九寸五分
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名詞
76 の例文
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それについて小吉は、草履を突っかけて戸の外へ出て来た。左に持った二尺九寸五分の池田鬼神丸が今夜は妙に逞しく見えている。
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この、しイんとしたなかで、たったひとりだけ色気のある小姓。これが判官さんの前へ、九寸五分を三方にのせて置きます。じっと、顔を見あげる。
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九寸五分の柄は、鮫の皮に金の留釘を打った、由緒ある古物であった。鮫皮の膚ざわりが、冷たくこころよかった。
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これ黒姫さま、何程九寸五分だつて胸の方では喉は斬れませぬよ。
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するりと抜け出たのは、九寸五分かと思いのほか、財布のような包み物である。差し出した白い手の下から、長い紐がふらふらと春風に揺れる。
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「その先きを」 九寸五分の先きを振って新吉が言った。
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ところが判官さん、どうしても家老の大星由良之助にひと目会うてから死にたい、自分の無念を訴えたいという気持がもりあがってまいります。由良之助の伜、力弥が三方の上に九寸五分をのせて持ってくる。この、しイんとしたなかで、たったひとりだけ色気のある小姓。
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びっしりと生い繁った植込みの間の小径を、のんびり両手をふりまわしながら歩いて来た。彼はやりすごし、持ち慣れた九寸五分の鞘を払って男の背中に体ごとぶち当たって行った。手で突くな、腰で突け。
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そこを、長庵は狙っていたのだ。医者とは言え、あぶれ者の長庵のことだから、九寸五分ぐらいは何時だって呑んでいる。それが、闇黒に、魚鱗のごとく閃めいて走った。
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閃くは稲妻か、二折れ三折れ胸のあたりを、するりと走るや否や、かちりと音がして、閃めきはすぐ消えた。女の左り手には九寸五分の白鞘がある。姿はたちまち障子の影に隠れた。
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つまり九寸五分式の猛烈な恋なれば、最早あなたに見放された上は、此世に生きて何の楽みも御座いませぬ。
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三方の九寸五分をとって、懐紙にきりきりきりと巻いていく。この九寸五分を、左手に持っているあいだはものがいえるが、右手に持ちかえると、ものがいえんと申します。
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これは、おなかを切ったときに、裾が乱れんようにとの心得だそうでございます。三方の九寸五分をとって、懐紙にきりきりきりと巻いていく。この九寸五分を、左手に持っているあいだはものがいえるが、右手に持ちかえると、ものがいえんと申します。
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そうして、ことごとく切先へ集まって、殺気を一点に籠めている。自分はこの鋭い刃が、無念にも針の頭のように縮められて、九寸五分の先へ来てやむをえず尖ってるのを見て、たちまちぐさりとやりたくなった。身体の血が右の手首の方へ流れて来て、握っている束がにちゃにちゃする。
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のんきな奴もあるもので、蔵の箪笥を開けて裃と三宝代わりの御膳。そして、旦那のご先祖が差してたという九寸五分まで探し出し、大声で芝居の真似を始めてしまった。
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妹は俊吉に似ぬ天使の様な美貌を持つて居たが、其美貌祟りをなして、三年以前、十七歳の花盛の中に悲惨な最後を遂げた。公吏の職にさへあつた或る男の、野獣の如き貪婪が、罪なき少女の胸に九寸五分の冷鉄を突き立てたのだといふ。兄は立派な体格を備へて居たが、日清の戦役に九連城畔であへなく陣歿した。
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これは足が悪くて立てないんで、次の「表門」に間に合わないという私だけの変則なやり方なんです。「表門」にもいろいろな型がありますが、東京ではだいたい家の親父がやっていた通りカーッと九寸五分の血を舐めて師直の首を斬る形を見せます。ここはまあ別に何と言うこともありません。
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