閑散と
全て
副詞
33 の用例
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住宅街を抜けた先の海岸通りには、倉庫やビルが閑散と建ち並んでいる。
舞の住むマンションから目と鼻の先だった。
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鈴木光司『らせん』より引用
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否それは、善意悪意を通り越した「彼に自然にそうある」ものであった。
そして富と閑散とを有し四十歳を越した彼の心は、それで常に静かであった。
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豊島与志雄『田原氏の犯罪』より引用
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これはいたくベネット氏の平静をみだしました。
書斎はいつも閑散と静寂を確実にあたえてくれるものだったからです。
よくエリザベスにいったのですが、家中ほかのどのへやにおいても愚行とうぬぼれに出くわす覚悟はできているが、書斎にはそのようなものをよせつけぬことになっていたのでした。
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オースティン/伊吹知勢訳『高慢と偏見(上)』より引用
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かれが知らずに犯した罪が、伝染するのを恐れるかのように、群衆はかれを置去りにすると、そそくさと立ち去っていく。
通りは集まったときと同じ速さで、たちまち閑散となった。
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ムーア『大宇宙の魔女―ノースウェスト・スミス』より引用
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六太は足をとめる。
内宮の奥は閑散と人気がなかったが、本来無人であるはずがない。
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小野不由美『十二国記 05 東の海神 西の滄海』より引用
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この職にありつくのにさえ、サントス大統領やその一族に、なんらかのコネクションが必要になる。
横腹の昇降ドアが開き、光に目を細めた乗客が閑散と滑走路におり立ってきた。
ダイバーらしい日本人が三人混じっているだけで、あとは色黒のミクロネシア人と白人の観光客だ。
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樋口有介『楽園』より引用
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四年生は大学院の試験勉強のために休みに入り、それが停滞に拍車をかけた。
利明の所属する講座も途端に閑散となり、緊張感が目に見えてなくなっていった。
研究室には利明と浅倉だけが残された。
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瀬名秀明『パラサイト・イヴ』より引用
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彼らの多くは一度来れば満足してもう来ない。
夏にはあれほど賑やかだったのに、冬になると閑散としてしまう、というケースは少なくない。
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井上荒野『だりや荘』より引用
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ごく平均的な家具が普通に並んでいるのだが、部屋が広いせいか、やけに閑散と感じた。
その部屋の真ん中に、ふたりの人影があった。
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秋田禎信『魔術士オーフェンはぐれ旅 第01巻 「我が呼び声に応えよ獣」』より引用
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スタート地点はその少し後方になっている。
客の入りは、施設の規模からすると閑散としていて、特に外の観覧席は数えるほどしか人がいない。
しかし、このゴール地点だけは別で、予想紙を持った人間たちでごった返していた。
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楡周平『フェイク』より引用
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オフィスビルに挟まれる格好で建つマンションには、あまり生活の匂いが感じられない。
事務所として使用される率が高いのか、日曜の夜ともなると閑散とし過ぎて、不気味なくらいだ。
チャイムを鳴らすと、ドアの内側から男の声が響いた。
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鈴木光司『らせん』より引用
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二人が蕎麦を食べるために上り込んだ小座敷はいくつかに衝立をおいて区切っている。
入って来た時は、かなり客がたて混んでいたが、それも汐が引くように出て行って、店は閑散となっていた。
小僧が蕎麦湯を運んで来る。
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平岩弓枝『御宿かわせみ 12 夜鴉(よがらす)おきん』より引用
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冬がはじまったばかりの山に、一本の道があった。
なだらかに続く山々には、秋に葉を落とした細い木が閑散と並ぶ。
全体が茶色一色で、どこまでも色彩に乏しかった。
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時雨沢恵一『キノの旅 第08巻』より引用
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何の災厄にもまだ無縁なのは、やすよだけだが、同僚が自分を残して全員いなくなって、それで災厄に無縁と言えるだろうか。
土曜にもかかわらず、村には閑散と人気がなかった。
夜間に人の姿が見えないのはもちろん、夕刻になるだけで、もはや人通りが減る。
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小野不由美『屍鬼(下)』より引用
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別荘の人たちがそろそろ引上げ始めたからだいぶ閑散となった。
散歩に出掛けても、もう誰にも会わない。
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福永武彦『第一随筆集 別れの歌』より引用
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陽子は周囲を見渡す。
冬の里、通りには閑散と人気がない。
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小野不由美『十二国記 07 風の万里 黎明の空(下)』より引用
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釧路川の氷片に感動したのが滑稽に思われるくらい、格段に美しく淋しい。
茶内と浜中に停車して、もとから少なかった乗客が少しずつ下車し、ますます閑散となったディーゼルカーは根釧台地の南部を行く。
人口密度が日本でもっとも少ない地区なので、駅間距離が長く、一〇分ごとぐらいに現われる駅付近にわずかな人家があるだけで、中間は白無垢の原野である。
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宮脇俊三『汽車旅12カ月』より引用
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ユーゴは朝が早いから夜も早いと思うと、これが全く違う。
ドイツなどでは、午後九時ぐらいになると、スレ違う人が恐ろしいほど街は閑散となるが、ユーゴは夜中でも人々は騒いでいる。
少なくとも、騒いでいる人がいても、ドイツ流に周囲から苦情が出るようなことはない。
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鈴木明『リリー・マルレーンを聴いたことがありますか』より引用
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駅舎、跨線橋を有する。
文字通り大桑村の施設はそろっているが、宿場がないため両隣の駅と比べると閑散としている。
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しかも、倉吉からわずか四・二キロ、八分走ると倉吉市の中心打吹に着き、乗客の大半が下車してしまう。
閑散となった三両のディーゼルカーは、天神川に沿う狭い耕地を上り、温泉のある関金で数人の客を降ろすと、あとは一両に一人か二人しか残らない。
関金のつぎが泰久寺という無人駅で、そこを過ぎて山裾をわずかばかり上がると、ディーゼルカーは気が抜けたように速度を落とし、明るく開けた畑のなかに停まる。
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宮脇俊三『汽車旅12カ月』より引用