小さい築山
5 の例文
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海からの風が、やや冷たく、この時刻になると、外にいた老人達も殆どが部屋へ帰ってしまう。小さい築山をぐるっと廻って、芝生のある広場まで行ってみたが、それらしい姿はない。入れちがいに部屋へ戻ったのかと思い、佐知子は足早に散歩道をひきかえした。
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台所と風呂は母屋のを使わせてもらうそうだが、大きい冠木門のくぐり戸をくぐると、庭の柴垣で離れは母屋と分けられていて、誰にも顔を合さずにすむ。縁側のガラス戸をあけると、小さい築山と石燈籠がみえた。何より村山は、畳敷の和室に感激する。
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「いえ、何年にも植木屋さんの入つたことはありませんよ」 「それにしちや綺麗ぢやないか」 「旦那が鋏をお使ひになりました」 さう言へば植込みの刈りやうがひどく不器用です。「池も掘つたのかい」 まだ眞新しく土を掘り返して、狹い庭に小さい築山が拵へてあります。
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小さい築山におもちゃの噴水が夢のように、水をはね上げていた。セメントで無器用に造った池の中に、金魚が二三匹赤い背を見せた。
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庭の奥所に藤棚があって、咲き垂れている藤の花の周囲を、蜜蜂が群れて飛びめぐっていた。小さい築山の裾のあたりに、夏水仙の花が咲き揃っていたが、緑にまじっているがために、琥珀のような色が冴えて見えた。昼の陽が庭に降り注いでいる。
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