見取れ
全て
動詞
18 の例文
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「どうかしら」 「いやそのあの」 森写歩朗はすっかりカオス状態だ。それを不満の色と見取ったクラレンスは自らの服のボタンに手をかけた。「肉体は二十五のままよ」 パラッ。
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だが、話をしていながら、彼の膝に凭れかかって、大きな眼を開いて聴いているモイラの顔を窺うようにして、微かに平常の微笑いを浮べている彼の、その微笑いの中にモイラは、彼の敬虔な話を裏切るものがあるのを見ていた。父親の眼の中に、又彼の頬の窪みの翳に、モイラはそれを見取っていた。モイラの恐怖は父親が充分に表現していた基督教というものの持つ雰囲気の中にあったのだが、そこには聖母学園のロザリンダがモイラに与えた印象が混入していた。
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逃げ出した馬を繋いでいた井戸を避けたのだ。窓越しに見たとき、井戸の縁石に欠けがないことを見取っていたのである。
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裂けた木片は、砕けた岩石と共に別棟にも飛んできた。新城は爆発の際の火炎の明りで、自分のいる部屋のなかの様子を一と目で見取っていた。十数人の男が倒れている。
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法子は改めて、真剣な表情の公恵を見つめ返した。公恵の方でも法子の表情の変化を見取ったのかも知れない。
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また、人のからだの姿勢や動きを見事に真似し、その姿勢や動きの志向するものを自らのからだで感じ直して、指摘することができた。こうした人のからだを直に見取る力は「竹内レッスン」時に生かされた。
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私は正面の壁際に能の面が荷物の上に乘せられ、髮をふりみだした般若の面が扉の隙間から、正面に見える位置にあつた。粗惡なこしらへであるため、一さいを掌握してゐた醜さが見取られた。氣付かずに此處に置いたものであらうが、どう見ても凄みのある美しい面ではなかつた。
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Kが横眼で見取ったところでは、監督もおそらく彼の言うことに同感だったらしかった。しかしまた、全然彼の言うことに耳をかしていないようにも思えた。
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見据え、聴きとめ、嗅ぎ分けるのは標的のみ。相手もこちらの戦意を見取ったのか本腰を入れて迎撃態勢を取る。試合開始三十秒、早すぎる決着を着けるため疾走する。
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クーンズは後に彼の三番目の妻となり、その死を見取った。ガルシアは1974年にクーンズと家庭に入る。
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その、善く見ていなければ解らぬ程の僅かな動きを見取って、後ろに控えていた僧がするりと前に出た。慈行は更に首を曲げ、その僧に耳打ちをした。
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而も、それをちゃんと、生活からかっきり截り出して作品にしている。ほかに学問や歌に対する手柄はいろいろあるが、この一つは、よく我々の同時代人には、見取っておいてほしいものである。我々の次々の時代には、もうどういう風に、歌の考え方が変っているか訣らないからである。
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そして同年10月23日、見舞いに訪れた多くの部下・友人たちに見取られ、この世を去った。
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飛雄馬は大リーグボール左1号、2号、3号、右1号を取り混ぜ完全試合を達成し、シリーズMVPを獲得する。時を同じくして明子が子供を産み、一徹が伴に見取られ死亡する。翌年、飛雄馬は長嶋邸で長嶋に別れの挨拶を告げて巨人を退団し、これからも野球一筋で生きていくことを一徹の墓石に誓い、仲間が見送る中、野球留学のためにアメリカへと船で旅立って行った。
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佇まいは深窓のお嬢様といった風情であり、鎧甲冑の厳しい少女を想像していた志貴は、目を見開いて上から下からその姿を確認する。「そうしてると、かわいいもんだ」 己の言動に非を見取ったときにはもう遅かった。首筋に「何か」が突きつけられていた。
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それを見取って、戦場ヶ原から返還された杯を、元あった場所に、忍野が返す。
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それが果して本物であったとするなら、それこそそれは、嫉妬の感情などを持つも恥かしい彼が、自分の親友に抱いた嫉妬の感情ではなかろうか。そうして彼は僅かばかりの考えと僅かばかりの感受性とをもって、幻の表現に過ぎないこの人間生活のなかから、あらゆるものを見た目だけで確実なものであると見取ったこのことを、彼は恥かしく思いはじめた。
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