周章狼狽ぶり
12 の例文
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フライディの狙いはわたしより遥かによく、二人を殺し三人に負傷させたが、わたしのほうは一人殺し、二人を負傷させただけだった。ご想像のとおり、彼らの周章狼狽ぶりは非常なものだった。負傷しなかった者はみんなとび上がったが、どっちへ逃げたものか、どちらを向いたものかもすぐにはわからなかった。
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だからそいつをわたしに見つかったときの、あの男の周章狼狽ぶりはそうとうのものでしたよ。まあ、ああいうしたたかものですから、たくみに体裁をとりつくろいましたがね。
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今まで宇佐には、何となくではあるが、渡部という男を軽んじてきたようなところがあった。最初の周章狼狽ぶりを見てしまったせいだろうし、何かにつけて井上啓一郎と引き比べていたせいもある。でも、それは間違いだったかもしれないと思い始めた。
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私はふかくじぶんのふたいとこの美代子を愛していたのですから。それはともかく、まっきちゃんを殺してしまったと気がついたときのじぶんの周章狼狽ぶりは、いま思い出しても冷や汗が出るようです。たったいまのさきまっきちゃんに自首をすすめていたじぶんが、おのれの身にふりかかってきたとなると、自首どころか、なんとかしてこの責任から逃れようと、四苦八苦、百方思いをめぐらせたのですから。
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都築克彦の周辺にいた女たちが大恐慌をきたしたのはいうまでもない。ことに「百唇譜」に記入された頭文字とおなじ頭文字をもつ女たちの周章狼狽ぶりといったらなかった。なかには多くの人妻がいた。
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これこそまさに吉報というものであった。とうとうボートまでたどり着いたが、ボートは潮がひいたので入江の中の泥に乗り上げている、二人の男の姿は見えない、というので、その周章狼狽ぶりは名状のしようもなかった。悲痛な声で互いに呼びかわし、魔法の島に来てしまったなどといい合っているのが聞こえた。
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わずかに、三島由紀夫の自決は“モール・ロジック”であったかと思われるが、判断はなお後日に俟たねばならない。登美子の妊娠がわかってから、胎児の月が合わないのに不審を感じながら、別な相手の子だと主人公が気づくに至らないのも、論理の水洩れというほかはないが、この辺が、法律以外は何も知らない、世間知らずの学生らしい周章狼狽ぶりでもあろうか。主人公の出世主義に照明を与えるための対極として設定された従兄小野精二郎や、箱根での犯行から帰った夜、近所の火事で焼け出された若い夫婦など、必要な人物だけを最小限にしぼって効果的に登場せしめた、老巧練達な作者の手腕の冴えが注目される。
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わたしはわたしで唐突のことですけん、答えに窮してマゴマゴしておりますと、ほかのもんがあわててじいさんを押しなだめ、わたしにむかってこのじいさんが、いまなにをいうたかしりませんけえど、なんにも聞かなんだことにしてつかあさい。このじいさん、年のせいでおツムが少しおかしゅうなっとりますけんと、その周章狼狽ぶりがかえっていぶかしゅう思われたもんですけん、こうしてお耳に入れとくしだいです。
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鷹司兼忠は職を辞して籠居し、日ごろ西園寺実兼と気脈を通じ合っていた二条兼基が、はなばなしく関白の地位に昇った。後深草院の周章狼狽ぶりは、痛ましいほどだった。
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事を決する緊迫した雰囲気などまったくない。それだけになおのこと、六月四日、浦賀からの報告をうけたときの幕閣の周章狼狽ぶりはひどすぎた。ペリーの強硬な「砲艦外交」という現実にぶち当ってみると、いまさらなすべき策のあろうはずもない。
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助け舟を求めるかのように、ホームズを見守った。ホームズは男爵の反論にもまして、アリス・ドマンの周章狼狽ぶりにハッと吐胸をつかれたようだった。彼女はなにも答えられないのだろうか?
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