万端
819 の例文
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そして、お粂の留守をうかがって、あの家の裏手からそッと足音をしのばせて集まる。案内はこの家の裏に夕刻姿をみせた例の屑屋が万端呑みこんでいる様子。でも、念のためにと、水口の戸に耳をつけて、ジッと気配をみましたが、まず、あれから格別なんの変化もないあんばいです。
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その後の航海はまず平穏で、いよいよ松山へ達して帰宅して見ると、継母は既に人事不省に陥っていて、帰県した事を告げたが殆ど知れなかった。そうしてその夜死去したので、それから葬式万端の事を営んだのである。そこで前に立戻って、岩村県令は一度地方官会議からは帰県されたが、在京中にモウ内々の話しも済んでいたのであったろう、政府から、内務省の戸籍局長に転任を命ぜられた。
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他の人間も関わっている。皆準備万端で自分の位置について俺からの電話を待っている状態だ。俺がやつらに金を支払ったんだ。
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ああ、何たる日本式!そのような日本式談合万端にこそ抵抗しているわれわれではないだろうか。世界のどこの反ファシズム文学者の会合に、そこに集ったひとたちの日常に不足しているとも考えられない一本二本の徳利がなければ座がもちにくいと考えられたためしがあったろう。
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「これで大丈夫よね」 ヴィクトリア女王のお顔がすっかりピカピカになるのを確認してから、ほっと息をついた。ところが、わたしの準備は万端でも、ヴェロニカはそうはいかなかった。なんと彼女は、自分でコルセットをつけようとして、もたついていたのである。
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そうしなければその土地には住んでいられないのである。そういう家に不幸のあった時には村じゅうの人が寄り集まって万端の世話をする。世話人があまりおおぜいであるために事務はかえって渋滞する場合もある。
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老人の右手が握り拳になり、単純に憤る。僕の横っ面を穿つ準備は万端だけど、実行に踏み切るのは大変に困難だ。妹を現状維持に守りたいなら僕の質問に付き合うしか名答がない以上、手を一度出したなら、息の根まで攻撃を届かせる必要がある。
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それからの数年間、カラーズはメルセネとマル・ゼスに時間をふりわけてその両方に勢力基盤をうちたてた。三八二九年にモルヴァン皇帝が死去した時は、すでに準備万端整っていた。
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わたしは田園に生れ、のら仕事を見ながら育った。先祖の財産を受けついでからは、家事万端を自らこの手ににぎっている。ところがわたしは、そろばんも筆算もできない。
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明らかに彼らは農場の奪還を企てているのだった。これはずっと前から予想されていたことで、準備は万端出来ていた。スノーボールは住宅の中で見つけた古ぼけたジューリアス・シーザーの戦記〔「ガリア戦記」として名高い書物〕を研究していたのであったが、防御作戦を担当した。
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これで材料は整った。あんたらがいつ帰ってきてもいいように準備は万端整っておる。
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今年十九の仙一は、父親に似て背が高く、眉の初々しい若者だ。店のことから、飲んだくれの父親の世話まで万端ひとりで取りしきっている。
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お母さんはこの御主人を今日あらしめた内助の功労者だから、これ又大きな存在である。芸道一徹で世の中の分らない師匠は万端奥さんの引き廻しに委せている。美代子さんはこの夫婦の間の一粒種、それも比較的年が寄ってからの子だから、生れ落ちた抑〻の初めから大存在だった。
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再び薄い眉が現れ、それを見下ろしながら、やっぱり先に死なれるのは寂しいような気持ちにかられて、ふいに鼻の奥が熱くなった。死後のことは、まだ意識があるうちに、夫が万端整えてくれていた。一人で生活していく上で心配すること、困ることは何もなさそうだった。
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原っぱの端れあたりからの遠見だと、コンクリートの高さはわからないから何かの大きい工場のように見えるその建物が落成したとき、新聞に記事がかかれた。設備万端が改善されて、人が自由に暮すアパートのようだと語られているのであった。そして近日内部を公開して一般に見せるという記事である。
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おれは、皆にくり返しさんざん頼まれるのを待って、女房を見てやるが、やはりすぐに目を上げて、もう見てやらん。こうして儀式万端が全部終わってしまうまで、おれはこんなふうにふるまう。
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探偵仲間の常識だが、手柄を一人占めしたいから、ここへ最初に来なかった。でも準備万端だ、もう待機の急行列車に寝台を確保し大量の荷物を乗せた。奴らは俺をうまく監禁していると思ってるから、当分安心しきっている。
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うちの壕は入口のフタの傾斜がゆるやかでカンノン開きで見てくれの薄板で、それが弱点ね、機銃の玉なんかいくらでも通ります。其に、生活万端やるとすると狭いわ、一人で一杯です、電燈もないし。
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かれがくれた最初の計画表によれば、われわれはもう準備万端整えているはずだからね。
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花瓶には盛り花がいっぱいに挿され、いくつかの小さな灯明ランプには灯がともされて、唐銅の小さな線香立には線香が焚かれた。支度が万端ととのったところで、万右衛門は、わたくしのことを呼んだ。わたくしが床の間のまえへ行ってみると、そこの小さな台の上に、浅吉の写真がちゃんと立ててあり、写真のまえのところには、米、果物、菓子など、こまこましたお盛り物がちんまりとならベてあった。
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もちろん、こう言えるように「どうしたら女として幸せになれるか」を考えて努力しているという。こんな姐さんだから、万一のために備えて準備万端整えているに違いない。
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オルロフも表彰され、エカテリーナからガッチナ宮殿とその周辺の領地を贈られた。すぐに居住出来るよう準備万端整えてあり、三日以内に移れと言う。それは褒美を口実にした宮廷からの追放命令も同然で、驚愕したオルロフはエカテリーナに翻意を求めるが、エカテリーナは聞き入れなかった。
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頭にリボンなんかも結んじゃったりした。私は母以上に気合いが入り、準備万端整えて、彼が来るのを待っていたのである。「おじゃまします」 家に入ってきたのは、母のいったとおり、見るからに穏やかそうな紳士だった。
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葬祭の万端も終ってから、相国の華〓は、一日、曹丕の前へ出て云った。
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葬祭の万端も終ってから、相国の華歆は、一日、曹丕の前へ出て云った。
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優子と八代との間に「ドライブ旅行」の約束も秘かに取り付けられた。準備万端ととのい、あとはその日が来るのを待つだけとなった。
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キラシャンドラにこっそり笑ってみせながら、ラルスは手斧とナイフとポリーの手引き書を渡した。「はい、これで準備万端整いましたわ」キラシャンドラは明るく言った。「そのうちわかりますけど、ポリーの島も静かでいいですよ」 そう言って彼女は、意地悪くタニーとラルスを見やった。
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昔も、悲しい死別にはたくさん遭ってきた。しかし、自身、手を下して葬い万端の差配をするのは始めてであった。
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