縊死者
10 の例文
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これを除かなければ、必ずまた同じ場所で縊死者が出るだろう。これは人の魄であり、魄は地面に入って物となる。
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包みの中からは褐色に顔色を変え、脹れあがった舌を長々とたらした縊死者特有の表情が現われた。飛び出した両眼や浮き上った静脈、そして首筋に深く食い込んだ梱包用の細紐などを子細に観察した教官は、満足気にうなった。
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彼を召捕ったならば、事件の真相が更に明瞭になるだろうと、吉五郎らもさまざまに手をまわして探索したが、遂になんの手がかりも無かった。それから三月ほどの後に、八王子の山のなかで彼に似たような縊死者を発見したが、死体はもう腐爛しているので、その人相もはっきりとは判らなかった。八王子は藤助の故郷であるが、どこへも尋ねて行ったという噂はきこえなかった。
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「別に御不審はございませんか」 「少し御相談がありますから、大番頭さんを呼んでください」 与兵衛と幸八を別間へ呼び込んで、半七は自分の意見を述べた。自分はこれまで縊死者の検視にもしばしば立ち会っているが、わが手で縊れて死んだ者があんなに苦悶の表情を留めている例がない。咽喉のあたりに微かに掻き傷の痕がある。
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わしの弟子とはいえ、私は彼女にとっては微々たる臣下、恭順な下僕、その命にこれ従う忠実な奴隷であった。たとえ彼女が人骨に生じた松蘿を所望したとて、わしは世界中のあらゆる縊死者の頭蓋に、あらゆる苔むす骨に、それを探しに行ったことであろう。
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やっぱり、原因は少しもわかりませんでした。今度の縊死者は、香料ブローカーと違って、極く快活な人物で、その陰気な部屋を選んだのも、ただ室料が低廉だからという単純な理由からでした。恐怖の谷にひらいた呪いの窓。
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そして、ある月のよい晩のこと、窓のそとに出っ張っている、電線引込み用の小さな横木に細引をかけて、首をくくって自殺をしてしまったのです。朝になって、その辺一帯を受け持っている道路掃除の人夫が、遙か頭の上の、断崖のてっぺんにブランブラン揺れている縊死者を発見して、大騒ぎになりました。彼がなぜ自殺をしたのか、結局わからないままに終りました。
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現に、ステイフェンの『証拠蒐集綱領』を見ても、たいていの場合頸筋の結節は、紐が長くて、縊死者が廻転した場合に起るものなんだ。
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失神ゲームや首吊りオナニー、あるいは作業現場の宙吊り、乳幼児の不測事態などで、事故として縊死する場合も稀にある。縊死者の頸部に残る、頸部を絞搾した縄索の痕を「縊溝」または、索状の痕なので、索状痕、または、索痕という。索状痕のうち、明らかに溝状に陥凹しているものを索溝と呼ぶ。
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