用例.jp ブックレビュー

森博嗣「作家の収支」

★★★★★ (5/5点)

本書は森博嗣氏が正直に作家(主に自分)の収入と支出を打ち明けている良書である。例えば、ライトノベル作家西尾維新の収支を大まかに概算したいのであれば、本書の情報で十分である。

“人気作家の” 収支

注意が必要なのは、本著は実のところ主観的で偏りがあるという点である。即ち、内容の大半は作家として知名度の高い “人気作家の” 収支であり、結果的に、駆け出し又は中堅作家のそれは──印税等の一般的な割合以外は──歯牙にも掛けられていない。加えて、タイトルは『作家の収支』とあるが、支出の章は20ページ弱と、申し訳程度のものなので、もっとわかり易く『作家の収入』にしても良かったのではなかろうかと思う。個人的に、なぜ彼自身は小説を書くことが嫌いで、(本書から判断するに)特に文章が上手いわけでもないのに、そもそも小説を書こうと思ったのかが疑問として残った。

全体を通して流れる森氏独特の第三者的なトーンは読んでいて心地が良かった。価値の高い情報という点でお勧めである。