誰彼の区別なく

20 の用例 (0.00 秒)
  • 実を云うと、軽快な彼の眼に映ずるすべての人は、ほとんど誰彼の区別なく友達であった。 夏目漱石『門』より引用
  • 難問は、誰彼の区別なく平等に配分されているのが、実状であると見たのである。 小林秀雄『考えるヒント 2』より引用
  • そこへ持ってきて、何も知らぬ並江君が原稿を拾った話を誰彼の区別なしに喋りまくったとしてみなさい。 鮎川哲也『朱の絶筆』より引用
  • あの子には相談癖というのがあって、とりわけ酒を飲むと、誰彼の区別なしに人生相談をもちかけたくなるらしい。 吉村達也『血液型殺人事件』より引用
  • 私は小さな子供を胸に抱き、ちょっとした包みを脇にかかえた女たちを見、彼女たちの悲嘆を聞くと、誰彼の区別なしに自分の持っていたわずかの金を分けてやらずにはいられなかった。 アンデルセン/神西清訳『即興詩人(下)』より引用
  • 女王のいうのは、五分以内いないにこの問題もんだいを何とかしなければ、誰彼だれかれ区別くべつなく、みんな首を切ってしまう、ということでした。 キャロル/福島正実訳『不思議の国のアリス』より引用
  • 洗礼を受ける用意のある者以外は、誰彼の区別なく、一四九二年七月三一日までに我が領土を出て、決して戻ってきてはならぬ。 小岸昭『スペインを追われたユダヤ人 ―マラーノの足跡を訪ねて』より引用
  • 誰彼の区別なしにじゃれつく犬は、子供にしか好かれない。 安部公房『方舟さくら丸』より引用
  • 利潤りじゆんの多い、しかも危険なこの商売を続けて行く上で、途中とちゆう邪魔じやまとなるものは、誰彼だれかれの区別なく、命をうばおうというのだろう。 高木彬光『姿なき女』より引用
  • 公平で、誰彼の区別なく親身になって相談に乗った。 山田智彦『銀行 男たちのサバイバル』より引用
  • それで、その火葬場の辺には、誰彼の区別なしに、平原から寄せ集めてきたもので、一つのつかを築くとしましょう。 ホメロス/呉茂一訳『イリアス(上)』より引用
  • 彼は、常に似ず、誰彼の区別なく、しきりに愛嬌あいきょうをふりまいて、にこにこしていた。 海野十三『二、〇〇〇年戦争』より引用
  • しかし性来子供が好きで、二十年近くも彼らの面倒を見て来た貝島は、いろいろの性癖を持った少年の一人々々に興味を覚えて、誰彼の区別なく、平等に親切に世話を焼いた。 谷崎潤一郎/種村季弘編『美食倶楽部 谷崎潤一郎大正作品集』より引用
  • スペンサーの家では、イサベラ・スペンサー夫人が、アヴォンリーの人達のことを誰彼の区別なく悪く言って二人の気持をすっかり滅入らせてしまった。 モンゴメリ/神山妙子訳『アンの青春』より引用
  • 誰彼の区別なく父はこの城を見せたがったが、たいていの客人は、半ば羨むような半ば当惑したような、ほめ言葉も見当らぬといった不思議な表情で、しばらく立ちつくすばかりであった。 吉田満『戦中派の死生観』より引用
  • その意味で入社一、二年という時期は、どんなに抜群の能力の持主でも、ムリ偏にゲンコツを誰彼の区別なしに雨アラレと受ける覚悟を強いられる季節でもあり、そのゲンコツの是非を問うてもなんの意味もないと知るべきなのだ。 諸井薫『男とは何か』より引用
  • ぼたんさんは何と言っても元芸者、水商売の経験は長いから客扱いは堂に入ったもので、どこの誰さんか名前や商売あきないまですぐにおぼえるし、喰べものの好き嫌いや、酒癖の良し悪しまでたなごころを指すよう、誰彼の区別なく、気さくで面倒見がいいから客に人気がある。 青島幸男『人間万事塞翁が丙午』より引用
  • 宿にしたのは、以前もと一番懇意にした大工の兼さんの家であつたが、其夜は誰彼の区別なく其うちを見舞つたので、奥の六畳間に三分心の洋燈ランプは暗かつたが、入交り立交りする人の数は少くなく、しほの様な虫の音も聞えぬ程、賑かな話声が、十一時過ぐるまでも戸外そとに洩れた。 石川啄木『天鵞絨』より引用
  • 激情が心を荒れまわって、誰彼の区別なく罵った。 宮本百合子『日は輝けり』より引用
  • そこで不思議なのは、近親をはじめ見舞客が訪れると、誰彼の区別なく、実に心から、お蔭さまで有難うございましたと礼をくりかえすのである。 中野好夫/安野光雅編『悪人礼賛 ―中野好夫エッセイ集』より引用