蒼白い月光

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  • 蒼白あおじろい月光がファナの身体に注がれ、下ろした銀の髪の表面を流れていく。 犬村小六『とある飛空士への追憶』より引用
  • 屋根部屋の窓から光が差して、寝台の裾から床に蒼白い月光の湖を作っていた。 宮本百合子『顔』より引用
  • この建物の向こう側の、蒼白い月光がさし込んでいる長方形は、彼のいう戸口だろう。 イネス/大門一男訳『蒼い氷壁』より引用
  • すぐ眼の下のみぎわ葉蘭はらんのような形をした草が一面に生えているが、その葉の色が血のように紅くて、蒼白い月光を受けながら、あたかも自分で発光するもののように透明に紅く光っているのであった。 寺田寅彦『夢』より引用
  • 玄関の隙間から、蒼白い月光が斜めに差し込んでいるので、歩くのにもそう不自由はしない。 横溝正史『殺人暦』より引用
  • 彼の坐って居る前を、時々、蒼白い月光の中に、軽い相板トンピヤンらしい着物を纏った遊女の顔が、ぼんやりと白く泳いで行った。 池宮城積宝『奥間巡査』より引用
  • 蒼白い月光に濡れた登美の顔は、久蔵にはひどく濃艶にみえた。 松本清張『かげろう絵図(下)』より引用
  • と、暗い舞台の上へ蒼白い月光が流れ込んで来た。 国枝史郎『大捕物仙人壺』より引用
  • ふたりはまだ白西洋李すももの樹の下にいたが、触れ合うばかりに顔を近づけていて、顔と顔のあいだには、辛うじて蒼白あおじろい月光が細くさしこむくらいしか離れていない。 フィッツジェラルド/大貫三郎訳『華麗なるギャツビー』より引用
  • 長い冬の夜がきて、狼どもが肉を追って低い谷へおりてくると、彼が狼群の先頭に立って、蒼白い月光あるいは明滅する極光の中を、仲間の上に巨人のように抜きでて跳ねながら駈けてゆくのが見られる。 ロンドン/山本政喜訳『野性の叫び』より引用
  • 蒼白い月光に、鞆太郎は自分の陰茎が、象の足のように巨大に、灰色に、ふくれ上っているのを認めた。 山田風太郎『自選恐怖小説集 跫音』より引用
  • 神秘的な砂丘は妙に蒼白い月光につつみこまれていた。 ラヴクラフト全集3『08 「時間からの影」』より引用
  • 空には蒼白い月光が真昼のように照っている。 国枝史郎『沙漠の古都』より引用
  • 蒼白あおじろい月光と、このでこぼこの地面の上の松明の赤い光で、どの物かげもどの割れ目も、深い淵のように思われて、私たちの目に見えるのは濃い闇だけだった。 アンデルセン/神西清訳『即興詩人(下)』より引用
  • 川霧がたてこめて月影は薄いが、ちょうど月の出で、蒼白い月光が断崖の面へ斜めにさしかけているので、そこだけがはっきりと見える。 久生十蘭『顎十郎捕物帳』より引用
  • ようとすると、蒼白い月光が隈なくうすものを敷たように仮の寝所ふしどを照して、五歩ばかり先に何やら黒い大きなものが見える。 二葉亭四迷『四日間』より引用
  • もう夜が深まって、カーテンの打ち合わせの隙間から、蒼白い月光が射し込んでいた。 南里征典『鎌倉誘惑夫人』より引用
  • 蒼白い月光に仄白んでいる部屋の寝床へ入ったお新さんは、入るなり私へ背を向け、夜具の襟へひたと顔を埋め、息をも絶やしてみのりのよい躯を心を顫わした。 藤原晋爾『秋津温泉』より引用
  • そして、はるか彼方には、蒼白い月光をいっぱいにあびて、神秘にみち、この世のものとも思えないケロスの島影が海の上に身を横たえて眠っていた。 マクリーン『ナヴァロンの要塞』より引用
  • 木の間をもれる蒼白あおじろい月光に、見おぼえのあるの幹に浮かびあがったすげの人形をみつけ出したとき、お関は顔を覆って、いちどかがみこんだ。 山田風太郎『おんな牢秘抄』より引用
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