一隅に陣取
9 の例文
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森安と吉井が警視庁に飛び込んだのは、九時ちょうどだった。捜査共助課の一隅に陣取った二人は昼食もとらずに電話をかけ続けた。書き出された名前は七十四人だった。
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四月十九日 雨、予想した通り。みんな籠城して四方山話、誰も一城のいや一畳の主だ、私も一隅に陣取つて読んだり書いたりする。
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堀内氏は北京から連れて来た三人の部下と一緒に乗り込んでゐる。私は自分のトランクを椅子の代りにして無蓋貨車の一隅に陣取つたので、展望は自由であつた。便乗組のわれわれ以外は、多くて五十名、少なければたつた一人といふ風に、別々の部隊に属する兵隊さんたちの、云はゞ混合列車であることがわかつた。
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正面には弘法大師の掛軸、その前にお納経の帳面、御燈明、線香、念珠、すべてが型の通りであったが、驚いたことには、右に大形の五十銭銀貨が十枚ばかり並べてあり、左に護摩水の一升罎が置いてあった!私は一隅に陣取ったが、さて、飾るべき何物も持っていない。ただ破れ法衣を掛け網代笠をさげ拄杖を立て頭陀袋を置いて、その前に坐ってぼんやりしているより外はなかった。
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人形芝居がすなわちそれである。しかし、今私がかりにパリへ行ってその屋根の下を流れ渡り、辻の艶歌師を聞いたり、酒場の一隅に陣取ったりしていると想像した場合に、私の眼前に登場する人物の話している言葉が一つ一つ明確に私にわかるかどうか。私がかりにはえ抜きのパリッ子であってもそう一々わかるはずがないのである。
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ただルイゾンという珈琲皿を洗う女だけは許されていて、時々洗い場から「実験室」へ行くためにそこを通っていた。すっかりいい気持ちに酔ってるグランテールは、一隅に陣取ってしゃべり立てていた。彼は屁理屈をこね回して叫んでいた。
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仲間の十二人は一隅に陣取っています。ラッパの合図で紐が切られ、五人は一斉に飛び出しました。
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集つた顏は、あれやこれやの關係の親類縁者達で、よくあるやうに老衰の境に入つた獨身の婦人、若々しい花の盛りのいとこ達、一人前になるかならぬかの若者たち、そして朗かな眸をした寄宿舍學校のおきやんのお孃さん方が寄つてゐた。みんなは思ひ思ひのことをしてゐた、幾人かのものは銘々に札をもつて骨牌とりをする、他の幾人かは爐を圍んで話合ひ、廣間の一隅に陣取つた若い一群は、もうすこしで大人に成ると云ふ年頃やまだうら若い蕾の年頃のがまざつて賑かな遊びに我を忘れてゐた。
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