階段をかけのぼり
18 の例文
(0.00 秒)
-
その声はふるえていた、そしてその声には、まるで彼ではないような、なにかまったく新しいひびきがこもっていた。わたしはなにか答えたかったが、声にならないで、夢中で階段をかけのぼった。彼はその場に立ったままじっと待っていた、そしてわたしは三階の自分の部屋のまえに着いたときに、はじめて下の表扉がぎいとあいてバタンとしまった音を聞いた。
...
-
わたしは、待ってましたとばかりの勢いで階段をかけのぼった。
-
消防官は、はしごの先から、塔の屋根にとびうつり、その上をぐるっと回ってしらべましたが、何者の姿もありません。塔の中の階段をかけのぼった警官たちは、五階に達していました。
...
-
そしてまもなくすると、台所の方から、おばさんの歌う声が聞こえてきて、ホールをいっぱいに不気味に反響した。「わたしといっしょにいて」 ジェインは階段をかけのぼっていった。そして大急ぎでまわりを見まわし、古文書を入れたケースをかくす場所をさがした。
...
-
その態度はひどく鋭いものがあってルイーズは恐怖を感じた。そこで彼女は自分の部屋へと階段をかけのぼった。娘たちは、自分らのかってなことをおしゃべりしはじめた。
...
-
-
顔をまっかにして息をはずませている。あの急な階段をかけのぼってきたのだ。「ここだろうってマビにいったのよ」 セラは小さな笛をメノリの手からもぎとった。
...
-
すると、だれか階段をかけのぼってゆく音がして、つづいて二階の部屋で動きまわっているような音がきこえました。私たちは、かなりの間待っていましたが、なんのかわったことも起こりませんでした。
...
-
庭や回廊を通っても、人っ子ひとり見あたりません。いやな気分にとらえられながら、彼はオラミュンデの部屋への階段をかけのぼりました。なんとカーテンも窓も閉めきられ、部屋は真っ暗にしてあったのです。
...
-
ある日、いつものように言い合いをしている最中、ラバイの手が誤ってオジーの鼻に当たり、血が流れる。少年は逆上し、夢中で階段をかけのぼり、シナゴーグの屋根に立つ。日が傾いて辺りは次第に暗くなる。
...
-
「ぼくは、咳こみのベンと、バンキーを訪ねてきたところだがね」 それは、ききめがあった。女は、むきを変えると、あわてたように階段をかけのぼった。ブルーノ・ガンゲンが、書斎の戸口まできて、ぼくをさがした。
...
-
「わかりました」 メノリが静かに応じたので、一瞬ダンカはだまりこんだ。そのすきにメノリはこわばった足をひきずって階段をかけのぼった。それを見たダンカが、大声でわめきちらすのを聞いてメノリはにやりと笑ったのだった。
...
-
智子はもう何物もおそれない。コンクリートの階段をかけのぼって、ドアのまえで腕時計をみると九時二十八分。智子はドアのすき間から、時計室のなかへすべりこんで、ひとめ、部屋のなかを見まわした刹那、蝋人形のように硬直してしまったのである。
...
-
四階に家庭科室があり、冷蔵庫の中にオレンジ・ジュースがある。そう思って、階段をかけのぼり、何階かのおどり場の窓から、まっさかさまに下へ落ちた。落ちて、落ちて、目が醒めた。
...
-
まさにその瞬間、全速力で突っ走って来た馬が中庭に飛びこんで来る。どろまみれになったひとりの幕僚が歩哨の制止も聞かずに一挙に階段をかけのぼる。
...
-
階段をかけのぼってきた女の子が、店の中へはいってくるなり、とんきょうな声でみんなにうったえた。「どうしたのさ、ユキ」 女の子をふたりそばにひかえて、ジン・カクテルをのんでいた肥満型のロマンス・グレーが、度の強そうな近眼鏡のおくで目をしわしわさせながらわらった。
...
-
彼は室の向こうの隅でがらくたの間を捜しまわっていました。わたしがはいると、こちらを見て叫び声を上げ、階段をかけのぼったかと思うと書斎の中に消えました。わたしが彼を見たのはほんの一瞬でしたが、ぞっとして身の毛がよだったのです。
...
-
彼の拒絶が生んだ無益な惨虐性もべつだんとがめだてられることはなかった。事実、彼をよぶために階段をかけのぼって来た男は、その拒絶の言葉をきくまでもなく、急いで出て行ったのだったから。そういうことのいきさつをドクター・パーシバルは少しも知らなかった。
...