健気
835 の例文
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無理矢理水場に連れて行かれた馬が、健気に水を飲んでいるかのようだ。「ねえ、お二人さん」 つんつんと二の腕を突かれて顔を向ければ、そこには真美さんの苦笑が待っていた。
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まさかそんな健気な返事が戻ってくるとは思っていなかったからだ。やがて話がまとまり、さわは神戸へ嫁いでいった。
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屈託のない可愛らしい顔してるけど、スリをしながらストリートで生きてるのよ。でもね、いいのよあの子たち、健気で胸が締めつけられる思いがしたわ。リンちゃんもいいわよ、鋏研ぎの仕事だなんて健気で、頭も靴下もルーズな娘じゃないみたいだし。
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ホントよ、絶対みんなそうだから。それだからこんなことを真面目に考えているあたしは健気姫なのです。以上終って話は元に戻ります。
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中堂へ訴え出て、わしの素姓や、わしのことを、悪しざまに告げた者は、おばばであったのだな。健気な老婆のことばと聞き、堂衆たちは一も二もなく信じたに違いない。
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三十六万九千五百匹の河童たちはそのために健気にも戦死しました。しかし敵国に比べれば、そのくらいの損害はなんともありません。
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俺が健気にもそんなことを考えていると、桐乃がリビングに入ってきた。妹様の今日のファッションは、何やらぶかぶかっぽいシャツと、超短いスカート、それに膝上まであるソックスというもの。
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その場を逃れて身を隠すこともできたろうし、そのまま逃げおおせることもできただろう。が、そのような考えは、健気なその小さな頭には浮かんでこなかった。彼女の闘士が危機に瀕している時に、見殺しにするわけにはいかなかったのだ。
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三十六万九千五百匹の河童たちはその為に健気にも戦死しました。しかし敵国に比べれば、その位の損害は何ともありません。
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少しはこの無理に笑顔を浮かべている健気さをかえりみて欲しいね、全く!
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そもそもおしとやかで健気な美少女ってのはどこのだれだって話である。
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要は、州長官夫人の胸から出たものらしい。健気ではあるが見るからにまだ少年といってもいい花の若者。虎の前へ投げられた一片の肉ほどな歯ごたえも任原には感じまい。
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全身のそこかしこから、血が流れていた。彼女は健気にも歯を食いしばって、シルフの攻撃に耐えようとしている。実体のない狂える精霊の攻撃は、物理的ではなく、魔法なのだ。
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一夜明けてだいぶ落ち着いたのか、表面的にはただ元気がない程度にまで回復しているというが、それがかえって痛々しいというのが紅薔薇さまの意見だった。皆にこれ以上心配かけまいと、令さまは健気に振る舞っているようだという。それでもさすがに自分の写真がドアップで出ている号外は、予想外だったようで一部受け取って食い入るように読んでいたそうである。
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あの苦しそうな微笑と燃えて乾いて輝いていた眼付とは、小さい顔の上で、万言にまさるものを語っていたのだから。僅かの人が知るきりのしかも健気に生涯を闘い抜いた女性でした。
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片足と感じさせない敏捷さで動き回るその鳩のあとを、正常な鳩たちが従う感じである。健気に生きている片足の鳩に、私は切なく胸をつかれ、そして感動した。湖西線、叡山駅で下りて、坂本の町を日吉神社のほうへ上がり、手前を右に折れて西教寺を過ぎると、やがて深山に入る。
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いかにも不当な取り扱いを受けている健気な女の子といった感じだった。
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でもおまえ、たったいま、俺に似たような台詞言ってたよね?賢明な俺は内心の疑問を口には出さず、健気にもゲームを続けるのであった。ゲーム開始早々、朝っぱらから嫌な空気になってしまった高坂家。
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遠く越後の方から来る若い内儀や娘達の群だ。その健気な旅姿を眺めた時は、お雪も旅らしい思に打たれた。
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ヴェルヌが読者に伝えたかったのもそれにちがいない。だが、その勇気は、模範的に健気なブリアン少年ひとりのものではない。
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慌てている和穂を、虎蘭は根気よくなだめている。必死に旅の同行者、殷雷の無事を心配している姿は、健気に見える。これが、自分の本性を隠した芝居であるのならば、突き崩せるかもしれないが、生憎そうではないのだ。
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水兵は艦長に、 「これをごらんください」 と、長い巻き手紙を手渡す。そこには、当時でいえば、健気な軍国の母の言葉が書かれてあった。
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コナンは、ムリエラという女のことを思いかえした。巨大な影の王宮で、護衛も伴侶もなく、ひとり健気にも運命を待っている。そう思ったとき、かれはうしろを振りむき、影の落ちた街路を一気にとってかえした。
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気遣われるのは、彼女たちの生活を衛生的に助けてやりたい点であると語られていた。それらの健気な娘さんたちが、そういう努力をとおして求めているのは何だろう。彼女たちが自分の現実に安んじていられない心からの動きである事は明かだと思う。
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健児社の連中は、広い営庭の遥か向うの獄舎に武部先生が繋がれている事をどこからともなく聞き知った。多分獄吏の中の誰かが、健気な少年連の態度に心を動かして同情していたのであろう。
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そこに夫婦にまつわる神話や常識がからんでくるが故に、さらには「一緒に暮らしたい」とする思いが加わるために、自立の道を捨てる方向に、妻自身も心を追い込んでしまうことになる。犠牲を犠牲と思わずに、次の道を探そうとする“健気さ”に席を譲るのだ。転勤族の夫婦は、こうした妻の“健気さ”に支えられているし、企業もまたそれを望んでいる。
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泣くまいと努力している長男の健気さに、寺田は思わず心を熱くした。そして、肩にかけた羽織の中に雪子を掻いこんで、自室に戻ろうとしかけたとき、玄関を叩く音がした。
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草田男の句は王安石の詩の一節「万緑叢 中 紅一点」から「万緑」の語を得て、これを季語として用い、現代俳句の中に定着させた点で記念的な作品だった。一面の緑の中で、生え初めた赤ん坊の歯の白さが健気に自己を主張している。生まれ出るもの、育ちゆくものへの讃歌が「万緑」の語に託されている。
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