労咳
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名詞
99 の例文
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おしのの最愛の父・喜兵衛が死んだ。婿に入って以来、遊びもせず身を粉にして働いた身体は労咳に蝕まれていた。一方、母・おそのは夫を避けて寮に移り住み、遊興に耽り、男を連れ込んで、不行跡を続けていた。
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労咳にはいまの季節がいちばん悪いということぐらい、鈴之助も心得ていた。「そして、ほかにだれもいないのですか」 「はい、姉妹きりのさびしい暮らし、あの、どうしたらよろしゅうございましょう」 たよりなげなおろおろ声をきくと、鈴之助の気性として、そのままほうっておくわけにはいかなかった。
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そう思うことは耐えられなかった。労咳を病んだ鵜沼修理が、仇討の願望を放棄したのは二十七年目である。といって、断念してしまったわけでもなかった。
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「これは、労咳を病んでいたようじゃな」 と、小川宗哲。労咳は肺結核のことで、そのころは絶対に助からぬ死病だったといってよい。大治郎は、待たせておいた駕籠舁きに質問をした。
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好きで労咳持ちになったんじゃないじゃろが。
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いや、祖父の血をうけて名人かたぎだったお長は、じぶんの気にいった膚でないと、針をとらなかったから、仕事はむしろ、ありあまるほどあった。お長が労咳を病むにいたったのは、過労のためであるといわれている。
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「やはり、越前の企みであったか」 越前は、平三郎の首を作りあげた。仏生寺兵衛が抱いている首は、どこかの労咳浪人の首に違いない。すると仏生寺兵衛も、越前の手の者ということになるし、肥前屋お勢も偽者ということになりそうだ。
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おそらく、亡妻なおの病気が感染していたものであろう。当時、労咳は死病であって、しかも貧しい百姓の家では手当もとどかぬ。市蔵は三年も病気と闘ってから死んだ。
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処刑された死体から採取したものだった。労咳を病む者に処方すれば必ず効果があると言われていた。一服百疋と大層高直であるが、客は引きも切らずに買い求めるという。
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私は総司のような労咳持ちの女が肩身の狭い思いをしないですむような日本を作りたいのです。
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それからまもなくのことだった。労咳で病の床に伏している女がいて、隼斗の語った姉の特徴と似ているという知らせが禅吉の元に入った。それで、雇い人が確かめに行くことになったのだ。
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そこで、灸をすえられたり、黒猫を抱かせられたりした。黒猫を抱いていると労咳がなおるという迷信があったのである。その病だに目違いな烏猫 という句がそれで、「その病」とは恋病、「だに」はだのにの略、「烏猫」とは黒猫のことである。
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結核、特に肺結核は労咳と呼ばれ、古くから日本に多く見られる病気の一つであった。平安時代、清少納言は『枕草子』のなかで「胸の病」について書き記しており、紫式部の『源氏物語』でも紫の上が胸の病を患い、光源氏が悲しむさまが描かれているが、これが結核であるかはわからない。
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うちはいま病気になりとうなか。もしどんげんしても労咳にかかるごとなっとるのなら、あと五年でよかけん、今のままでおりたかと。
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結核菌は1882年にロベルト・コッホによって発見された。日本では、明治初期まで肺結核は労咳と呼ばれていた。現在でも多くの人が罹患する病気で好発部位は肺であるが、全身の臓器・器官に感染し、顕著な症状を呈している部位名の前後に「結核」を付け加えるなどした呼び方により細分化される。
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きわの血管にすっと黒い雲が走る。労咳のことを考えるたびに何時も不安な感じがつきまとうのだが、今は一層波立つ。おかしゃま、ときわは祈る。
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勝てる戦だと思った。彼は宿痾の労咳を充分自覚していたからこそ西上を急いだ。京都に武田の旗を立てたところで家督を勝頼にゆずりたいと思っていた。
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