門扉を閉じる
10 の例文
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景の脳裏を掠めたのは、織田方の兵が砦の門扉を閉じた際の光景だ。ここの土塁と櫓門は横一直線に並んでいるため、よくよく見てはいないが、門徒の一部は砦の内部に入り込んではいなかったか。
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さすがに若干の照れがあったので、二人に先行するように、門扉を閉じて、道を行く。後ろを、りすかとツナギが、小走りに追って来た。
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舞の目に、閑散とした市郊外の風景が映った。県道に沿って軒の低い住宅が建ち並び、どの家も門扉を閉じて死んだように静まり返っている。道端には錆びた自転車が放置され、ゴミ収集車が巡回をやめたのだろうか、ゴミ袋がところどころに山積みになっている。
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より確実な手は、本願寺の門前で壁となり、でき得る限り門徒を収容した後、敵の眼前で一斉射撃の痛打を与えることだ。一瞬ではあるが門扉を閉じる間は必ずできる。至近距離ならば、門徒を避けて敵を撃つことも可能だ。
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震える足を励まして石段を這うように上がり、山門を入って門扉を閉じた。内側から閂を掛ける。
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櫓の上の弓兵たちは、瓜兄弟とその家臣であった。お蔭で最後尾の味方に付き従っていた門徒たちが一掃され、門扉を閉じることができた。
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明くる日の新聞に、前夜の提灯行列の混乱で死亡した者は十九名、負傷した者は多数という記事が載った。惨事の起こったそもそもの原因は、馬場先門を警戒していた警察官が門内にはいってくる雑踏を堰き止めようとして、一方的に門扉を閉じてしまったことにあるらしかった。まかりまちがえば自分も死者のひとりに勘定されていたかもしれないと考えると、いまごろになって丈明は背筋がつめたくなった。
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なにも、禽不理が彼の機嫌をとってやる必要はない。「それでは」 もう一度、礼を執ると、後も見ずにさっさと帰宅し、ぴたりと門扉を閉じてしまったのは、いかにも武人らしい迅速さだった。彼自身、一室に閉じこもり窓も戸も閉ざし、食事は一日一度、戸の隙からさし入れさせるようにした。
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家宅捜索は、三時間近く続けられた。捜査員が立ち去るのと入れ代りに、新聞記者たちがやってきたが、三谷の妻佐千代は、門扉を閉じて、一切、受けつけなかった。未練を残してたたずんでいる記者たちの耳に、泉水の水音越しに、琴の調べがきこえてきた。
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