露けい

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  • 時候はいつか秋になり、その秋の夜も大分露けくなつた。 永井荷風『或夜』より引用
  • 葡萄の纏ひ付きたる高き果樹と白楊との間には、麥の露けく緑なるあり。 森鴎外『即興詩人』より引用
  • 彼女は自分の頭の中に残っているこの古い主観を、活動写真のように誇張して、また彼の前にさらけ出すにきまっていた。 夏目漱石『道草』より引用
  • 今は早や凝つた形の雲とては見わけもつかず、一樣に露けくうるんだ皐月さつきの空の朧ろの果てが、言ふやうもなく可懷なつかしい。 若山牧水『一家』より引用
  • 夜も月明るく、露けき牧草の上に出て、慶子さんは歌いました。 川端康成『伊豆の踊子・禽獣』より引用
  • 私の吸ふ露けき空気は地の胸から出る乳だ。 中沢臨川『愛は、力は土より』より引用
  • 僧侶の遺骨の手足全きは、けふ額に新しき花の環を戴きて、手に露けき花の一束を取りたり。 森鴎外『即興詩人』より引用
  • 丈高く育ちたる水草ありて、露けき緑葉もてこの像をおほはんとす。 森鴎外『即興詩人』より引用
  • 天は高く晴れ渡って碧落へきらくに雲無く、露けき庭の面の樹も草もしっとりとして、おもむきの有る夜の静かさに虫の声々すずしく、水にも石にも月の光りが清く流れて白く、風流に心あるものの幽懐も動く可き折柄の光景だった。 幸田露伴『蒲生氏郷』より引用
  • 早くも露がおりはじめて、刈り手たちは、丘の上では日に照らされたが、水蒸気の立ちのぼっている低地や向こう側では、快い、露けのある日かげを進んだ。 トルストイ/中村白葉訳『アンナ・カレーニナ(中)』より引用
  • 宮も「いにしへの昔のことをいとどしくかくればそでぞ露けかりける」というように、少しお泣きになる様子が非常に可憐かれんで、みじろぎの音も類のない柔らかさに聞こえた。 与謝野晶子『源氏物語』より引用
  • 折しも道は露けく、風冷やかに松虫の鳴きからす秋である。 田辺聖子『源氏紙風船』より引用
  • 若い兵卒、口をき、頭はき出し 頸は露けき草に埋まり、 眠つてる、草ン中に倒れてゐるんだそらもと、 蒼ざめて。 ランボー・ジャン・ニコラ・アルチュール『ランボオ詩集』より引用
  • それは私に、何か、椿つばきの花のような、どっしりヽヽヽヽと重い、そして露けく軟かい無数の花びらが降って来るような快さを感じさせ、その花びらの薫りの中に、自分の首がすっかり埋まってしまったような夢見心地を覚えさせました。 谷崎潤一郎『痴人の愛』より引用
  • 冒頭、「旅のころもはすずかけの 露けきそでやしおるらん」で始まる能の一節が見開きページで登場する。
  • 題名は物語中の和歌「やへむぐらよもぎがもとはよそにみて行き過るにもそでぞ露けき」に由来する。
  • 厭いて別れし仲ならず、子までしたる語らひなれば、流石男も心動くに、況して女は胸逼りて、語らんとするに言葉を知らず、いはに依りたる幽蘭のなまめかねども離れ難く、たゞ露けくぞ見えたりける。 幸田露伴『二日物語』より引用
  • あらせいとうの間には、露けき橄欖の葉を織り込めつ。 森鴎外『即興詩人』より引用
  • おんみは、おんみの女性らしい光でもって、あまねく町の城壁を包み、露けき光でもって、豊饒の種子を養い太陽の運航と共に変わる光を与え給う。 アプレイウス/呉茂一・国原吉之助訳『黄金のロバ』より引用
  • 糸の如くに降りしきる雨の中にたたずんで、モミや落葉松の美しい木立に見とれる、このへんから、裾野式の高原を展開して、桔梗ききょうがさき、萩がさき、女郎花おみなえしがひょろひょろと露けく、キスゲが洞燈ぼんぼりのような、明かる味をさしている。 小島烏水『不尽の高根』より引用