閹奴
全て
名詞
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しかし、そのころになってもまだ、彼の完全な沈黙は破られなかったし、風貌の中のすさまじさも全然和らげられはしない。稿をつづけていくうちに、宦者とか閹奴とかいう文字を書かなければならぬところに来ると、彼は覚えず呻き声を発した。独り居室にいるときでも、夜、牀上に横になったときでも、ふとこの屈辱の思いが萌してくると、たちまちカーッと、焼鏝をあてられるような熱い疼くものが全身を駈けめぐる。
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しかし、そのころになってもまだ、彼の完全な沈黙は破られなかったし、風貌の中のすさまじさも全然和らげられはしない。稿をつづけていくうちに、宦者とか閹奴《えんど*》とかいう文字を書かなければならぬところに来ると、彼は覚えず呻き声を発した。独り居室にいるときでも、夜、牀上に横になったときでも、ふとこの屈辱の思いが萌してくると、たちまちカーッと、焼鏝をあてられるような熱い疼くものが全身を駈けめぐる。
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