胸ぐるしい

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  • しかし、獣医の足どりと反対に、僕の中には暗い胸ぐるしい気持が残った。 田久保英夫『深い河』より引用
  • 一週間ほど前に、学校へ訪ねて来た節子のことを思うと、耕作は胸ぐるしくなる。 三浦綾子『泥流地帯』より引用
  • 死が、いつも隙をねらっているような、胸ぐるしいおびえは多江にはないのだ。 中里恒子『時雨の記〈新装版〉』より引用
  • 二人は身じろぎもできないほど胸ぐるしい思いがした。 ルブラン/保篠龍緒訳『八点鐘』より引用
  • 彼女が、砂を噛むやうなうつゝと、胸ぐるしい悪夢との間に、さまよつてゐたときだつた。 菊池寛『真珠夫人』より引用
  • 人を待つことの、胸ぐるしいような甘い思いを、夏枝は何年ぶりかで味わっていた。 三浦綾子『氷点』より引用
  • 内心は胸ぐるしいほど緊張していたが、表面はいかにものんびりした大股で歩いていった。 ナポレオン・ソロ・シリーズ『11 世界木枯し作戦』より引用
  • 二時間三時間と漂流をつづけている間に、船になれぬ浜野をはじめとして水兵の中にも胸ぐるしさをおぼえる者が出てきた。 中山義秀『碑・テニヤンの末日』より引用
  • そういう考えは文四郎をいっとき胸ぐるしくし、そのときも文四郎は、ひとには言えないかすかな不遇感を味わうのだった。 藤沢周平『蝉しぐれ』より引用
  • 腹わたを乱暴にかきむしられるような目に会ったその日の思い出が、胸ぐるしいほど思い出された。 ナポレオン・ソロ・シリーズ『15 スラッシュ株式会社』より引用
  • 神経のあらい、柔和さや愛想の欠けた人を見ると、わたし胸ぐるしくなってきますの。 チェーホフ『桜の園・三人姉妹』より引用
  • 胸ぐるしいまでに赤児への愛着がきざしたのは、これまでの女たちとちがって二条が感傷をあらわにしたのと、産後の処置に手を貸したせいだろう。 杉本苑子『新とはずがたり』より引用
  • ある夕方、オペラ座にはいろうとすると、楽想がわきおこって胸ぐるしく、どうにもならぬような気分になった。 ルソー/桑原武夫訳『告白(上)』より引用
  • 総じて極く自由で、余り広くないだけに一層濃厚な、胸ぐるしいほどの歓楽と淫蕩の気分が満ちてゐる。 村松友視『上海ララバイ』より引用
  • 女のにおいというものが、余りに強すぎて、横を向きたいほど、顔も火照ほてり、胸ぐるしくもなった。 吉川英治『源頼朝(一)』より引用
  • すでに愁歎と事がきまればいくらか愁歎に区域が出来るが、まだ正真しょうじんの愁歎が立ち起らぬその前に、今にそれが起るだろうと想像するほどいやに胸ぐるしいものはない。 山田美妙『武蔵野』より引用
  • 竹山はふっと胸ぐるしいような気持ちになった。 三浦綾子『ひつじが丘』より引用
  • そこには、いはば非連続の接続とでもいつた感じの、なにか強制的な、へんにぎこちないものがあつて、胸ぐるしさを一そう加重するのだが、やがてそれも、ほどなく始まる第二の主題の力づよい展開に圧し伏せられてしまひ、眠つてゐる人はふたたび一糸みだれぬ夢の秩序に服してしまふのである。 神西清『鸚鵡』より引用
  • かわいい生物が眼の前で、無残な死にかたをしても、巨匠が聖人の表情に、人生の希望、気高さ、苦悩、暗く胸ぐるしい不安のすべてを、ぞっとするほど刻銘に表現しようと、彼らにはどうでもいいのだ。 ヘッセ/永野藤夫訳『知と愛』より引用
  • なかでも一ばん頻繁にあらはれるのは、胸ぐるしい夢で、その堪へられぬほどの圧迫感、むしろ窒息感をかもしだす情景は、私の場合は何よりもまづ、船室の棚床のなかに仰向けに横たはつてゐるうちに、上の棚がだんだん降りてきて、つひに一寸の隙間もなく圧しかかつてしまふのである。 神西清『少年』より引用