遊び
全て
名詞
動詞
22,611 の用例
(0.03 秒)
-
姉娘はおっとりとして、妹娘は利発であった。
姉娘には婿養子があり、その人は遊び半分に私の中学の先生をしていた。
私のクラスに朝日という少年がおり、これを小泉家の親戚で奇寓していた。
…
倉田百三『光り合ういのち』より引用
-
明日はちょうど一月に一度あるお君さんの休日だから、午後六時に小川町の電車停留場で落合って、それから芝浦にかかっている伊太利人のサアカスを見に行こうと云うのである。
お君さんは今日までに、未嘗男と二人で遊びに出かけた覚えなどはない。
だから明日の晩田中君と、世間の恋人同士のように、つれ立って夜の曲馬を見に行く事を考えると、今更のように心臓の鼓動が高くなって来る。
…
芥川竜之介『葱』より引用
-
町からは、こんどは、人間の子供たちが毎日川へ遊びにやってきました。
町の子供たちの中で、川にすむ、赤い魚を見つけたものがあります。
…
小川未明『赤い魚と子供』より引用
-
かしこなる娘たちに問ひ試み給へかしといふ。
この時先に門の口にて遊び居たりし二人の娘、我等が前に走り來りぬ。
…
森鴎外『即興詩人』より引用
-
彼はだんだんと追いつくようになるにつれ、益々面白くなって何かを叫んだり喚いたりさえした。
土壁の傍で土遊びをしていた二三の子供達が手を叩きながらはやしたてた。
が、やっとのことで転げるように文素玉は路地をぬけて黄金大通りへ逃げ出した。
…
金史良『天馬』より引用
-
土の柔く盛り上っている所を棒でさぐると、南京玉ほどの土蜘蛛が、ガサガサと音を立てて群り散った。
こんな遊びに夢中になっている中に、やがて二日目の夜が訪れてきた。
…
小野佐世男『幽霊』より引用
-
だが、会合の場所に行くまで、私の頭にあの突拍子もない切抜帳で私たちを笑わせる須山の顔が来て困った。
場所は今まで三度位使ったことのある須山の昔の遊び友達の家だった。
足元の見えない土間で下駄を脱ぎ、それを懐に入れて、二階に上がって行くと、斜めに光が落ちて来て、須山の顔がのぞいた。
…
小林多喜二『党生活者』より引用
-
鳥は黒繻子のような縁をとった灰色の羽をしていた。
私は名も知らないこの小さな遊び仲間を眼の前に迎えて心より悦んだ。
むかし支那に焦澹園という儒者があった。
…
薄田泣菫『艸木虫魚』より引用
-
ありには、ある年、たくさんな子供が生まれました。
それらの子供のありは、だんだんあたりを遊びまわるようになりました。
するとあるとき、それらの子ありのお母さんは、子供らに向かっていいました。
…
小川未明『三匹のあり』より引用
-
あんたが遊びにこない日は、あの人の顔が思案にくれた金魚になるがね。
どうも何か物足りない間のぬけた顔になるよ。
…
坂口安吾『吹雪物語』より引用
-
この画家は嘗て非常に貧乏をしまして、辺鄙な或る温泉宿に滞在し、そこの写生をしてゐたのであります。
その画家の所へ毎晩のやうに遊びに来る村の駐在所の巡査がありました。
この巡査は夕方になると駐在所を引上げて遊びに来る。
…
岸田国士『文化運動への反省』より引用
-
けれどもそれを私が頼むと、あなたは笑つておしまひなさる。
私を人形のやうにくるみ上げて、子供と遊ぶやうに私とお遊びなすつた。
あゝ、私どんなにかあなたと苦勞を一緒にしたいと騷いだでせう!
…
島村抱月『『人形の家』解説』より引用
-
山崎は或る大きな商事会社の重役の息子だつた。
私はよくその家へ遊びに行つて、いろんな羨望を感じたのを覚えてゐる。
それはとにかく、私は朧ろげながら、教師が言ひにくさうにしてゐる何かの事情を感得した。
…
神西清『母たち』より引用
-
そのね、結婚しようっていう人が、愛してくれるってところまで、まだ行っていないの。
私に対して、ただ遊び相手みたいな気持しか持ってくれないんだもの。
それが、癪なの。
…
菊池寛『貞操問答』より引用
-
私達は寺の前にあつた煙草屋の縁臺をかりて、自分等のくゞつて來た山門、降りて來た石段、それから石垣の前の果樹や野菜の畑の見えるところで、やゝしばらく自動車のくるのを待つた。
そこいらには村の子供達が集まつて來て、私達の周圍で遊び戲れてゐた。
…
島崎藤村『山陰土産』より引用
-
遠くへ遊びにいっても、帰りに、あの木の頭が見えると安心したものだ。
小川未明『曠野』より引用
-
父さんは表庭の梨の木や椿の木の下あたりへ小さな川のかたちをこしらへました。
寄せ集めた砂や土を二列に盛りまして、その中へ水を流しては遊びました。
竹の子の手桶で提げて行つた水がその小さな川を流れるのを樂みました。
…
島崎藤村『ふるさと』より引用
-
ずいぶん首の痛くなる遊びであった。
どんぐりはそんな風にいろいろの遊び道具をわれわれに与えてくれた。
横町の黒塀の外は、秋から冬にかけて殊に賑わった。
…
岡本綺堂『綺堂むかし語り』より引用
-
四年生になつてから、私の部屋へは毎日のやうにふたりの生徒が遊びに來た。
私は葡萄酒と鯣をふるまつた。
…
太宰治『思ひ出』より引用
-
この質屋の「利いちやん」も僕の小学時代の友だちだつた。
僕はいつか遊び時間に僕等の家にあるものを自慢し合つたことを覚えてゐる。
僕の友だちは僕のやうに年とつた小役人の息子ばかりではない。
…
芥川竜之介『本所両国』より引用