も同じ牽強附会をやって来ているのである。
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そしてそれは彼に文学者的素質があるかどうかということよりも、彼が文学を通して人間を見る眼を持っていたこと、ひいては彼の人間的成長の度合を示すものなのである。だから私は何も我田引水的に大杉を文学に結びつけようとしているのではない。また彼は青春の或る時期に作家志望だったということもなかったらしい。
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このようにわたしたちの神々はたいてい稲から生まれている。日本人の基本的な行動様式に、「我田引水を嫌う」ということがあります。自分の田に勝手に水を引いてはいけない、そんなことをしたら、それこそ村八分です。
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が、どちらにしろ、自分たち銘々に都合のいい、我田引水式の解釈だ。こういう僕自身も、以前はこれらの人々と同じような生活をしていたが、いまはもう、彼らとはちがう。
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関東軍はあの終局こそ最も不適当、屈辱的と考えている、と両者の論旨は食い違ったままになった。張鼓峰事件の解決を理想的とするのは、作戦課長の我田引水のきらいがある。ソ連がどう出るか叩いてみよう、まかり間違えば一個師団フイになるかもしれないが、漢口作戦を行おうとしている日本としては、ソ連が出て来ないことを確かめる、という稲田構想からはじまったことである。
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コワコフスキの哲学理論に一貫している「無限豊穣の法則」を端的に言えば、たとえいかなる理論・教義であってもそれを信じ込んでいる者にとっては支持する論拠に事欠かない、ということである。人というのはある物事を妄信してしまうとなんでも我田引水に解釈してしまう傾向があることを指している。ポーランド第二共和国ラドム出身。
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わたしはむしろ老年に有利ではないかと思うんです。わたしははじめから全部我田引水的な話ばかりしているわけですが、少なくもそういうふうに生かしていくことができるのではないか。欲望のサブリメーションそこでまた別の問題にうつりましょう。
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木下は当初、移庁論を積極的に推進したが、斯様な世論のすり替わりに対しては痛烈な批判をした。旧筑摩県全体ではなく、松本のみの都合を考えた「我田引水」とみたからである。彼の言論は反発を呼び、松本の民衆から石を持って故郷から追い出された。
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大学について言うと、勤め先だから我田引水になりやすい。世間知らずの役立たずがまた愚痴を言う。
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昔から、稲作農家では田んぼこそ私有地でも、労働力や農業用水は村人共通のものという暗黙の了解があった。だから、田植えのときには全員で力を貸しあったし、我田引水は軽蔑の対象となった。竹茂村では、もっと強く結の力が働いているような気がするね。
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かっこよさそうな職業、必ずしも楽ではないのだ。作家と同様にと書くと、我田引水となるか。約七時間半の飛行で、バンコックへ到着。
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我田引水になってしまうと困るけれど、酒も博奕もやらない男は、そのぶんだけ、ひとつのことを思いつめるということになりはしないだろうか。たしかに、酒の効用、博奕の効用は存在するはずだと思っている。
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老倉については我田引水が過ぎるのかもしれないけれど、しかし幼なじみである彼女を論理だけで語るのは、僕には無理である。
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むしろカミソリといわれる小村寿太郎に理詰めで談判したつもりでいる。彼でなくったって、ある目的だけを正当化しようと我田引水すると、たいていこういうことになる。ワイロを政治献金だとする現代政治家の怪論理を見るがいい。
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帰国早々の北里は、伝染病研究所創設の必要性を、直接、間接に、各界に説いて回った。ポストのない学者の、我田引水ではないか、とこれをみるならば、それは明らかにまちがいだ。統計的事実が、明白に示している。
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新しい形という意味がなんであるか、くわしい説明はやめて簡単に新しい形の生物学とだけ申しておきます。あるいは生物物理学といってもよろしいのでありますけれど、あまり物理という言葉を使いますと我田引水のように誤解されそうですから、それもやめます。生物学の発展にともなって、私たち人間の身体や頭の働き、神経の働きなどのしくみがこまかくわかってゆく。
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