庫裡
全て
名詞
783 の例文
(0.00 秒)
-
最近、その亀は、下寺町の心光寺の境内に居候していたのだが、その心光寺の本堂が三、四年前に炎上してしまった。しかし不思議にもその亀のいた庫裡は幸いにして焼け残ったのである。この現代ではまたもや亀が水を吐き出したのだと吹聴しても誰も本当にはしないであろう。
...
-
仏具も目新しい物が多かった。弥三郎は、その寺の庫裡とも書院ともつかない部屋で播隆を待っていた。弥三郎の傍に徳念が坐っていた。
...
-
そこらに無雑作に五つ六つ置かれてある地蔵仏を見た。庫裡では何か村の相談事でもあるかして大勢人が出たり入つたりしてゐるのを見た。種子達はずつと此方に来て、その庫裡の方へと母親が入つて行つてそこから出て来るのをぢつとして待つてゐた。
...
-
境内に入ると、正面に本堂、右側に小さな庫裡がある。庫裡の裏は墓地になっているのだが、これは境内からは見えない。雲来郷を初めて訪れた者がこの寺を見たら、薬草寺の名から、薬師如来がまつられているものと思うかもしれない。
...
-
浄土宗の高僧山崎弁栄が大正7年7月、61世住職に迎えられ、事実上の中興の祖となる。その徒弟養成のための学校が庫裡に設けられ、後に境内地に建てられた。学校法人光明学園相模原高等学校の起源である。
...
-
-
起きているのが二人、寝ているのが二人、本堂にいるのは四人だった。それに、庫裡のほうでは毎晩お楽しみだと、男のひとりが言っていた。首領格の浪人高瀬浦之助とお染という女は、庫裡にいるのに違いなかった。
...
-
三人はよりつよられつして、足もと危く、長い廊下を本堂へとやって来る。庫裡からはかみさんと小僧とが顔を出して笑ってその酔態を見ている。三人は廊下から本堂にはいろうとしたが、階段のところでつまずいて、将棋倒しにころころと折りかさなって倒れた。
...
-
二宮は庫裡の格子戸を開けて、誰かいてはりますか、と声をかけた。庫裡の横から返事が聞こえて、むぎわら帽をかぶった初老の女が現れた。「はいはい、なんでしょう」 女はむぎわら帽を脱ぎ、首に巻いていたタオルをとって額を拭く。
...
-
廊下を走るように慈海が出てゆく。耳をすましているとその足は庫裡の玄関横の三畳のあたりで止った。何か慈海の怒っている声がきこえた。
...
-
妙な部屋だった。庫裡のそり棟になった大屋根の梁木の上へ、床を張っただけのものである。ふつうの二階ではないから、窓がない。
...
-
近づくと、こまかい黄いろい花が散り敷いたように、大鋸屑が落ちちらばり、闇のなかにあでやかな木の香が漂っていた。作事場の外れの車井戸のわきから、庫裡へ行こうとして、私は立戻った。床へ入る前に、今一度金閣に会わねばならぬ。
...
-
小砂利を敷きつめた境内はけっこう広い。本堂の左に二階建の庫裡があり、玄関前に黒のクラウンが駐められていた。
...
-
見るからにわびしい田舎寺だ。しかし先に頼尚がいいつけてあったのか、庫裡ではさかんな炊煙だった。なによりは一同の飢えが頼尚の責任感にあったとみえる。
...
-
顔を畳にすらせ、乱れ髪のまま里子は幾度も首を振っていたが、やがてそれも億劫になった。桐原里子が、孤峯庵の庫裡に住むようになったのはこの翌日からである。ありていにいえば、里子はこのまま帰らなかったのだ。
...
-
円覚院に入り、そこで、参詣のための装束に着替えることになる。着替えの間として定められているのは、東にある庫裡であった。その着替えの間に入る前、 「さて、我らはお仕度ぞ」 同僚である他の側小姓役の者たちが、采女に声をかけてきた。
...
-
ちょうどそこへ、庫裡の方から猫が一匹出て来たからです。
-
母の実家の谷野家の旦那寺であったから、母の墓もこの裏の山にあった。庫裡の前を通るとき、奥で人声がしていたが、驍は黙って通り過ぎた。母の墓は、谷野家の墓石と並んでいた。
...
アマゾンで検索:庫裡