老若男女入り
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老若男女入り混って騒然たる只中へ走り入り、誰彼を捉えては叫んだ。そんな宗意の日頃にない昂奮の様に、村人らは驚愕し、呆れ、瞠目し、やがて水を打ったように謐まり返った。
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空腹感はあったが、彼らの心尽くしの料理に手をつける気にはなれないままぼんやりしていると、少し離れたテーブルにいる五分刈りの胡麻塩頭をした、ひどく痩せた老人の姿が目に入った。老若男女入り混じった信者たちの中で、一人違和感を漂わせ、灰色の影のようにひっそりと座っている。隣の中年女性にビールを勧められ、丁重に辞退する様にことさらのよそよそしさが見える。
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むかし安倍の一族が闘つたのはこの辺らしいのですとFが言つたが、けふは少ししぐれて、無人の野と山とに紅葉が散るばかり、「みちのく」は広すぎて東京人をみじめに感じさせた。途中で日がくれて鳴子のもみぢも見られなかつたが、その代り紅葉見物の連中が四五十人ほど老若男女入り交つてみんなが紅葉の枝をかついで汽車に乗りこんで来た。酔つてゐる人が多く、歌つたりどなつたりして又すぐ下りて行つた。
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中国人、モンゴル人、ロシア人。人種はさまざまであり、老若男女入り混じった生首が、入室者に、うす茶色の液の中からなぜ自分はここにいるのか、と物言わぬ怨嗟の問いを発していた。
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この河童の尻が、数え年二百歳か三百歳という未だうら若い青さに痩せていた頃、嘘八百と出鱈目仙人で狐狸かためた新手村では、信州にかくれもなき怪しげな年中行事が行われ、毎年大晦日の夜、氏神詣りの村人同志が境内の暗闇にまぎれて、互いに悪口を言い争ったという。誰彼の差別も容赦もあらあらしく、老若男女入りみだれて、言い勝ちに、出任せ放題の悪口をわめき散らし、まるで一年中の悪口雑言の限りを、この一晩に尽したかのような騒ぎであった。如何に罵られても、この夜ばかりは恨みにきかず、立ちどころに言い返して勝てば、一年中の福があるのだとばかり、智慧を絞り、泡を飛ばし、声を涸らし合うこの怪しげな行事は、名づけて新手村の悪口祭りといい、宵の頃よりはじめて、除夜の鐘の鳴りそめる時まで、奇声悪声の絶え間がない。
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