従容
全て
名詞
103 の例文
(0.01 秒)
-
が、頭のほうはというと、完全にまんまるで、脳天はごく短かく刈った、薄い明色の髪で蔽われていて、縁も紐もない鼻眼鏡と、あまり太くない明色の軽く縮れた口髭と、片頬からこめかみへかけての、おびただしいこまかい決闘の創痕とが、顔を飾っている。なおこの紳士は申し分のない体格で、その動作は従容としたものだった。
...
-
「内密の御用を申しつける」 「はっ」 「いうまでもないが、十蔵、これは大秘事じゃ」 「心得ております」 「また御用を承った上は、いかようなことがあっても辞退はならぬ」 「覚悟のうえでござりまする」 ようやく十蔵はおのれをとりもどした。ひそかな恐怖はあったが、外見は彼らしく従容たる態度を見せていた。「拙者、いのちをかけて、どのような遠国へでも」 「遠国ではない」 と、筑前はいった。
...
-
寝てもおれ、覚めてもおれ、このおれが至るところにつけまつわっているから、人間の行為言動が人工的にコセつくばかり、自分で窮屈になるばかり、世の中が苦しくなるばかり、ちょうど見合をする若い男女の心持ちで朝から晩までくらさなければならない。悠々とか従容とか云う字は劃があって意味のない言葉になってしまう。この点において今代の人は探偵的である。
...
-
「内密の御用を申しつける」 「はっ」 「いうまでもないが、十蔵、これは大秘事じゃ」 「心得ております」 「また御用を承った上は、いかようなことがあっても辞退はならぬ」 「覚悟の上でござりまする」 ようやく十蔵はおのれをとりもどした。ひそかな感激はあったが、外見は彼らしく従容たる態度を見せていた。「拙者、いのちをかけて、どのような遠国へでも」 「遠国ではない」 と、大老はいった。
...
-
結論として大石らは、〝侠者〟ではあるが、〝義士〟ではない。義は仁より出て、従容せまらず道にあたることを主とするものである。これに反して侠は情よりおこる、故に妄動して目的を達することしか考えない。
...
-
-
「さがりなさい、セナ=ユリア」 いつものようにどんな説明もなく、チェルケンは命じる。以前の彼女なら、すぐに従容としたがったが、今はきっぱりと首を横にふった。
...
-
生まれて初めて愛したひとのために、従容と死んだのです。ですから、青鹿先生、あなたはかりそめにも死のうなどと考えてはいけません!
...
-
何も考えることは止そう。従容とは死ねないにしても、私は私らしい死に方をしよう。私の死骸が埋まって、無機物になってしまったあとで、日本にどんなことが起り、どんな風に動いて行くか、それはもはや私とは関係のないことだ。
...
-
それとも根っからのリアリストゆえ、死という現実を従容と受け入れたのか。さっきの突風のような暴力は、怒りとも憎しみとも違う。
...
-
だが、不平を漏らす者は一人もいなかった。従容とした態度で、それぞれ運命を受け入れようと努めている。まことにもって、あっぱれな若者たちであった。
...
-
素肌の老幼などは、一撃の下に倒された。彼らは倒れると、倒れたままに、十字を切って従容と神の国へ急いだ。惣八郎は手に立ちそうな相手を選んでは、薙ぎ倒した。
...
-
このとき彼はすでに従容たる態度をとりもどしていた。
-
そしてその輝かしい微苦笑には、本来の素質に鍛錬を加えた、大いなる才人の強気しか見えない。更に又杯盤狼藉の間に、従容迫らない態度などは何とはなしに心憎いものがある。いつも人生を薔薇色の光りに仄めかそうとする浪曼主義。
...
-
その結果、沼崎は死ななければならなかった。彼は自ら選んだ道の果てにある責任を従容と受け入れたのだと、涼子は信じるように努めた。犠牲の上であぐらをかいている人間たちの存在があっても、個人の美徳がなにひとつ反映されない国政に絶望させられても、関係ない。
...
-
黒騎士はいともたやすく、根元から引き抜いてのけたのだ!左右の家並みにもたれて、二重の柵となった幹の向こうから、従容たる声が言った。
...
-
悲観の極は例の弾機仕掛けに弾ね上げられ、人生を見直し出した従容たる態度の歌であります。蕭条たる秋風に鎗を立てて微笑む鹿之助の顔が眼に泛ぶのであります。
...
-
以前、幕府に難色があるときいたときに、彼を推薦した一有力者の屋敷で待っていた武蔵は「曠野旭日の図」一幅をえがいて去ったという。その従容たる心はどこへいったか。
...
アマゾンで検索:従容