長閑
全て
名詞
622 の例文
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陳樹藩が叛旗を翻そうが、白話詩の流行が下火になろうが、日英続盟が持ち上ろうが、そんな事は全然この男には、問題にならないのに相違ない。少くともこの男の態度や顔には、そうとしか思われない長閑さがあった。
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こちらには一人前働かなくてもすむという安心ができ、向うにも一人前として取り扱うのが気の毒だという遠慮がある。そうして健康の時にはとても望めない長閑かな春がその間から湧いて出る。この安らかな心がすなわちわが句、わが詩である。
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竜の鬚の小径は百日紅の林の下を長々とうねつて、次第に築山へ昇つて行くのであつた。長閑な空には一羽の鳶が諧調的な叫びを挙げながら大輪を描いてゐた。
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そして歩いている男女は土人の如く見えてしまった。そして別の日に、私は同じ公園の古さと広さと長閑さと人情とがわかった。もちろん私の足で歩いたのだ。
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ゴツゴツとした岩場の向こう側に、レモン色の物体が引っかかっている。ただ問題は、現場より手前の海面に、赤い旗が長閑に浮かんでいることだ。
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三寒四温といって、思いがけなく暖かい日もあった。春が来るのは遅かったが、春になると鳥の声が長閑かであった。夏の昼間はきびしいが夕風が立つと、夜寒を感じるのであった。
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「うまくゆくだろうか」 孝二は心配だった。長閑で豊かな風景を見て、天皇陛下はきっと満足するにちがいない。予行演習を三回もしたのだから、成功は確実だと思った。
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そのため全体の音楽が朗々として、いかにも長閑かな春の気分を音象している。
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おじいさんの墓のそばに植えた桜の木は、大きくなって、毎年のくる春には、いつも雪の降ったように花が咲いたのであります。ある年の春の長閑な日のこと、花の下にあめ売りが屋台を下ろしていました。屋台に結んだ風船玉は空に漂い、また、立てた小旗が風に吹かれていました。
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また、開発区域の南側は工業団地となっている。駅東側の大室地区は斜面林が中心の長閑な地域であり、住宅が点在する。それを越えると東急不動産によって開発された計画住宅街「東急柏ビレジ」がある。
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その長閑なひびきに遥子の緊張がすこし解け、ほっとした気分になった。そして音楽に誘われるように、事務棟の前を素通りして、そのまま奥へと足を向けた。
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帳場格子のうちにいる連中は、時間が余って使い切れない有福な人達なのだから、みんな相応な服装をして、時々呑気そうに袂から毛抜などを出して根気よく鼻毛を抜いていた。そんな長閑な日には、庭の梅の樹に鶯が来て啼くような気持もした。中入になると、菓子を箱入のまま茶を売る男が客の間へ配って歩くのがこの席の習慣になっていた。
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ベルリンの殺伐とした雰囲気とは異なり、湖畔の街の長閑な空気を感じる。
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評定所が阿片事件に追われる一方で、御内原は長閑な光景が広がっていた。大敵・聞得大君を追放した王妃はゆったりとした気持ちで寛いでいる。
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歴史家の中にはポピュリストを、前を見据えたリベラルな改革者と見る者もいる。長閑でユートピアのような過去を掴み直そうとした反動家だと見る者もいる。アメリカ人の生活を再建しようとした急進派と見る者がおれば、経済的に追い込まれて政府の救済を求めた農本主義者と見る者もいる。
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天氣の好い日には崖上から眠りを誘ふやうな物賣りの聲が長閑に聞えて來た。「草花や、草花や」が、「ナスの苗、キウリの苗、ヒメユリの苗」といふ聲に變つたかと思ふと瞬く間に、「ドジヨウはよござい、ドジヨウ」に變り、軈て初夏の新緑をこめた輝かしい爽かな空氣の波が漂うて來て、金魚賣りの聲がそちこちの路地から聞えて來た。
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三重苦の俺にのしかかる重苦しい沈黙。その時、なんとも問の抜けたタイミングで、高階教授の長閑な声がした。
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