面白い
全て
形容詞
15,032 の用例
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けれども、私は特別にそれが女だつたからと云ふ興味だけで聞いたのではありません。
また女だつたから特に面白いと云ふ種類のものでもありませんでした。
私はその裁判される事柄それ自身よりは『裁判』と云ふものに興味を感じたのでした。
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伊藤野枝『ある女の裁判』より引用
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彼の過去の生活は安逸と愉悦とにみちていた。
彼はこの世の中ほど面白い所がほかにあるとは思えなかったのである。
彼は全身で死を嫌がった。
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菊池寛『三浦右衛門の最後』より引用
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自分の愛する人も好きですけれど、話をして面白い人も好きですわねえ。
島村抱月『人形の家』より引用
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車夫は背が非常に高いので、端に立っているのが、鎗を立てたようだと、皆で笑いました。
その写真は近年まで持っていましたが、今あったらさぞ面白いでしょう。
私の通う小学校までは、一町ばかりです。
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小金井喜美子『鴎外の思い出』より引用
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しかし同じことを書くにしても、それが面白ければなお良いじゃないか。
石川達三『心に残る人々』より引用
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然し、両君ともに、その前身が何となく曖昧模糊としていて、文壇にデビュウするまでに、相当忍苦の年月があり、文学的に相当年期を入れている点が相似ている。
そうしてこの点が私や大下君とハッキリ区別されているところが面白い。
一体人は怪物呼ばわりされて決して愉快なものでなく、又無暗に人を怪物と呼ぶのは非礼千万であるが、その非礼を敢てしても、どうも江戸川君と小栗君はやはり怪物である。
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甲賀三郎『「黒死館殺人事件」序』より引用
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ルイザはそういう混雑の中に一人放り出されたら、もうどうにもしようがないと思ったろう。
しかし息子のそばにいると、かえってそれが面白く思われるほどだった。
物音は次第に静まっていった。
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ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』より引用
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その中には君が女に関係があるようなことを書いたのもある。
まさか君にそんなことはあるまいと思うが、とにかく面白くないことだ。
一応君の弁明もきいておきたいと思っている。
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下村湖人『次郎物語』より引用
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あなたの今面白いとおっしゃったのは、その子供らしい感情からですか。
あるいは、大人らしい感情からですか。
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小林一三『宝塚生い立ちの記』より引用
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然し、それが為めには、玄人のやらないこと、玄人では出来ないことをやつて欲しい。
今の日本の現代劇が面白くないのは、素人劇だからと云ふだけではない。
素人が玄人の真似をしてゐるからです。
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岸田国士『二つの答』より引用
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たしかに練習の後だから眠くなることもありましたが本当に面白かった。
時間も集中力が持つ1時間と決めて、必要以上にはやらない。
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運と云ふ奴は妙なものさね、どんな拍子で、ドー舞台が廻つて行くのだか、カイクレわけが解らない奴よ。
未来と云ふ物は、思へば面白い、俺等の運命をどうにでも使つて見せる。
此の面白いと云ふのは、要するに、未来なるものゝ性質が解らんからだ。
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尾崎放哉『俺の記』より引用
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吉兵衛さんは鼻の先に皺を寄せて面白い視線を賀川市長に向けて語った。
賀川豊彦『空中征服』より引用
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したがって私の優位は瞭然である。
それだからいうわけではないが、この力比べというものは実に面白い。
面白くてしようがないものだ。
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佐野良二『われらリフター』より引用
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海は山本さんを九年若くした。
あの頃は皆な何か面白いことが先の方に待っているような気のしたものだった。
山本さんは今、丁度その気で、船の上から熱海の方の青い海を眺めた。
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島崎藤村『船』より引用
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然し、私は私を発見するために書いているのではない。
私は編輯者が喜ぶような面白い小説を書いてやろう、と思うときもある。
何でも、いゝや、たゞ、書いてやれ、当ってくだけろ、というときもある。
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坂口安吾『私は誰?』より引用
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山門を潜ったが、奥にはゆかず、道を左に取って山田の畦をゆく。
家の形も面白く、森や林の姿もよい、四、五日の材料はあろうと思った。
道は漸く急になる。
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大下藤次郎『白峰の麓』より引用
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米豪分断作戦は、昭和十七年初頭、軍令部第一部長福留繁少将が熱心に研究し主張したものだという。
ミッドウェーの代わりにこちらをやってみたら面白かったかも知れない。
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豊田穣『南十字星の戦場』より引用
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ル・キューなどの小説には時折いまだ知られてない恐ろしい黴菌のことなどが書かれてあるが、黴菌のことを知らない読者は本当にして面白く読むが、かかる小説はどうも興味を減らす虞がある。
いっそ科学の発達しない時代のことならそのつもりで読むから面白い。
綺堂氏の「半七捕物帳」や「半七聞書帳」などは、私は好きである。
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小酒井不木『科学的研究と探偵小説』より引用
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しかし、私共の生活はちっとも幸福ではありませんでした。
二人目の子供が生まれてからは私共には面白くない日の方が多かったのです。
私は子供の世話、家の中のすべての仕事、それにたべる心配から、自分の勉強、仕事とおっかけられるように忙しい生活をしていたのです。
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伊藤野枝『成長が生んだ私の恋愛破綻』より引用