重いもの
1,035 の用例
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貧民窟にいるだけで十分であった。
そのこと以上に重いものを受け止める余裕など、町の者には既にない。
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畠中恵『アイスクリン強し』より引用
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土の臭いが鼻孔に満ちていた。
キャンバスの上に重いものが乗っていて容易に身動きができなかった。
頭の上のキャンバスをようやく右手で押し上げて周囲を見ると、先刻は空だった荷台一杯に赤子の頭ほどの大きさの黒い甜菜大根が山と積まれていた。
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中村正『元首の謀叛』より引用
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たった今だれもいないだろうと考えた部屋の隅から、確かに聞こえた。
畳の上に重いものが載っていて、わずかに体重移動をしたような音である。
家の中にいるのが自分だけではなく、そしてまさに今、同じ部屋の中にいるのだと知る。
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乙一『暗いところで待ち合わせ』より引用
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ここ数日のあいだにわたしたちに寄せられた非難の声は、とても重いものです。
ヴィンジ『最果ての銀河船団(上)』より引用
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電車の中でも女の人が重いものでも持ってると持ってくれる。
席は立ち上ってくれる。
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山田風太郎『戦中派不戦日記』より引用
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それはひさしぶりに開く、左眼の映像を綴った記録である。
少し前、自分はこんな重いものを抱えてあの町を歩いていたのだ。
何度もめくってぼろぼろになったページは、自分のものとは思えない文字で埋められている。
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乙一『暗黒童話』より引用
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抑揚のない、静かな声だったが、そこにはひどく重いものが含まれていた。
村上春樹『1Q84 BOOK3』より引用
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何か重いものが私のドアにぶつかるような音で、私は目を覚ましたのです。
あれは何だったと思いますか?
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クリスティ/古賀照一訳『オリエント急行殺人事件』より引用
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吉住は作り笑いを浮かべた。
そして、この話題があまり重いものにならないようにしようと努める。
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有栖川有栖『ダリの繭』より引用
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そこで、まだ私も、相手がどんなものが好きかわからないときはとにかく高いものを選んでしまう。
また、お金がないときには訪問が気の重いものともなってしまう。
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呉善花『続 スカートの風』より引用
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まして飛行機というものは危険なものです。
このような空気より重いものが宙に浮くということがそもそも不合理です。
いつ墜落するかもわからない。
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北杜夫『怪盗ジバコ』より引用
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大抵、二、三カ月でやめていきますよ。
これは、重いものを背負った子が少なくなったことも関係あると思うんです。
昔は、親とか亭主がサラ金で何千万も借金をしたとか、そういうキッチリとした重い理由があって仕方なく働く正統派が多かったんですけど、今はもっと贅沢がしたいとか、海外旅行の資金集めとか、そんな理由で働いてる子がほとんどですから。
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永沢光雄『風俗の人たち』より引用
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まわりにわからないように、何かずしりと重いものを握らせてよこした。
再び、あっという間に遠ざかっていく。
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村山由佳『星々の舟』より引用
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また何かで目が覚めた。
こんどは何か重いものがドアに倒れかかったようであった。
彼は飛び起きて、ドアを開け、外を見た。
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クリスティ/古賀照一訳『オリエント急行殺人事件』より引用
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そこらにあった重いものを掴んだ手を私は老爺さんの手に触れさせた。
長谷川時雨『旧聞日本橋』より引用
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マリユスは彼がなにか重いものをテーブルの上におく音を聞いた。
たぶん買って来た鑿にちがいない。
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ユゴー/斎藤正直訳『レ・ミゼラブル(下)』より引用
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古い水槽と新しい水槽との間のタイル張りの床に茶褐色の濡れた帯ができ、その上を時々、空滑りして軋みながら運搬車はのろのろ行ったり来たりした。
時には死体の中に、ひどく重いものがあったし、極めて軽いものもあった。
中年の男の死体で信じられないほど軽いものがあった。
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大江健三郎『死者の奢り・飼育』より引用
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三人は、四本の足で出発した。
子供を負んぶすることでさえも、非常に肩が痛く、また重いものである。
ボーイ長の場合にははなはだしく重かった。
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葉山嘉樹『海に生くる人々』より引用
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それも殴ったというより、顔の上で重いものをひきずったという感じです。
吉村達也『逆密室殺人事件』より引用
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この時の処分は家族にも及び、一家が寺から退去させられる重いものであった。