喜色満面
108 の例文
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「親魏倭王」の金印を卑弥呼がもらったのも、同年十二月となっているから、洛陽では、公孫氏を鎮圧して帰還した将兵が凱旋の喜びに沸きかえっていた時であった。魏の明帝も喜色満面、大いに悦に入ってこの称号を与えたことであろう。考えようによっては、御祝儀相場といえないこともないのである。
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それで充分だった。俺は、喜色満面の顔で萩原さんの前に立つ奥田の姿が見える様な気がした。ポマードを光らせ、ダブルのスーツを着込み、かつて作業員達の眼前で自分を殴り倒した、憎んでも憎み足りない萩原さんを見下ろしながら、あいつはきっと、歪んだ喜悦の昴ぶるままに喋りたい事を喋って、帰って行ったのだろう。
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そのくせ己が喜色満面たる笑顔を浮かべているのがわかった。
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ぬしが喜色満面、強気にあの主人と交渉しとったのを見てなかったとでも思うのかや。わっちは器量も頭も目もよいが、当然のことながら耳もよい。
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「候補地を色々と考えてみたんだけどね」 ハルヒは喜色満面である。
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どうやら、酒のせいで視界が狭まっていたらしい。顔を上げると、汗で前髪が張り付いた、喜色満面の連れの顔があった。「大儲けだ」 ぽん、と叩いた腰には、今にもはちきれそうな財布がぶらさがっていた。
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「了解っ」 突如、スレンが大声で静寂を破ると、直立不動の姿勢を取り、素早く敬礼した。続けて、喜色満面でウィンクし、自分の寝床へ足取りも軽く去っていく。
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アル・トーが連れられて来た。わたしと戦うことを知ると、彼は喜色満面の笑みを浮かべた。
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航空母艦だけの撃沈破にしても実に十五隻である。院代勝俣秀吉は喜色満面となり、しかしいくらかいぶかしげに言った。
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遂に奴らは東京へ行こうかという気持を表明し、しかもそれは好んで行くのではなく、天狗様のお望みであるからやむをえず行くのであるという、抜け道的大義名分が立ったのだから、自分達の信心の道に何ら支障はきたさない。渋々のふりをして実は喜色満面、その準備に取りかかることができるのである。「わしが乗り移るための、天狗の面を作れ」 次の夜からは、俺は急ピッチで計画を進めていった。
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見ると女は、幾年か昔、故郷の町で別れを告げた時のままに、ほっそりと優しい姿である。エーリヒは喜色満面のていでドアのところに立ち止ったままでいた。
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一方ウェヌスは喜色満面に溢れ、踊子たちと楽しそうに踊っていました。すると山の頂上の方から、サフランの花を浸した酒の雫が天井の隠れた管を伝って落ち始めました。
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待つ間もなく、「皇太子さま誕生」との第一報が入り、天皇は、喜びにわく侍従たちの詰めている常侍官候所まで、その姿をみせた。そこへ喜色満面の鈴木侍従長が飛ぶように駈けてきていった。「ただいま親王さま誕生あそばされましたぞ」 「そうか、たしかに男の子か」 天皇は、めったにないことだが、念を押した。
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ミュンヘンに来て十日にもなったが、例の日本の悲劇についてはまだなんの音沙汰もなかった。わたしは絶望しかけていたが、ある夜わたしたちが食事していたビヤホールの小さな庭に大佐が喜色満面に浮かべてやって来るのをわたしは見た。
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パリのすべての城門がとざされ、城壁の下で戦闘がおこなわれ、市の郊外が国境になったことに、皆と同じくやりきれない不安を感じながら。行ってみると、じいさんは喜色満面にうかべて得意そうに床の上にすわっている。
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「あ、はいはい」聡子は喜色満面になり、いそいそと部屋を出て行った。「言っとくけど、うちはデリバリーやってないからね」貞夫はぶつぶつ文句を言った。
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どんなに浪費家の商人であっても次の日の商売のことを考えれば自ずと制限をかけるものだが、ホロにそんなものはない。喜色満面で足をパタパタさせながら食べて飲んで、ようやくひと段落ついたというところだ。もしもロレンスが旅の糧食としてそれらを配分するのなら、三週間は持たせる自信があるくらいの量で、ぶどう酒にいたってはどこにそれだけ入るのかという量を飲み干していた。
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