転た

全て 副詞
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  • 「日暮れて路遠し」と彼自ら云ふのを聞けば、感慨転た切なるものがある。 岸田国士『脱退問題是非』より引用
  • 余は彼等野人の口より此の真率沈痛の語を聴きてうた虔敬けんけいの念に堪へざるなり。 木下尚江『鉱毒飛沫』より引用
  • 予も又胸に一種の淋しみを包みつつある此際、うたた旅情の心細さを彼がために増すを覚えた。 伊藤左千夫『浜菊』より引用
  • この間も朝鮮人の密航船が玄海灘で難破して、一行二三十名が藻屑もくずとなったという報道を読んで、うたた感深いものがあった。 金史良『玄海灘密航』より引用
  • わたくしは此年このとしから五六年、図らずも羇旅の人となつたが、明治四十一年の秋、重ねて来り見るに及んで、転た前度の劉郎たる思ひをなさねばならなかつた。 永井荷風『里の今昔』より引用
  • 平凡なる私の如きものも六十年の生涯を回顧して、うたた水の流と人の行末という如き感慨に堪えない。 西田幾多郎『或教授の退職の辞』より引用
  • いと淡き今宵の月の色こそ、その哀にも似たるやうに打眺うちながめて、ひとの憎しとよりはうたみづからを悲しと思続けぬ。 尾崎紅葉『金色夜叉』より引用
  • そしてこの植物にはかく刺はあるが、その再羽状複葉はその姿その色まことに眼に爽かであるばかりではなく、さらに大きな花穂を葉間に直立させて黄花を総状花序に綴るの状また大いに観るに足り、塀上の風趣うたた掬すべきものがある。 牧野富太郎『植物一日一題』より引用
  • 彼は自若として、かへつてその子の善く論ずるを心にづらんやうの面色おももちにて、うたた微笑をろうするのみ。 尾崎紅葉『金色夜叉』より引用
  • 空想勝なる自分の胸は今しもこの山中にも猶絶えない人生の巴渦うづまきの烈しきを想像してうたた一種の感にうたれたのであつた。 田山花袋『重右衛門の最後』より引用
  • モムゼンは外蕃の人であるといい、フシュケはローマ人であると主張し、吾人をしてうたたその適従に苦しましめる。 穂積陳重『法窓夜話』より引用
  • いまの児童の読物のあまりに杜撰ずさんなる、不真面目なる、そして調子の低きなどは、児童の人格を造る上に幾何の影響あるかを考えて、うたた感慨なからざるを得ないのであります。 小川未明『新童話論』より引用
  • 彼はうたた人生の凄涼せいりようを感じて禁ずるあたはざりき。 尾崎紅葉『金色夜叉』より引用
  • 予在外中しばしば屠場近く住み、多くの牛が一列に歩んで殺されに往くとて交互哀鳴するを窓下に見聞して、うた惨傷さんしょうえなんだ。 南方熊楠『十二支考』より引用
  • これを四十四年後に於ける今日こんにちの時勢に比較すると、吾々は殊にミリタリズムの暴圧の下に萎縮しつゝある思想界の現状にかんがみて、うたた夢の如き感があると云つてもいゝ。 永井荷風『虫干』より引用
  • そゞろ昨夜さくや憶起おもひおこして、うたた恐怖の念にへず、斯くと知らば日のうちに辞して斯塾を去るべかりし、よしなき好奇心に駆られし身は臆病神の犠牲となれり。 泉鏡花『妖怪年代記』より引用
  • 然し政府がかかる卑劣な方法で貴紙の正々堂々として主張してゐる言論に迫害を加へるのを実見してはうたた寒心にたへぬ。 城山三郎『鼠 ─鈴木商店焼打ち事件─』より引用
  • 歯の抜けたような枝ぶりの柳の大樹までが、何の被害もこうむらずに、あの時のままですが、今晩この夜中に、天地が寂寥せきりょうとして、焼野が原の跡がうたた荒涼たる時、その柳の木の下に、ふと一つの姿を認められたのは、前の桜の馬場の当人とは違います。 中里介山『大菩薩峠』より引用
  • 八月号で芥川竜之介氏の「追憶」といふ文章を読み、誰でも同じやうな追憶をもつてゐるものだといふことを知り、転た感慨を催した次第であるが、昨日、K社の山本氏に会ひ、たまたま芥川氏の近況を知ることを得た。 岸田国士『「追憶」による追憶』より引用
  • ああこれを思い、彼を想うて、うた潸然さんぜんたるのみ。 福田英子『妾の半生涯』より引用
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