紋切り形

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  • こういう場合に、主人が旅人に対する質問は、昔からの紋切り形であった。 岡本綺堂『木曽の旅人』より引用
  • 手紙には金釘かなくぎのような字で、おぼつかなく別れの紋切もんきがたの言葉が書いてあった。 田山花袋『田舎教師』より引用
  • 今から思えば、それはこうした芝居の紋切り形であるが、その当時のわたしにはそれがいかにも壮快に感じられた。 岡本綺堂『明治劇談 ランプの下にて』より引用
  • 何言も語らないで彼の前にすわっている須永自身も、平生の紋切り形を離れた怪しい一種の人物として彼の目に映じた。 夏目漱石『彼岸過迄』より引用
  • ただその言語動作が普通の半可通のごとく、紋切り形のいやみを帯びてないのはいささかの取りえでもあろう。 夏目漱石『吾輩は猫である』より引用
  • と、女はきまって、男の膝をぴしゃりと平手で打って、これほど思って苦労しているのにという紋切もんきがたの表情をしてみせた。 田山花袋『田舎教師』より引用
  • 裏通りの小さな店で、老婆が殺されたというだけの、こんなつまらない事件は、毎日のどの新聞にも報道されているような、紋切り形の事件だったので、重大な注意を喚起するほどのものでもなかった。 クリスティ/能島武文訳『ABC殺人事件』より引用
  • 通例の場合においてこれに関する新聞のいわゆる社会面記事はきわめて紋切り形の抽象的な記載であって、読者の官能的印象的な連想を刺激するような実感的表象はほとんど絶無であると言ってもいい。 寺田寅彦『ニュース映画と新聞記事』より引用
  • 紋切り形で、おいらんが、きせるへたばこをつけてくれます。 興津要『古典落語(続々々)』より引用
  • 仰せのごとく額をかくす冠の、黒い色がいちじるしく目についたのは今先のことであったに、ふと見るとひもか飾りか、紋切り形に左右に流す幅広の絹さえ、ぼんやりと近づく宵を迎えて、来る夜に紛れ込もうとする。 夏目漱石『虞美人草』より引用
  • こういう例はあげれば際限なくあげられるかもしれないが、しかし概して自動車の音、ピストルの響きの紋切り形があまりにうるさく幅をきかせ過ぎて物足りない。 寺田寅彦『映画時代』より引用