奥の手を出す
21 の例文
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タリオは奥の手を出したが、それでも、どうすることもできなかったではないか。
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右肩の焼け焦げから薄く煙を上げる俺のバーもほぼ同量。しかし、双方が奥の手を出した以上、勝敗は次の交錯で決するだろう。シルバー・クロウの背中の翼が、しゃらんと音を立てて大きく展張した。
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上を見ると、まるで小さな円い空が見えるだけ、かがやく雲の峯は一寸のぞいて居りますが、蛙たちはもういくらもがいてもとりつくものもありませんでした。そこでルラ蛙はもう昔習った六百米の奥の手を出して一目散にお父さんのところへ走って行きました。するとお父さんたちはお酒に酔っていてみんなぐうぐう睡っていていくら起しても起きませんでした。
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全く若い娘さんによっては、伝道に対する情熱がこのような程度にまでなる事があるんですからな!わたしはもちろんすべてを運命のせいにして、光明にあこがれ渇望するような振りをしていたが、やがて最後に女の心を征服するもっとも偉大な、一ばん間違いのない奥の手を出しました。それはけっして誰にもはずれのない方法で、いっさいの除外例なく、断然すべての婦人にきき目のあるものなんです。
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そのうちにまたいくつかの弾をくらったらしい。いくら逃げても追い駆けて来る体内の敵をまくつもりで最後の奥の手を出してま近な二つの氷盤の間隙にもぐり込もうとするが、割れ目は彼女の肥大な体躯を容れるにはあまりに狭い。この最後の努力でわずかに残った気力が尽き果てたか、見る見るからだの力が抜けて行って、くず折れるようにぐったりと横倒しに倒れてしまう。
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せっかくつきとめたアッシュクラフトに、風をくらって逃げだされては困る。こうなっては、床がほんとにすべったおかげで、みごとにしくじった手と古さの点ではかわらない、もうひとつの奥の手を出してみないことには、どうにもおさまりがつきそうになかった。ぼくは、もう一度、小さな男を、追っかけにかかった。
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フランス人と小僧とが、見えなくなるが早いか、女は、ぼくたちの見はり人に、奥の手を出しにがかった。かの女は、男をあやつる自分の能力に、ひと通りでない自信をもっていた、と、かの女にかわって、ぼくからいっておこう。
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さて、第一の事件で甲野をかばった結城朋子は、そろそろ奥の手を出して甲野を恐喝しはじめた。
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その時知事からは千元贈ろうとしたが、母は自分の娘は売女ではない。金は要らぬから自分も一緒に引き取って呉れと言って二人してその家に入り込み、知事が江西あたりに赴任する時もついて行ってそろそろ奥の手を出し、金品をかくし始めた。そしてもういい時分だと頃を見計らい、上海に遊びに行きたいから、暇を呉れと言って家を出で、上海には来ないで知事の郷里に行き、知事のおやじに向って知事さんは今度道尹になる。
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相棒は、ただ儲けの金が来なくなると、女が自分をだまして、とった金を抑えているのだと思いこんだのだろう。いずれにしろ、相棒は奥の手を出して、女のいる土地に姿をあらわし、そこらをウロチョロして、ことの真相をかぎ出そうとした。
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こういう具合に、先ず千早城の攻守と同じようなことが行われたが、なかなかうまく守るので寄手では攻めあぐんで、長囲の計を取った。ここで、胡宗憲は例の奥の手を出した。王直をだました手で、徐海をだまして帰服させて殺したので、囲みは月余にして解けた。
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しかし実験結果の発表を独占しなければならぬという商業的な制約と、奇現象の専門誌という社会的な立場が重なって、思うように話は進まない様子であった。その内国際電話で今すぐに行くという性急な連絡がサンフランシスコからとびこみ、処置に困った社長は遂に奥の手を出して出身地の県人会のルートから、有力政治家に渡りをつけた。
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あのう、はじめはなかなかくれなかったんでございますが、もういよいよしょうがないから奥の手を出して、〝かんかんのう〟で脅かしたら、向うでも肝を潰して、くれました。
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「こういう宣伝屋がどんなことまでやるものか、ご存じないでしょう」 「そして、元も子も無くしてしまったというわけですな」ベイツ大尉が大声で笑いながら言った。「ウィムジーが奥の手を出してやろうとしなければね」 「ぜひやってほしいわ」ミス・ティッタートンが言った。
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そして、いったんこの味をおぼえてしまっては、むかしの単調な流れのなんとあじけないことよ。こうして、朴庵は半年あまり、ぞんぶんにお琴のからだをもてあそんだのち、そろそろ髪の毛がのびてきたのをみすまして、とうとう奥の手を出した。どうやらこのかくしごとが女房にしれたらしいこと、その女房が手のつけられぬやきもちやきであること、だから、いつなんどきこの家へ、かみそりをもってあばれこんでこないでもないなどと、まずお琴をおどかした。
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ちょうど、一昨日、武器を取り上げた高取や、那須や、岡本などが、一個の弱い生物でしかなかったように。そこで、彼はまた、翻然と、狡猾な奥の手を出した。
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毛すじほどでも、その権威を侵害するものには神経をとがらせ、また、どんなささいな機会でも、それを伸ばす好機と見たら逃がさずに活かす機敏さがなければならなかった。皇室も貴族も、よく、その辺の機微を心得ていたし、近衛基煕あたり、ましてなかなか老獪な策謀家でもあったから、家宣将軍が想像以上に温雅な、知的水準も高い貴紳だとわかると、惚れこむ半面、と見くびる気持にもなって、そろそろ奥の手を出しはじめた。「大樹は、ご存知あるまいのう」 「何をでございましょう」 「京畿近郊での天皇家ご所領、上皇御所ご所領の名札じゃよ」 大樹とは、将軍をさす唐風の別称である。
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予想通り、明子は、いまだ有髪ではあるが、仏門に帰依した身では、霊鑑寺から出られない、とことわって来た。そこで、伊豆守は、はじめて、奥の手を出した。
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それからは追求又追求して前後矛盾した所を突込んで行けば、いかな犯人でも尻尾を押えられるに極っている。「おい、支倉」 根岸は奥の手を出した。
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