風の吹くまま
22 の用例
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平坦なる道行きで空を行く鳥ばかりではない。
風の吹くままに雲が流れると思えば大間違いである。
雲がこそ風の流れを支配する本質を忘れてはならぬ。
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西尾維新『ニンギョウがニンギョウ』より引用
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それには牛の皮でできている後ろ綱がかかっていましたので、その綱で私は、帆柱と龍骨とを、離れぬようにくくりつけたのです。
そしてその上に坐りこんで、呪わしい風の吹くまま運ばれていったのでした。
そうすると、西の風の、突風をなして荒れ狂うのがやみ、今度はさっそく南風に変わって、私の胸に苦悩をもたらしながら、またもやあの呪わしいカリュブディスヘと導いていったのです。
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ホメロス/呉茂一訳『オデュッセイア(上)』より引用
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あのホームレスが団地へ来たのは、必ずしも鶴川家を追跡して来たとは限らない。
ほかの目的かもしれないし、風の吹くままに偶然やって来たのかもしれない、という意見である。
だが、ホームレスが月見神社を塒とし、鶴川家の前住所がその近くにあったことは見過ごせない。
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森村誠一『ホーム アウェイ』より引用
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私は世の中の男の悉くが酒を飲み女を買ひ、さうしてもつとうまく女を欺すやうになつて欲しいと思ふのである。
柳は風の吹くままに、うまく欺されて暮したならば楽しからうと思ふのである。
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森田たま『もめん随筆』より引用
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地平までつづく灰褐色の野を、数百の転蓬が転がっていく。
風の吹くままにどこまでも。
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田中芳樹『風よ、万里を翔けよ』より引用
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政局の風の吹くまま、おもむくままに、はじもせず顔を右向け左向けして歌っている人々を、私はただじっとながめているだけである。
さて、私の女友達のひとりのハイ・ミスに、はずかしいことって、どんなこと?
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田辺聖子『女の長風呂 Ⅱ』より引用
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風の吹くまま気の向くままに行動する。
天真爛漫で純粋無垢だが、自分で決めたことは絶対に変えない部分がある。
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あながち志壮なるが故にではなく、ごく古くからありふれた習俗の枠にはまった考えかたで、恋愛と青春の放埒と漠然混同し、その場その場で精神と肉体とを誘い込む様々の模造小路を彷徨しつつ、身を堅める時は結婚する時という風な生き方である。
そういう風の吹くままの流れかたを自身の生活として承認出来ない心持の多数の若い人々は、社会の現実について目がひらけて、自分の生きかたを問題にして来るに従って、その全体的な問題の最も有機的な部分として、恋愛のことも真面目に考察せざるを得なくなっていると思う。
今日、大多数の若い人々が、男女にかかわらずそれぞれの恋愛について、私的なことであるが又公的なことでもあるとする一つの公開的態度をもって対する根本には、上述のように、恋愛の含む広い複雑な社会性の意識がいつとなく作用しているからである。
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宮本百合子『成長意慾としての恋愛』より引用
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また、艦の損傷がはなはだしいので、彼を捜しにもどることも不可能だった。
乗員たちは悲しみにしずみながら、運を天にまかせて風の吹くままに空中をただよいつづけていった。
いっぽうガソールの王、ガハンはどうなったのか?
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バローズ『火星シリーズ05 火星のチェス人間』より引用
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雑誌の締切りや量産に追われつづけの売れっ子の写真家より島田謹介のほうがはるかに写真家らしく、幸せではないかとぼくは思っている。
風の吹くまま、時間や約束にとらえられることなく、美のお遍路さんとなって、好きな風景のなかに存分にひたっていられるからである。
彼はこういう旅日記を書いている。
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小堺昭三『カメラマンたちの昭和史(3)』より引用
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エウロスなら、また行ってしまう。
きっとヴィクトリア女王の膝の上にいたのは、渡り鳥のように羽根を休めていただけで、また風の吹くままにきままに、どこか遠くへ飛んで行ってしまうのだろう。
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高殿円『カーリー 1 黄金の尖塔の国とあひると小公女』より引用
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ディックは激しい不安にとらえられていた。
それは、彼の判断では陸地はもう遠くないはずなので、風の吹くままに狂ったように走って行ったなら、いつか必ず暗礁にぶつかって、船が裂けてしまうのではないかという不安だった。
それでディックは繰り返し舵輪をトムに渡して船首に行き前方を見つめたが、陸地は影さえ見えなかった。
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ヴェルヌ/土井寛之・荒川浩充訳『少年船長の冒険』より引用
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お許は、こん後は、いままで通り、無目的で、風の吹くままに、生きて行くことは、かなわぬ。
柴田錬三郎『われら九人の戦鬼 (上)』より引用
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風の吹くままに靡けば折れも萎れもしない。
なよたけをごらん。
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田辺聖子『新源氏物語』より引用
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お許は、こん後、いままで通り、無目的に、風の吹くままに、生きて行くことは、かなわぬ。
何かを求め、何かを為そうとして、生きて行かねばならぬ。
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柴田錬三郎『われら九人の戦鬼 (上)』より引用
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ところがそんな気ぶりは微塵もない。
ドン底の貧乏ぶりを柳に風と受けながし、そういわんばかりに、風の吹くまま飄々と吹かれている。
次男坊と四男坊が、この父の底ぬけの楽天家ぶりをそのまま受けついでいた。
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石井代蔵『千代の富士一代』より引用
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五年如きでは何も変わらぬ世界であっても、それが人を待つ時間ならば話は別だ。
袋の電気が常時風の吹くままに従っているというのならばまだしも、そんな諺は古人の屁理屈に過ぎぬ。
そんなモノ、あくまで意思の入射角が規定通り、想定範囲内であったらの話だろう。
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西尾維新『ニンギョウがニンギョウ』より引用
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浜には漂流物の残骸や、船材の破片などの木材が散らばっていた。
この木切れをいくつかの岬に運び、薪の山をつくり、乾いた海草をこれに加えて火をつけ、あとは風の吹くまま火勢を強めたら?
そうすれば難船を避けられるのではないか?
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ヴェルヌ/大友徳明訳『地の果ての燈台』より引用
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係留気球には軍事用の偵察気球や阻塞気球、アドバルーンなどの広告気球や、気象観測・各種環境観測用気球、巨大なガス気球のゴンドラに観光客が乗り込む観光用気球や、シートベルトを付けた人が空中を浮揚するアトラクション用気球などがある。
自由気球とは、気球を繋留することなく静的浮力と風の吹くままに浮遊を続けるガス気球の総称のである。
自由気球には後述の有人で上昇下降の操縦を行なうレジャースポーツ用のガス気球をはじめ、無人の玩具用ゴム風船などによるガス風船による風船飛ばしやゴム気球などによる高層気象観測、軍事兵器の風船爆弾、啓発活動のビラ撒き用のビラ風船などがある。
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何しろ、いまやこの昭和の大御代、はずかしいなんていう感情は、珍無類の骨董品風のものであるらしく、どっちを向いても、あまりはずかしいなんてコトバが出てこない。
たとえば、日中友好なんてこと、今は草木もなびいて友好ムードの風の吹くままであるが、ひと昔前は、日中友好というコトバさえ、発音もできないほど迫害された。
今はどんな代議士もチャカチャカと日中問題を論じ、われもわれもと中国へいきたがる。
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田辺聖子『女の長風呂 Ⅱ』より引用