終に臨ん
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其の後になつても怪談を頼まれて、それが積つてかなりの數になり、其のうへ、怪談全集も絶版になつたので、茲に更めて、日本に關した物だけを蒐めて、『日本怪談全集』四册を上梓することにした。
終に臨んで一言したいのは、此の怪談集は、私が前後二十年に渉つて書いたもので、怪談集を作るがために筆をつけた所謂際物でないと云ふことである。
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田中貢太郎『「日本怪談全集」序』より引用
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金次郎は「己は芸人なんぞにはならない」といって、学校にばかり通っていた。
二世勝三郎は終に臨んで子らに遺言し、勝久を小母と呼んで、後事を相談するが好いといったそうである。
二世勝三郎の馬喰町の家は、長女ふさに壻を迎えて継がせることになった。
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森鴎外『渋江抽斎』より引用
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美術や道徳の本体は精神にあって外界の事物にないのである。
終に臨んで一言して置く。
善を学問的に説明すれば色々の説明はできるが、実地上真の善とはただ一つあるのみである、即ち真の自己を知るというに尽きて居る。
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西田幾多郎『善の研究』より引用
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これ然しながら不肖私の語ではない、実にシカゴ畜産組合の肉食宣伝のパンフレット中に今朝拝見したものである。
終に臨んで勇敢なるマットン博士に深甚なる敬意を寄せます。
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宮沢賢治『ビジテリアン大祭』より引用
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卿等亦明日の新聞を飜すの時、恐らくは予が遺書を得るに先立つて、ドクトル北畠義一郎が脳出血病を以て、観劇の帰途、馬車内に頓死せしの一項を読まんか。
終に臨んで予は切に卿等が幸福と健在とを祈る。
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芥川竜之介『開化の殺人』より引用