用例.jp ブックレビュー

バロウズ/鮎川信夫訳「裸のランチ」

★★★☆☆ (3/5点)

ポストモダン作品の典型

内容が面白いか否かは措くとして、ポストモダン作家に典型的である偶発的な言葉遊び、ストーリーのないストーリー、意味ありげな無意味を如才無く内包した小説だと思う。元はダダイズムから端を発する「カットアップ技法」もやはり、偶発性が重要な要素なのであって、それは、バロウズのようにドラッグによる脳の後遺症があり、思考が混濁した状態の方が利用し易いものと見える。ドラッグに依るハイな気分をビート化したような言葉のリズムも、ナイトクラブに居るのと同じように、一度乗れればとことん楽しめる(一方、乗れない読者は、作品との非常な温度差を感ぜずにはいられない)。

読み方

こうした作品のレビューには必ず「難しい」「自分には理解ができない」とか、「(つまらないと思うのは)読者が理解できていないだけ」とかいう健気な輩が湧いて出るが、実際の所、作者は至極感覚的、そして行き当たりばったりに筆を進めているのであって、意味ありげな表現ないし行間には、実のところ何も意味が含められていないことが多いのである(勿論それらをどう解釈するかは読者の勝手である)。バロウズの本作品は特に、感覚的な読み方をするのが正解であろう。そうすることにより齎される一種の酩酊気分を好意的に受け取るか否かも、読者の感覚的な問題である。私は偶々酒を好まない性分なので、その「気分」を満喫することはできかねた。しかし、その逆のリーダーが多々存在するであろうことも容易に想像できる。

ただ一つ言えるのは、本書がポストモダン文学の中では優秀な方であるということである。