当らず障らず
13 の例文
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お延は相手が相手なので、当らず障らずの返事をしておくに限ると思った。
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そのように北村は感じた。当らず障らずの受け応えをしてる北村へ、富子は妙なことを尋ねかけてきた。
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それでなければ、宅に寐てゐるんだと云つて、大きな声を出して笑つて見せた。代助もそれが可からうと答へたなり、後は当らず障らずの世間話に時間を潰してゐた。けれども自然に出る世間話といふよりも、寧ろある問題を回避する為の世間話だから、両方共に緊張を腹の底に感じてゐた。
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それでなければ、宅に寐ているんだと云って、大きな声を出して笑ってみせた。代助もそれが可かろうと答えたなり、後は当らず障らずの世間話に時間を潰していた。けれども自然に出る世間話というよりも、寧ろある問題を回避する為の世間話だから、両方共に緊張を腹の底に感じていた。
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彼には澄ましてそこを通り抜けるだけの腹がなかった。それでいて当らず障らず話を傍へ流すくらいの技巧は心得ていた。彼は小林に捕まらなければならなかった。
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けれども、華頂氏の決意は断乎たるものであるし、妹の態度はアイマイで、いまだに目がさめない。。しかもこのままに放置すれば、性格の相違という当らず障らずの理由で離婚は世間的にも承認せられて永遠のもの、とり返しのつかぬものとなりそうだ。
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しかるに、近所では美しいと、しおらしいで評判の誉物だった母親が、毫もこれを真とはしない。ただそうですか済みませんとばかり、人前では当らず障らずに挨拶をして、滝や、滝やと不断の通り優しい声。
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オ百姓、という。百姓じゃ軽蔑しているようだし、農夫というと学問の書籍の中の言葉みたいで四角すぎるし、当らず障らず、軽蔑の意をおぎなう意味においてオの字を上へつける。オ百姓のオの一字に複雑怪奇な心理的カットウが含まれ、そして、そういう心理的カットウが日本人の生活に実在するところから怪奇なる敬語が現れる次第であって、根はあくまで、生活が言葉を生んでくるだけだ。
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嫁といっても、取って十九になったばかり、下女のお民ほどのきりょうではありませんが、厚化粧で、笹紅まで含んで、正月化粧ではあるにしても、ここを先途といっためかしようです。一つ二つ平次は当らず障らずのことを訊きましたが、大黒屋の嫁という身分に満足しきって、他のことは少しも興味も関心も持たない、おぼこ嫁といった感じです。もう一人の養女お吉というのは、嫁のお村よりは二つ三つ年上らしく、これはなかなかのきりょうですが、養い親達の気に入らなくて一緒になるはずだった養子の弥三郎に嫁をもらわれ、はなはだ面白くもない日を送っている様子でした。
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逐っ払いでもするように、気を廻れちゃ困る。君から、当らず障らず、説き伏せてはくれまいかね。
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いかに自炊の仲間でも十年も逢わなければ、何となく気のおけるものだが迷亭君に限って、そんな素振も見えぬのは、えらいのだか馬鹿なのかちょっと見当がつかぬ。「可哀そうに、そんなに馬鹿にしたものでもない」と鈴木君は当らず障らずの返事はしたが、何となく落ちつきかねて、例の金鎖を神経的にいじっている。「君電気鉄道へ乗ったか」と主人は突然鈴木君に対して奇問を発する。
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みんな新聞に出た事許である。其代り、当らず障らずの材料はいくらでも持つて居る。いつ迄経つても種が尽きる様子が見えない。
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