茫然自失
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彼は佐古とのトラブルを避けたのではなく、塚田との遭遇に驚愕したのだ。
あのとき彼女も茫然自失したように車の去った方角に視線を向けていた。
いまにしておもえば、佐古とドライバーとの口論に彼女が茫然自失する必然性はないのである。
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森村誠一『異型の街角』より引用
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仰天とは、ひどくびっくりすること。
心理的なショックを受け、一時的な茫然自失の状態に陥った様子を表す。
人間が心理的に感情の行き場を見失った際、顎を上にあげ天を仰ぐ様から、日常言語に組み入れられた。
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そんな聞き方で、この茫然自失とした女が答えるのだろうかと思った。
若宮はやはりまだ経験が豊富な刑事ではないのかも知れない。
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塚本晋也『悪夢探偵』より引用
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三十分後、居間でアドリエンヌの話を聞いた両親は、茫然自失していた。
娘の身に起きたことは、彼らの想像の範疇をはるかに超えていたのだ。
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橘香いくの『ブランデージの魔法の城1 魔王子さまの嫁取りの話』より引用
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まだピストルがある。
茫然自失の状態になっていてさえ、彼は本当にはこれを信じなかった。
やつらは逃げてしまい、俺はロレッタとここにいるのだ。
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ニーヴン&パーネル『悪魔のハンマー〔上〕』より引用
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そこで衣類を脱ぐように命じられた。
お兼はもう茫然自失して、声も得立てず夫の面を見戍るばかりである。
宏兵衛は委細かまわず、自ら先ず腰の脇差をはずして片隅の刀架に載せ、ついで上下を脱ぐ。
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五味康祐『いろ暦四十八手』より引用
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わたしのボートは、ゆっくりとスクーナーから離れて、海面を漂流した。
茫然自失の形で、私は、乗組の全員が帆をあげにかかるのを眺めていた。
そして、張られた帆の一つ一つがいっせいにはためき、風をはらんでふくれあがった。
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ウェルズ/能島武文訳『モロー博士の島』より引用
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そう聞いて、今度は彼の方で、思わず全身の血が逆流するように感じた。
あまりの驚きに茫然自失して、しばらくは答えることもできなかった。
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モーパッサン/新庄嘉章『ある女の告白』より引用
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海上遥かに、帆が遠ざかってゆき、間もなく、次第に見えなくなってしまった。
そこで私は、類のない、それ以上増しようのない茫然自失におちいった。
苦しみと悲しみで、私は胆嚢が、いまにも肝臓のなかで破裂しそうになるのを感じた。
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佐藤正彰訳『千一夜物語 04』より引用
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そして目にしたのが、火の集落、燃えあがる郷里、蹂躙する軍馬でした。
ジャッカル牛の仔は、茫然自失として集落まえの広場に足を止めました。
ですが、その場所こそは騎馬部隊の矢面にほかなりませんでした。
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古川日出男『アラビアの夜の種族2』より引用
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同年12月18日、靖子は保釈されたが、同年12月21日、剃刀で頸動脈を切って自殺を遂げた。
この事件で大きな衝撃を受けた具栄は数ヶ月間を茫然自失して過ごす。
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悲しむとか、泣くとか人はよく云いますが、余りの悲しさの時は却って泪など出ないものだという事を始めて知りました。
私の場合は、茫然自失したという言葉が一番あてはまっていると思います。
全く私は余りの事にどうしていいか、自分の心の置場に迷いました。
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大倉燁子『消えた霊媒女』より引用
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ほとんど茫然自失な状態のまま教室に戻ってきて授業を受けて。
教師の説明などまったく意識に入ってこないまま数時間が過ぎていて。
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五十嵐雄策『乃木坂春香の秘密 第15巻』より引用
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少女の声に、茫然自失の状態だった矢沢は、ゆっくりと前をふり向いた。
いなくなっていた。
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吉村達也『スイッチ』より引用
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ほんとうのところをいってみれば、ぼくにはさっぱりわけがわからなかったのだ。
犯人が判決文を聞くように、ぼくは茫然自失の態で医者の命令を耳にしたわけだ。
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ラディゲ/江口清訳『肉体の悪魔』より引用
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ずるずると司令官の座に居座っていた。
中将が中国地方の全軍を指揮する立場となって、茫然自失しているのはわかる。
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榊涼介『ガンパレード・マーチ 12 山口防衛戦』より引用
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自転車男はしばらく車の後ろ姿をにらんでいたが、争いの相手を失ったので、坂の下へ下って行った。
後に子供の手を引いた主婦が茫然自失したように立ちつくしていた。
東京の路上でよく見かける日常の光景であり、小さな諍いであった。
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森村誠一『異型の街角』より引用
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今回の衝撃で茫然自失ですが、元から耄碌してるんだとは思います。
しかし、ここにひとつたいへん大きな証拠が。
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三上於菟吉『ライギット・パズル』より引用
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ヴィザーの隠密行動はかくも鮮やかだったから、自己のシステム内部で命令系統が組み替えられていることを当のジェヴェックスさえ知らずにいたのである。
通常空間に再突入したある艦隊はそこが天狼星であることを知って茫然自失した。
別の艦隊は牡牛座の一等星アルデバランの近くに飛び出した。
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ホーガン『巨人たちの星』より引用
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ガウロが、口汚く罵った。
しかし、かれらは茫然自失しているいとまものこされてはいなかった。
見るまに、さながら地の中からわき出した、とでもいうように、モンゴール軍の一隊が出現し、わらわらと展開したと思うと、セムたちと狗頭山のあいだを、ぴたりとふさいでしまったのである。
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栗本薫『グイン・サーガ 005 辺境の王者』より引用